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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!
932.メルヘンチック・ハードボイルド作戦のために。執事ツーニールは、口八丁手八丁。
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ツーニールは、外向きには、フィリス様と呼びかけるが、内向きには、フィリス坊っちゃんと呼んでいる。
フィリスが喜ぶので。
畏まらずに、気安い感じで。
フィリスがして欲しいことをなんでも。
ツーニールは、思案しているフィリスに提案する。
「フィリス坊っちゃん。時代を先取りしませんか?」
とツーニール。
「ツーニール。考えがあるのかしら?」
フィリスが食いつく。
池の鯉に餌やりしているかのように、パクパクと。
待機しているガラン軍は、あ、始まる!と察した。
「フィリス坊っちゃんが決めきれないでいらっしゃる理由は、ただ1つ。普通のハードボイルドに物足りなさを感じているからでは、ありませんか?」
とツーニール。
ツーニール。ハードボイルドに、普通も何もないよな?
ガラン軍の無言のツッコミ。
「そうなのかしら?ボク、ハードボイルドは重厚だから、ボクの男としてのカッコよさを伝えられると思ったのだけど。確かに、さっきから、少しもしっくりくる考えが浮かばないの。」
とフィリス。
「そんなフィリス坊っちゃんに朗報です。」
とツーニール。
「良いお知らせがあるのかしら?」
期待して、キラキラと目を輝かせるフィリス。
「はい。普通のハードボイルドは、今宵、フィリス坊っちゃんが進化させます。」
とツーニール。
「嬉しいの。ボクが、進化させるの。」
喜びのあまり、飛び跳ねそうなフィリス。
「フィリス坊っちゃん。ハードボイルドが、進化するのは、ですね。」
とツーニール。
「実は、世界初なんですよ。」
「初めてなの?」
フィリスは、楽しみにしている。
「フィリス坊っちゃん。流行の最先端を走っていくお覚悟はお有りですか?」
ツーニールは、真面目くさった顔をしている。
「覚悟が必要なのかしら?進化には。」
ゴクリと唾を飲み込むフィリス。
ツーニールは、重々しく頷く。
「いいですか?フィリス坊っちゃん。
ファッション・リーダーは、存在しているモノを使うから、ファッション・リーダーとして、安心して眺めていられます。」
「時代の先駆者には、時代が後からついてきます。新しいモノ、新しい考え方。先駆者が作り、伝えて、世間に広まります。」
ツーニールの説明を真剣に聞くフィリス。
「フィリス坊っちゃん。先駆者とは、旧態依然にとらわれず、新しい常識を追加する者。」
ツーニールが、熱弁を振るう。
「フィリス坊っちゃんのなさりたいことは、既存のハードボイルドでは、間に合わないのです。だから、なかなか名案が浮かばないのです。」
うんうんと、納得するフィリス。
なんでだろう?
買わなくて良いものを売りつけられて、財布を開くカモを見ている気分になるのは。
執事と主人じゃなかったっけ?
「既存のもので、納得がいかなければ、どうすればいいか?」
とツーニール。
期待するフィリス。
「フィリス坊っちゃん。ハードボイルドの進化です。ハードボイルドの進化に答えがあるのです。」
ツーニールの結論に、心を込めて拍手するフィリス。
「その通りなの。ツーニール。ボク、どうして思いつかなかったのかしら?悔しいの。」
とフィリス。
ハードボイルドの進化って何だ?
とガラン軍のツッコミ、再び。
「フィリス坊っちゃん。時代の先駆者は、失敗や試行錯誤を重ねて、先駆者になるのです。」
とツーニール。
「私は、フィリス坊っちゃんの執事。私の天啓は、フィリス坊っちゃんのためにあります。」
ツーニールは、いけしゃあしゃあ。
「ツーニール。」
感動するフィリス。
「フィリス坊っちゃん。フィリス坊っちゃんは、今宵、時代の先駆者となるときがきました。覚悟は出来ましたか?」
ツーニールが、フィリスに確認すると。
「ボク、立派な先駆者になるの。任せてほしいの、ツーニール。」
フィリスが決意を示す。
「では、フィリス坊っちゃん。」
とツーニール。
「フィリス坊っちゃんのために、進化したハードボイルドが、今、誕生しました。」
10秒、ためて。
「その名を。」
また、10秒、ためる。
「メルヘンチック・ハードボイルド。」
拍手するフィリスは、進化したハードボイルドは、とにかく素晴らしいんだ、くらいの頭になっている。
「メルヘンチック・ハードボイルド?」
何か、言い出したぞ、こいつ。
とガラン軍。
「フィリス坊っちゃんのメルヘンチック・ハードボイルド作戦の成否には、皆様の尊い勤労意欲によって支えられています。」
ツーニールが、ガラン軍に笑顔で、協力を要請している。
「メルヘンチック・ハードボイルドって何だよ?」
とガラン軍の1人。
「フィリス坊っちゃんのための、フィリス坊っちゃんによる世界初、世界最先端のオリジナルな、ハードボイルドです。」
とツーニール。
「ハードボイルドにオリジナリティを求めるか?」
とガラン軍。
「皆様の心からの称賛と協力に感謝します。」
質問に全く答えないツーニール。
「全員で、フィリス坊っちゃんのメルヘンチック・ハードボイルドを実現しましょう。」
ツーニールの言葉に、えっとたじろぐガラン軍。
「嬉しいの。チームなの。お揃いはできるかしら?お揃いがいいの。」
うふふ、と喜ぶフィリス。
これ、断れないやつ。
とガラン軍は悟った。
フィリスが喜ぶので。
畏まらずに、気安い感じで。
フィリスがして欲しいことをなんでも。
ツーニールは、思案しているフィリスに提案する。
「フィリス坊っちゃん。時代を先取りしませんか?」
とツーニール。
「ツーニール。考えがあるのかしら?」
フィリスが食いつく。
池の鯉に餌やりしているかのように、パクパクと。
待機しているガラン軍は、あ、始まる!と察した。
「フィリス坊っちゃんが決めきれないでいらっしゃる理由は、ただ1つ。普通のハードボイルドに物足りなさを感じているからでは、ありませんか?」
とツーニール。
ツーニール。ハードボイルドに、普通も何もないよな?
ガラン軍の無言のツッコミ。
「そうなのかしら?ボク、ハードボイルドは重厚だから、ボクの男としてのカッコよさを伝えられると思ったのだけど。確かに、さっきから、少しもしっくりくる考えが浮かばないの。」
とフィリス。
「そんなフィリス坊っちゃんに朗報です。」
とツーニール。
「良いお知らせがあるのかしら?」
期待して、キラキラと目を輝かせるフィリス。
「はい。普通のハードボイルドは、今宵、フィリス坊っちゃんが進化させます。」
とツーニール。
「嬉しいの。ボクが、進化させるの。」
喜びのあまり、飛び跳ねそうなフィリス。
「フィリス坊っちゃん。ハードボイルドが、進化するのは、ですね。」
とツーニール。
「実は、世界初なんですよ。」
「初めてなの?」
フィリスは、楽しみにしている。
「フィリス坊っちゃん。流行の最先端を走っていくお覚悟はお有りですか?」
ツーニールは、真面目くさった顔をしている。
「覚悟が必要なのかしら?進化には。」
ゴクリと唾を飲み込むフィリス。
ツーニールは、重々しく頷く。
「いいですか?フィリス坊っちゃん。
ファッション・リーダーは、存在しているモノを使うから、ファッション・リーダーとして、安心して眺めていられます。」
「時代の先駆者には、時代が後からついてきます。新しいモノ、新しい考え方。先駆者が作り、伝えて、世間に広まります。」
ツーニールの説明を真剣に聞くフィリス。
「フィリス坊っちゃん。先駆者とは、旧態依然にとらわれず、新しい常識を追加する者。」
ツーニールが、熱弁を振るう。
「フィリス坊っちゃんのなさりたいことは、既存のハードボイルドでは、間に合わないのです。だから、なかなか名案が浮かばないのです。」
うんうんと、納得するフィリス。
なんでだろう?
買わなくて良いものを売りつけられて、財布を開くカモを見ている気分になるのは。
執事と主人じゃなかったっけ?
「既存のもので、納得がいかなければ、どうすればいいか?」
とツーニール。
期待するフィリス。
「フィリス坊っちゃん。ハードボイルドの進化です。ハードボイルドの進化に答えがあるのです。」
ツーニールの結論に、心を込めて拍手するフィリス。
「その通りなの。ツーニール。ボク、どうして思いつかなかったのかしら?悔しいの。」
とフィリス。
ハードボイルドの進化って何だ?
とガラン軍のツッコミ、再び。
「フィリス坊っちゃん。時代の先駆者は、失敗や試行錯誤を重ねて、先駆者になるのです。」
とツーニール。
「私は、フィリス坊っちゃんの執事。私の天啓は、フィリス坊っちゃんのためにあります。」
ツーニールは、いけしゃあしゃあ。
「ツーニール。」
感動するフィリス。
「フィリス坊っちゃん。フィリス坊っちゃんは、今宵、時代の先駆者となるときがきました。覚悟は出来ましたか?」
ツーニールが、フィリスに確認すると。
「ボク、立派な先駆者になるの。任せてほしいの、ツーニール。」
フィリスが決意を示す。
「では、フィリス坊っちゃん。」
とツーニール。
「フィリス坊っちゃんのために、進化したハードボイルドが、今、誕生しました。」
10秒、ためて。
「その名を。」
また、10秒、ためる。
「メルヘンチック・ハードボイルド。」
拍手するフィリスは、進化したハードボイルドは、とにかく素晴らしいんだ、くらいの頭になっている。
「メルヘンチック・ハードボイルド?」
何か、言い出したぞ、こいつ。
とガラン軍。
「フィリス坊っちゃんのメルヘンチック・ハードボイルド作戦の成否には、皆様の尊い勤労意欲によって支えられています。」
ツーニールが、ガラン軍に笑顔で、協力を要請している。
「メルヘンチック・ハードボイルドって何だよ?」
とガラン軍の1人。
「フィリス坊っちゃんのための、フィリス坊っちゃんによる世界初、世界最先端のオリジナルな、ハードボイルドです。」
とツーニール。
「ハードボイルドにオリジナリティを求めるか?」
とガラン軍。
「皆様の心からの称賛と協力に感謝します。」
質問に全く答えないツーニール。
「全員で、フィリス坊っちゃんのメルヘンチック・ハードボイルドを実現しましょう。」
ツーニールの言葉に、えっとたじろぐガラン軍。
「嬉しいの。チームなの。お揃いはできるかしら?お揃いがいいの。」
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