フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

247.深い仲の関係を本人に確認するのは、勇気がいる。聞き辛いことでも、後で混乱しないように、前もっての確認が大事なんだ。宮仕えは特に。

「さて、すり合わせしておくことは、他にないか？」
とデヒル。
「フィリス様は、今後も、弟御でよろしいのですか？」
と文官の幹部。
きちんと確認が大事。聞き辛いことでも、後で血を見るよりは、今、勇気を出す。

「フィリスの依存度の高さが、そう見せないのだろが、私とフィリスの間に兄弟以上の情はない。」
とデヒル。

「正直に申し上げますと、そのようには。」
彼の見ているデヒルとフィリスの関係を見る限り、ただの兄弟愛と言われても、納得し辛い。

「私達は、深い関係の兄弟だが、私もフィリスも、対象は異性だからな、互いに恋情ではない。」
とデヒル。

「デヒル様は、わかりますが。」
デヒルは、妻子もいて、男の影はなかった。唯一が、房中術の手ほどきをした実弟のフィリスだ。

「フィリスは、私という庇護者に全てを預けているだけだ。恋い焦がれているように見えるのは、姫君の気質だ。何にも意識しなければ、自然と絶対的庇護者に身を任せる言動になる。」
とデヒル。

「無意識なんですか？」
フィリス様は、デヒル様が好き好き大好きと全身で表していますよね？

「ああ。私とフィリスを一纏めにすると、フィリスの言動は、色がついて見えるが、フィリスだけで見てみると、気付く。」
とデヒル。
「何にでしょうか？」
デヒル様以外、誰か気付いた人いるのかな？

「フィリスは、房中術を身に着ける前も身に着けた後も、私を含めて、男を目で追っていない。」
とデヒル。
「気付きませんでした。」
それは、びっくり、大発見。

「フィリスには、制約が多くある。マーゴットの結婚が成就してはじめて、フィリスは恋人を作ることが出来ること、とかな。」
とデヒル。
「ええ。」

「フィリスは、15の年になるまで、同性に欲情したこともなく、同性に恋情を向けたこともない。だが、異性と深い仲になることも、結婚することも、今後難しいだろうな。」
とデヒル。
「マーゴット様のご成婚後は、自由になるのでは？」

「来たる自由になる日、マーゴットの結婚後まで、ガラン領内に隠しておく腹積もりだったのだがな。フィリップ殿下が、結婚相手にすると、フィリスを中央に引きずり出した。今後、同年代の異性との結婚話がフィリスに来ると思うか？」
とデヒル。

「フィリップ殿下を奪いたい女子はいても、フィリス様を奪いたい女子が存在するか？という話ですよねえ。」
と文官の幹部。
「いないでしょうなあ。」
と軍の幹部。

「そういうことだ。フィリスが好む、フィリスのためになる男が現れて、フィリスとガランに問題なければ、仲良くさせてやる。」
とデヒル。

「マーゴット様のご成婚後に？」
と文官の幹部。

「正式に付き合うならな。戯れ程度なら、目くじらはたてない。」
とデヒル。

「かしこまりました。そのように。」