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第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?

109.素直に従っていればいいのに、みたいな態度をとられたら、お前じゃない、従う相手くらい選ぶ、とか思っちゃわない?

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「その日が、兄とダルクが直接会話した最後の日になった。」
父は目を閉じた。

「顔面狙って、蹴り入れても許されるレベルだわ。」
と姉。

「ガラン家は今も子爵家のままです。陞爵を拒否して、受け入れられた結果ですか?」
とラウル。

いや、と父は軽く首を振った。

「そもそも、コーハ王家にガラン家を陞爵、叙爵する権限がなかった。」

「コーハ王国の貴族ですが?」
と半信半疑のラウル。

「『コーハ王国の貴族として、ガラン家の子孫は、代々ガラン子爵と名乗り、末代までガランの地を治め、統治している土地をガラン領と称する。』」

「それは、何でしょうか?初めて聞きました。」
とラウル。

そうだよね、と父は言った。
「コーハ王国の初代国王が建国にあたり、ガラン家の当主と交わした誓約書の文言だよ。」

「文言を忠実に解釈すると、コーハ王国の貴族として、ガラン子爵と対外的に名乗ること。ガラン家が元々統治していた土地は、コーハ王国のガラン領とよぶ。ガラン家が治めている土地は、ガラン家が滅ぶまでガラン家の土地だからね、と言っていますね。」
と姉。

「ガラン家は、コーハ王国の貴族ではなく、ガラン領も、コーハ王国の国土ではない。合っていますか?」
とラウル。

「その通りだよ。」

「わたしは、手紙のやり取りを始めてから、ダルクと話が合うように、ガラン家について調べ始めたんだ。ダルクのことを知らなさすぎて、最初は手紙に書くことがなかったからね。」

「お父様が、相手を良く知りたい、と慎重に行動する方で良かったです。」
と姉。

「言われてしまったね。」
父は微笑む。

「コーハ王国の歴史を辿ってみても、ガラン家に叙爵した記録が一切なかったんだ。」

「貴族の爵位に関する記述が、記録から省かれることなど、ありませんよね?」
とラウル。

「そう。資料の紛失も疑ったが、別の紛失を見つけただけだった。」

「素敵なお仕事をされたんですね。」
と姉。

ありがとう、と喜んだ父は、今から秘密を打ち明けるよ、と言った。
「国の歴史じゃなく、王家の歴史を遡ったらね、あったんだよ。誓約書が。」

「お父様は、いつ頃知ったんですか?」

「兄が陞爵すると決めた後。ダルクを呼びつける数日前だね。」

「既に陞爵の話が広まった後でしたか。」
と姉。

「文言が事実かどうかの検証をしてなかったから、まだ誰かに言わずにいたんだ。公表して良い情報かも分からなかった。」

「知らされていなかったなら、秘密にされていたせいと考えますよね。」
と姉。

「わたしの発見を聞いた先代国王陛下は、違う反応をしたんだ。」
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