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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

875.フィリスは追い詰められている。

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双剣使いは、確かに役に立っている。

フェンリルの力を宿す子どもが、ボクに襲う前に、双剣使いが退けていく。

ボクは、変換した神気を元フェンリルにぶつけて、近寄らせないようにしている。

キューブ傭兵団は、6人が一塊になっている。
襲ってくるフェンリルの力を宿す子どもを魔法を使って退ける。

ひたすら、退ける。

専守防衛。

元フェンリルが焦れてきた。
「メス、メス、邪魔するな。我のメス。」

元フェンリルが口を開けたので、口に蓋を被せる。

炎は、元フェンリルの口の中に留まっている。
1度は防げた。

違和感を覚えた元フェンリルは、炎の威力で、ボクが神気で被せた蓋を破った。

炎が飛び出す。広がる。
元フェンリルは、蓋を取ろうと上を向いたから、炎は上空へ散った。

神性を失っても、炎の威力は衰えていないの。

元フェンリルの炎をぶつけられると、ボクの神気では無力化出来ない。

元フェンリルの力がどう変容したのか不明だけど、ボクの神気との相殺も難しい。

捕まったら、押さえ込まれる。

真正面から攻撃を受けてはダメなの。
躱すには、範囲が広すぎる。
攻撃をそらす、のも、後1回、2回、が限度。
奇策は何度も使えない。

距離を詰められたら、攻撃をそらしても、攻撃範囲に入ってしまう。

どうする?

でも、不安は見せない。

大将が揺らぐのは、ダメなの。

ワニ、ワニ、お父様に早く来てくださるように、伝えてほしいの。



その頃、ガラン領の神獣ネットワークでは。

「歯がうずく!」
と神獣ワニ。
「フィリスが気張っている。」

「エールをおくろう!」
と神獣パパラン。

「ワシの歯よ、粘れ!」
と神獣ワニ。

「三三七拍子だ!それ!
123、123、1234567。123、123、1234567。」
神獣パパランは、円陣を組んで、三三七拍子を始めた。
うぐいす色のワイバーン姿のパパランは、三三七拍子で翼をうごかすために、隣り合う者同士、翼が当たらないように大きな輪を作っている。


神獣は、神獣のしたいことをする。

フィリスが、父ダルクに早く来てほしいとワニに願っていても、フィリスを応援するのに忙しい神獣が気づくのは、神獣がその気になってから。

応援するのに満足してからになる。



同じ頃。
フィリスの父ダルクは、4龍との出現地点を探っていた。
ダルクは、コーハ王国内の地理なら、図面では理解している。
外交に出ることはあっても国内の他領に出かけることはほとんどしなかったダルクは、訪れたことがない場所が多くある。

ビーイット公爵家の領地なんて、足を踏み入れたことは1度もない。

ダルクは、だいたいのあたりをつけて次元を開く。
「目的地か、目的地周辺だと思う。」

ダルクと4龍は、元フェンリルとフェンリルの力を宿す子どもの集落付近の上空に出現した。

4龍が異次元から出てきた途端。
雷鳴がとどろき、雷が雨のように降り注ぎ始めた。
イナビカリが何本も連続して空を走る。
地表まで届いた雷は、地面に突き刺さる。
雷が落ちた木や建物に火がついた。

ダルクは、フィリスを探す。

フィリスの神気が、立ち昇る柱を見つけた。

フィリスは、雷から離れた場所にいたようだ。

「神気の柱が息子の目印。移動しよう。」
とダルクは4龍に声をかける。

ダルクと4龍は、氷の上を滑るように上空を移動する。



フィリスは、限界を突破する方法を知らない。

さっきは、大きな音で、その前は、光で。
元フェンリルの気をそらしたから、攻撃範囲から外れることができた。

でも、次に打つ手が、フィリスにはもうない。
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