フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

311.毒を持たない女はいない。微毒は男女間においては薬になる。男に効かない毒を持つ女は、自家中毒を起こすか、自らの毒をばら撒くのよ。

デヒルは、久しぶりにびっくりした。
『フィリスと私は兄弟で、兄弟以上の関係はない。どこから、三角関係と愛人が出てきた？』

『奥方の頭の中から、口を通って。』
とマーゴット。

『最高の女を作り上げてきたミノカサゴたるわたしが教えてあげるわ。』
とミノカサゴ。

『毒を持たない女はいない。微毒は、男にも女にも、いい薬になる。でも、男に毒を効かせられない女はね、自分の毒でやられる。もしくは、自家中毒を起こさないために、毒をばら撒くわよ。』
とミノカサゴ。

『マーゴットは、わたしが最高の毒使いに育て上げるから、安心なさい。』
とミノカサゴは付け加えた。

『デヒルの妻の毒は、デヒルに効いていない。デヒルの妻は、自分の毒を溜め込み続けた。まだ溜め込めたはずよ。でも、ばら撒くことにしたのね。自分が苦しみたくないから。』
とミノカサゴ。

『奥方と奥方周辺は、フィリスお兄様から距離をとらせてください。互いが互いの視界に入らないくらい。』
とマーゴット。

『妻の言う、三角関係や愛人という発想はどこから湧いた？』
とデヒル。

『フィリスが成長して、恋敵に育ったからね。それまでは、妻の夫かつ子どもの父親であるデヒルを我が物顔で独り占めする、気の利かない、わがままな義理の弟だったのよ？』
とミノカサゴ。

『フィリスが、私と妻子の時間を邪魔したことなどない。執務中に、そっと寄り添いはするが。』
とデヒル。

『兄弟が寄り添う姿は、ミノカサゴの観点からも、微笑ましいわ。でも、妻には、そう見えないの。残念ね。』
とミノカサゴ。