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第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ?

521.「姫が、わがままに見えるのは、見る者の目と耳と性根に問題がある。わがままどころか、可愛いだろうが。」

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「だれが、異常だ!
男を誑し込んで、楽をしながら、文句ばかり言っている男が、異常なのだ。」
と指揮官。

「うちの姫には、当てはまらないことばかりだから、人違いだ。さらに、うちの近衛について話しているなら、外国が口出すことではない。」
とセドリック。

「そんなに簡単に諦めなくても良いのだ。」
と指揮官は、深い思いやりを声に表す。
「国内の不満の声は取り上げにくくとも、交流する外国からの批評は無視するわけにはいくまい。」
と指揮官。
「同じ近衛として、実際に交流した中に賛同者が多いのは、心強いのではないか。上にも働きかけやすかろう。」

善意のつもりなのか?

「ムカつくだけだ。たかが近衛1人の人事に外圧がいる?ナメてんのか。属国以下の対応だ。」
とセドリック。

「国内からの不満というのは、どの国の国内かしら?」
とフィリス。

「どの国?」
とレイモンド。

「ボクには思い当たる点はない。セドリックにもない。その近衛は、コーハ王国の話なのかしら?」
とフィリス。

「お前が違うとは言い切れない。誤魔化すな。」
と指揮官。

「断定できる証拠もないのか。お粗末過ぎる。」
とセドリック。
「そもそも、どこから、そんな話になった?振り返ってみろ。」

ティリリ王国の近衛達は、話をまとめてきた。

「最初。国内からの不満に、外から風を吹き込むのが、良いと。」
と指揮官。

「次に、異常な近衛に迷惑している話があり。」

「最後に、コーハ王国の近衛にわがまま姫がいると聞いた。」

なるほど、とコーハ王国勢は頷いた。

「誘導されたのか、思い込みかは、知らんが、うちのは、わがまま姫ではなく、ただの姫だ。」
とセドリック。
「姫が、わがままに見えるのは、見る者の目と耳と性根に問題がある。」

「わがままどころか、可愛いだろうが。」

シュクナとレイモンドは、即、セドリックに同意していたが、フィリスは全く同意できない。

わがままかどうか、より、男を誑かすとか、姫とかの情報を刷新したい。

ここでフィリスが大人しくしていたら、セドリックが姫呼びを公認していると知れ渡ってしまう。

阻止しよう。

話の流れは、後で戻せば大丈夫。

「ボクは、わがまま。でも、姫じゃない。姫は認めない。」
とフィリス。

「わがまま、だと言うなら、姫は、どんなわがままを言ってくれるんだ?」
とセドリック。

「姫は、よろしくないので、姫はだめ。」
とフィリス。

「そうか、わがままだな。」
とセドリック。

好感触。フィリスは期待した。
これは、阻止出来るのではないかしら?

「ボクは、わがままだから、姫は、却下するの。」
とフィリスは、堂々と言ってのける。

「却下は、却下。」
とセドリック。

「え?」
とフィリス。

「フィリスの却下は、却下しておく。問題ないぞ。」
とセドリック。

「問題あるもの。セドリックは、却下しちゃだめ。」
とフィリス。

却下を、却下なんて。
どうしよう。

「他には、ないのか?」
とセドリック。

「他?」
とフィリス。
「却下を却下しないで。」
諦めずにもう1度チャレンジ。

「フィリスの気持ちは、伝わった。」
とセドリック。
「直に慣れる。」

「え?え?」
とフィリス。

「フィリスが早く慣れるように、姫を積極的に使おう。」
とセドリック。
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