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第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?

46.ボクの所属する近衛別働隊のお仕事は、着飾って、歌い踊り、演奏するのが主要業務だよ。

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コーハ王国の近衛は、歴史ある近衛騎士団とは別に3年前に新しく創設された近衛別働隊があるよ。
新しく出来た近衛別働隊と区別するときは、
歴史ある近衛騎士団は本隊、近衛別働隊は別働隊と呼んでいるよ。

ボクは15歳で近衛になって、20歳で新しく創設された近衛別働隊の創設メンバーとして入隊。

ダンことダンシェル、ロウことロウウェル、レイことレイモンドの3人は、創設メンバーとして別働隊への入隊を希望していたんだよね。

でも、近衛別働隊の業務は特殊。
入団から3年は近衛騎士団での業務を一通り修得出来たら入隊を許可することになった。
コーハ王国の近衛を名乗る限り、近衛騎士団本隊と連携するのに支障が出たり、コーハ王国の近衛の立場で外国の近衛とのやり取りする場合に困るからね。

去年、3人は別働隊の所属に変わったんだ。
頑張ってくれて凄く嬉しい。
3人とも可愛いよね。

そう3人に言ったら、
「可愛い」の意味を知っているかと聞くんだよ。
「キミ達3人のことだよ。」
1人1人、ギュッとしちゃった。



近衛の仕事というと、王族の守りをまず思い浮かべるよね?

近衛騎士団の本隊の主要業務はそうなんだけどね。
別働隊に主要業務がないときに限り、護衛もする、くらい。

主要業務に時間も体力もとられるからね。

近衛別働隊の主要業務は、着飾って、歌ったり踊ったり、演奏したりすることだよ。

国の祭典とか、公式行事とか、王族主催の茶会とか夜会。
国賓を歓迎するためだったり、外交上の成果に相手国への感謝を込めてだったり。

「うちの王様の生誕祭を祝いに来て。」
と外交ルートのご招待があれば、条件とか色んな調整が出来れば受けるし、駄目だったらお断り。

国交があまりない国とか、政情不安な国、交戦中の国とか、危険な場所には主要業務で行かない。

極秘任務で行くことはあるけど。

国の代表として、人前で歌ったり踊ったり演奏したり出来るようにするために、近衛別働隊は、時間、場所、資金、人手、本人の努力と才能、周りの協力などの投資が桁違い。

例え1人でも、元気で帰ってこれないようなところに出さない。

別働隊は、近衛として、基本的業務をする能力は十分にあるが、主要業務があるときは温存すること、と決まっているよ。


近衛別働隊は、全員18歳以上のコーハ王国の貴族子弟で構成されているんだけど、カッコよくて素敵な男子の集まり。

ちょくちょく、目当ての男性に近づこうとして人の道を踏み外す人が出てきちゃう。
老若男女問わずね。


ボク達近衛別働隊に対して、
一服盛るとか、拉致とか、監禁とか企てる人がいる。
罪悪感もなければ、躊躇する気持ちもないんだよね。
犯罪を教唆する人も、犯罪の実行犯も、何が悪いの?という反応するんだよ。

「触るくらい」
「侍らすくらい」
「脱がすくらい」
という要求を堂々としてくる人もいるからね。

だから、安全が保障されない場所には、近衛別働隊は主要業務をしに行かない。

ボク達、未婚の貴族子弟の集まりだから。

娘が処女を失った責任をとって、とか、
お腹の子の父親はあなたよ、とか、
ハニートラップに引っかからないようにお仕事しているよ。

ボクは、女性にそういうお誘いをされることはあんまりない。

カッコよくて優秀な適齢期の男性を紹介して、と言われることが多いかなー。
「さっき、話していた人の横にいた背の高い方」とリクエストされることもあるよ。

貴族子弟だから、紹介とか、勝手にしたら駄目なんだよね。

断ると
「使えない。」「目ざわり。」「邪魔。」と言われちゃう。

最初はびっくりしたよ。
悲しんでいたら、1人にならないように言われたから、必ず誰かといるようにしている。

誰かといたら、言われない。


コーハ王国の女性近衛達とは仲良しだよ。
ボクの補佐についてくれている男爵家のサブリーとユージュアルと3人で、よくお茶に誘ってもらう。

この前、化粧品の新色の話をしながら、お菓子食べたよ。

マニキュアの色をどの色にするかで、盛り上がって、見比べるために、ボク達3人の左右の指に全部塗ったよ。

凄く熱心に選んでいた。

次のデートでどれを塗るか迷っていたけど、決まったと喜んでいたから、良かった。

皆で、デートが楽しみだね、と話して解散したなあ。
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