フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

343.お仕事内容によっては、死人に口無しの世の中です。バレた後に、口を割ったところで、どうなるかは、ね。

「考えたことがなかったな。」
と青年。

「考えて。今すぐ。」
青年は、呑気過ぎると思う。

「それを聞きにきたのかい？君達。」

フィリスは答えなかった。

青年は、わからない、と答えた。

「今まで、死ぬかもしれない痛みを誰かに与えられた経験がないんだ。だから、痛いのは、耐えられないと思う。」
と青年。

「上司の仕事は、よっぽど危ないか、敵が多いのかな？」
伺うような青年。
「ボクは、知らない。」
フィリスは、ばっさり。
青年は、少し考えた。
「君達は、メッセンジャーなのかな？もし、おれが話したら、上司は助かるだろうか？」

「ボク達、貴方達のお仕事内容を知らないもの。聞いても、結果がどうなるか、分からない。」
フィリスは正直に話した。

上司が何をしているにしろ、偽名を使っていたということは、
所属する組織に言えないこと、
所属する組織の名前で表に出せない何か、
組織のためか自分のためかの裏工作、
もしくは、組織の発表前のお仕事だ。

偽名を使っているということは、政治的な駆け引きの過程で、本国は進んで切り捨てるかもしれない。

汚れ仕事を引き受けていた場合、表に出てしまった失態の言及の意味も込めて、まるっと他の人の分の責任も合算された上での処刑もあり得る。

どうやら、青年は、そういった事情を知らないようだ。