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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

894.知っている?木は歩かないし、肥料が足りないからと自分で狩りをしないって。自分で注連縄を選ぶほど、お洒落が好きな霊石は珍しいって。

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王城の一室。

ビーイット公爵家の当主の護衛とボクが、先に2人で部屋の中で待っているの。

ボクが先に部屋の中にいるのは、部屋の中でのお兄様方の安全確保と機密性保持のため。

部屋に細工がないか確認して、盗聴や盗み見の可能性を排除し、部屋の出入りの際の危険を取り除くの。

デヒルお兄様、曰く。
「普段出入りする場所の構造を把握しておくことは、生死を分ける。」

ボクの勤務先なので、王城の造りを知っておくために、行動範囲を広げながら、怪しまれないように少しずつ構造を覚えているの。

ハーマルお兄様は、別室で対応中。

いつものように、茶色い小鳥のチャーチャをポケットに入れて、ハーマルお兄様の執事や護衛と一緒に、キューブ傭兵団関係の対応をしてくださっている。

ガランが時間を指定したのに、無視して早めにきた方々がいるの。

待たせていると、問題を起こしかねないから、とハーマルお兄様が急遽、対応してくださることになった。

人として、悪質じゃないかしら?

ボクの相棒の布妖怪オリベは、ボクから離れて散策に行っているの。

オリベは妖怪だから、護衛からビーイット公爵に報告がいくのは、嫌なの、ボク。

オリベは、好きなように飛び回っているから布妖怪なんだもの。

自由に生きられないのは、妖怪の摂理に反するの。


ボク達、早くハーマルお兄様に合流するの。


部屋の前で、聞き覚えのある複数の足音が止まった。
デヒルお兄様が、扉の外に到着されたの。

ボクは、デヒルお兄様とお兄様の側近を部屋に迎え入れる。

デヒルお兄様の耳の後ろには、タツノオトシゴのタノンも一緒。

タノン、お喋り大好きだけど、今日は、口を開けずに頑張るみたいなの。

ボク、タノンを応援する。

ボク、ガラン領から出てきて、ガラン領が、他の土地とは随分違っていると知ったの。

知っているかしら?
他所の木は、自分で歩かないの。
ガラン領のご神木は、日当たりと、水はけのバランスの良い場所を自分で探し歩くから、昨日と今日で、生えている場所が違っていることもあるの。
嵐の後や、大雨の時は、特に。
快適な場所を求めて、根っこで、歩き回っている。

ボク、木は歩くものだと思っていたから、枯れている木は、自殺したのかと最初思ったもの。
土が合わなくて枯れたりする、と聞いて、合う土を探さないの?と木に聞いてしまったの。
木を枯らさないように気をつけるのは、人間がすることって聞いて、過保護じゃないかしら、木に歩くように言わないと、と話したら、木は歩かないと丁寧に教えてもらったの。

それから、意識して木を見るようにしたの。

歩いている木は1本もなかったの。

びっくりなの。

ガラン領の木は、歩かない木もあるけれど、ご神木以外も歩いていたの。

妖木というんだけど。
妖木は、狩りもしていたの。
肥料が足りないから、足しにするって、自分で肥料を捕まえていたの。

ガラン領の霊石みたいに、注連縄をお洒落する霊石は少数派かもしれないの。

参拝にきた人の服装で、気になる色使いや形や素材があったら、霊石は、貪欲に注連縄のデザインに取り入れるの。

前にガラン領に帰ったら、黒とピンクのレースの注連縄をしていたの。

斬新なの。

ガラン領の霊石は、注連縄ファッションのファッションリーダーになれるの。


さて。
これから、ビーイット公爵家の当主の護衛とお話をするの。
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