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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

663.品物の説明する側とされる側。人生経験と知識量に差で、納得させられていつの間にか、手にしていたりするけど、本当に欲しいものだったかな?

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輪っかを持った側近の身代わりにした灰色の男は、まだ生きている。

逃げ出さないように、手足の骨を折られたのに、頑丈なことだ。

死霊が向かってきたら、あの男にすりつけよう。

ミハ王子は、決心を胸に秘め、法具を構えた。

ミハ王子は、今日、法具を使ってなんとしても、除霊を成功させなくてはならない。

輪っかの法具は、襲われる現場を見たので、別の物にしたいと言うと、珠の繋がった棒を勧められた。

長さがあるから、襲いかかってきても、逃げる距離を保てるはず。

側近達は、考えを改めるようにと言い続けている。

側近なのに、どうして、ミハ王子の苦しみに寄り添ってくれないのか。

ミハ王子の苦しみを側近が理解するには、立場が違いすぎるのか。

ミハ王子が、法具を使って除霊すると告げると、側近達は揃って、思いとどまってもらえないなら、側近を辞退すると言い出した。

恐怖と不安に打ち克たんとするミハ王子の決心を鈍らせようとするなんて。

ミハ王子は絶望した。

絶望の中、側近を失った。


ミハ王子は、巻き物の言葉を読み上げる。

ミハ王子の手の中の法具の珠が段々と光り始めた。

巻き物の言葉を読み終わったら、『エイ。』と言うと説明されていた。

ミハ王子が、『エイ。』と言うと、法具の珠から琥珀色の光が広がった。

琥珀の光は、荒野一帯に広がった。

「リネイが憎い。リネイ、裏切り者めが。」

「リネイを殺す。」

「リネイを八つ裂きにしろ。」

「「「「「リネイを生かしておくべからず。」」」」」

荒野一帯から怨嗟の声が。

「カラカラナイトを滅ぼせ。」

「カラカラナイトこそ、悪なり。」

「カラカラナイトに、力を見せつけろ。」

と、何かに対抗する声も。

リネイにしろ、カラカラナイトにしろ、ミハ王子には聞いたことがない。

死霊特有の呪文なのか?

「「この魔力は、リネイ王家。」」

「「隠れるのは止めたのか。」」

「殺す、殺す。リネイを殺す。」

「敵だ、敵だ。」

「なぶれ、ほふれ。」


悪口ではなく、体を振り絞るように出てくる怨念と憎悪が、荒野に渦巻いている。

除霊とは真逆ではないか。

まるで、寝ていた猛獣を起こしたかのような。

もし、寝ていた猛獣を起こしたのが、ミハ王子だと死霊に気づかれたら?

荒野一帯の死霊がミハ王子に襲いかかるのでは?

いつまでも、危ないかもしれないことをしていたくない。

「おい、どうなっている?除霊されないではないか!」
ミハ王子は、棒を選んだ男に、棒を押し付ける。

「ミハ王子は、除霊が怖いと仰せでしたから、浄霊の法具をお貸ししたまで。」

「浄霊?」

「ええ。霊を消す除霊と違い、霊を浄化し輪廻の輪に戻すのです。」

「浄化されないではないか!」

「ミハ王子の魔力に反応して、霊の意思がハッキリ伝わってきました。成功です。」

「もう1度試してみましょう。」

「成功なのか?」

「ええ。」

男が自信満々なので、ミハ王子は法具を受け取って、構えた。

文句をつけたところで、男の言う通りにしなければ、除霊と浄霊の違いを初めて聞いたようなミハ王子が、独りでできることなんてないのだ。

今更、後にはひけない。

元側近は、離れた場所で心配そうに見ているが、ミハ王子に話しかけることはない。

ミハ王子が法具を持つ前なら、飛んできたのに。

ミハ王子は、再び、巻き物を読み上げる。

最後に、『エイ。』とミハ王子が言うと、琥珀色の光が、荒野を満たす。

1回目では、そうでもなかったのに、2回目では、急激に魔力を消費した。
魔力が大量に法具に吸い取られた。

ミハ王子は、立っているのもやっと。

法具を杖にして、寄りかかっている

死霊は、死んだ時の姿から、生前の姿へと変化していく。

「これが、浄霊か?」

「ええ。効果が出ました。さあ、続けましょう。」

男の言葉にミハ王子は目をむく。

「私は、限界だ。見れば分かるだろう。」

「分かりませんね。」
男はミハ王子に素気ない。
「除霊にしても、浄霊にしても、始めたなら、最後までしなければ。中途半端が1番良くない。」

「どうなるんだ?」

「霊が自分の存在を消しに来た相手が逃げ帰るのを許してくれるとでも?」
と男。
「さっきも法具持ちが、襲われるところを見ていたのに、理解できなかったんですか?」
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