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第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が!

575.王子様の婚約者と呼ばれていた侯爵子息が、前世の記憶を元に、王子との関係を検討したら、王子様に三くだり半をつきつけることになった。

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前世の記憶が戻る前のオレは、頭の足りない子どもだった。

運動神経抜群だけど、オツムが残念で、勉強する時間も体を動かした遊びに夢中だった。

侯爵子息なのに。

気がついたら、自分とこの国の王子様の婚約者と呼ばれていた。

意味が分からないけど、婚約者になったらしい。いつの間にか。

王子様とは仲良くない。
遊びも話も合わないからつまらない。

王子の婚約者と呼ばれるようになってから、保護者なしで、呼び出されるようになった。

呼び出されると、すごく嫌だ。

毎回、怪我をしたり、病気になったりして、ろくなことがない。

呼び出された場所に連れて行かれたら、知らない大人に罵られたり、暴力をふるわれたりする。

怖いし痛いから、行きたくないと抵抗したり逃げても、捕まえて連れて行かれる。

呼び出した癖に、婚約者の王子はいつもいない。

大怪我をして、家で寝込んでいたら、じんわりと前世の記憶が蘇ってきた。

大人の意識だ。

王子の婚約者と呼ばれているが、王子との仲は良くないままだし、結婚式の段取りなど、結婚に繋がる話をオレが耳にしたことは1度もない。

見舞いに来ていた王子に直接聞いてみた。

「王子とオレはいつ結婚するんですか?結婚するから、婚約しているんですよね?」

王子は、申し訳程度にオレの部屋に顔を出すだけだから、時短のために単刀直入に聞く。

この王子だが、婚約者であるオレに対して、全く情がない。

苦しんでいるオレの顔を見ても、感情を動かさない。

苦しんで可愛そう、とか。

王子の婚約者として、ありがとう、とか。

怖かっただろう、とか。

嫌がったのに、連れて行って悪かった、とか。

言葉にも態度にも出ない。

王子は、オレに全く興味がない。

丸わかりなのをオレに隠す気もない。

王子が自分から聞いてくるのは、
何が起きたか、と、いつどこで、誰がどんな行動をしたか、の2点。

一緒にいると、何もないから、実感がわかないせいか、と考えてもみたか、オレが怪我したり病気になると、必ず説明を受けに来る。

説明を聞き終わると、王子は、自分じゃなくて良かった、と毎回、安堵しているような気がする。

王子は、オレの問いかけに対し、丸っと無視して、一言も発することなく退室した。

顔に、めちゃくちゃ不愉快、と出しながら。

その日を境に、オレは、注意深く周囲を観察して、聞き耳を立てるようにした。

オツムが残念なときは、気にしたこともなかったが、大人の意識が出てきて、色々と理解した。

うちの国に、同性婚の制度はないので、同性との婚約は成立しない。
同性愛も一般的ではなく、カップルが公言することはほぼない。

つまり、オレを王子の婚約者と呼ぶことは、不自然極まりないわけだ。

オレは、以前と変わらず、オツムが残念なように装って、情報を集めた。

誰もオレに対して、大事な話や秘密を隠さなきゃいけないと考えないから、筒抜けだ。

オレの婚約者の王子は、長い間、狙われているのだが、犯人が分からない。

王子の安全と未来のために、一芝居うつことにしたそうだ。

オレを王子の婚約者と呼ぶことで、敵の目を欺いて、オレを王子の身代わりにしたり、王子を狙うやつらを捕まえるためにオレを囮にしていた。

王子が行くには危険だと判断された場所には、名代として、オレを送り込んだり。

女子が婚約者になると、傷物になるのは確実なので、体が丈夫で、オツムが残念な男子であり、婚約者の地位を偽装できる家柄のオレが、名誉ある生け贄に選ばれた。

王子の安全が確保出来たら、王子好みの女子を婚約者にするから、王子に今は我慢しなさいと諭しているやつを見た。

諭された王子は、分かってはいるが、仮初めにも婚約者を名乗らせるのは、腹が立つとブツブツ文句垂れていた。

オレの方が腹が立つんだが?

オレは、王子の身代わりにされているから、痛い目に合う。

オレが身代わりを辞めれば、痛い思いはしなくて済む。

王子と、オレの家族と、国の偉い人が揃っているところに突入してやった。
何しにきた、とか、うちの親が騒いでいるけど、知らね。

あんたら、オレの痛みに鈍感過ぎるわ。黙っとけ。

「オレ、王子の婚約者だって言われてますけど、痛いのも苦しいのも、嫌なんで、婚約者は辞めます。今までのオレの貢献に感謝して、慰謝料下さい。」
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