フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

57.拷問部屋からの帰還を目指して

恐怖にのまれそうになっている新人3人をフィリス達は、ずっと励まし続けた。


「コーハ王国は、新人の初任務に、毎回、引くほどヤバいのは選ばない。

今回の初任務は、精々、馬鹿にされるか、絡まれるくらいを見込んでいた筈だ。」

と
サブリーはダンシェル達に話し、
落ち着いているように見せろと言った。

「怖い気持ちも死にたくない気持ちも抱えたままでいい。
気持ちで負けると体力が保たない。

日の出まででいいから、俺達に人生預けてろ。若い内に積める経験なんて、そうない。貴重だぞ？」

ユージュアルは、そう笑ってみせた。



フィリスは、決心した顔で、ダンシェル達3人に言った。

「ボク達6人が不在になる時間が長引くほど、解放される確率があがる。
6人もいなくなったら、不審がられて捜索されるから。

レイモンド、ダンシェル、ロウウェル、3人に命じる。

これから、班長のボクの命令が分からないとき、聞こえないときは、必ず、サブリーとユージュアルの命令に従え。例外はない。

サブリーとユージュアルから離れず、5人一緒にまとまって、ボクの視界から一時も外れるな。

サブリーとユージュアル以外、誰に何を言われても、答えを返すな。会話を成り立たせるな。

今までと、これから起こる全て、心を逃がさずに記憶せよ。目と耳で情報を整理し、戻って報告に上げよ。

我が班は、6人全員、1人も欠けることなく、生還する。」

サブリーとユージュアルは、いたずらを思いついたときみたいに笑った。
「「了解、班長。」」

フィリス達は、
恐怖に声が出せない新人3人の背中を順番に撫でていく。



それからの出来事は、脳裏に刻み込まれている。一生、消えることはないだろう。