フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

270.同族が1人もいない世の中の住心地って、どう思う？新種とか、絶滅危惧種とかに、なってみたい？

デヒルは、ふと思った。

皇弟は、フィリスに何らかの恩寵があると知っていて、離れようとしないのかもしれない。

我が身にあるお守り程度の加護よりも、人の身に余るほどの恩寵を持つ懐いている子どもがいれば、何を考えるだろうか？

広い世界の中の、同族を求めたか？
婿に呼ばれたのは皇弟とフィリス。
嫁に呼ばれたのは、他国の公爵令嬢。

他国の公爵令嬢を人目をはばからずに抱きしめたり、日参する勢いで通い詰めたりなと、させてはもらえまい。


神の恩寵がその身にあるうちは、フィリスに女性と関係を持たせるわけにはいかない。

子どもが出来るかどうかも不明だが、子どもができたとして。その子どもは、生まれる前から同族がいない。父とも母とも種族が違う。なんなら、新種になるかもしれない。

人の世に出せば、争いの種になり、人の世に出なくても、人でも、神でもなく、神獣でも幻獣でもない子どもの生きる指標を示せる者は、この世に存在しない。

もしも、この世に絶望して、世界の滅亡などを願ったら？

叶う力があるかもしれない。

また、それを危惧する者たちに迫害されるかもしれない。

父ダルクが、フィリスに一緒に逝くか？と聞いていたのは、何か危惧することがあったのだろうか？


パパランから情報を得たことで、デヒルは、帰ってから、することが増えた。

さっさと、王城の掃除を済ませて、帰ろう。