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第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?
41.マジモンのヤバい思考している人が窓口に来たら?
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マーツは市役所で国民の三大義務について、説明を受けた後、家を借りたいと話した。
マーツは、窓口に手切れ金の入った袋を見せる。
ガラン領で、マーツは顔パスだった。大店の娘の買い物は、とりっぱぐれの心配がない。
金を見せびらかすなんて、一見さんのすることだ。はしたない自分に憤るが、知り合いに紹介を頼めないので仕方ない。
「家賃1ヶ月分よ。案内して。」
担当窓口の職員は、家を借りるためには、手順があると説明した。
「役所で働いている公僕が何を言っているの?国民のために働いてくれないとダメでしょう。」
マーツは、職員が愚鈍なせいで話が進まないのだと思った。
役所は公僕の宝庫だから、使って仕事を与えてあげないとね、と聞いたのだ。
誰からかは、分からないが。
権力が当たり前にあると、自分が偉いと錯覚して、仕事をしなくなるから。
マーツは、なるほど、良い事を聞いたと思った。
ガラン領で生活している間、役所に行く機会なんてなかった。
今こそ、私が、使ってあげないと。
「上司を出しなさい。あなたじゃ、話にならない。」
ヤバい人きた、と担当職員は、最初から警戒したらしく、窓口から別室へ案内され、複数の職員が監視と観察を兼ねて、説明が再開された。
マーツが選んだ部屋は、両隣に入居者がいない。
近隣住民と接触すれば、摩擦が起こることが必至のマーツを誘導した。
「あの調子では、1ヶ月、持たないだろうな。」
職員が呟いた。
次の日の朝早く、マーツは役所に突撃していた。
「家の中が空っぽよ?テーブルも食器も、ベッドもないのよ。すぐ、何とかして。
昨日はとりあえず、寝たけど、夜も朝も食べていないわ。
ここで構わないから、用意しなさい。余程でない限り、食べてあげるから。」
マーツは窓口職員に窮状を訴えた。
「昨日は、すぐに上司を呼べと言ったけど、今日はしないわ。あなたは昨日の人とは違うし。昨日の人が、仕事をしなかったせいで、私は多大な迷惑を被ったけど、あなたのせいじゃないから。」
窓口にいた女性職員は、マーツの主張を聞いた後、別室に案内した。
「驚きから立ち直ったら、一周回って、面白くなってきた。むしろ、やり甲斐を感じる。」
彼女は、マーツが来ると、ちょこちょこ話を聞くようになった。
マーツは1日おきに役所にいた。
「お金が送られてきたか確認して、まだなら、催促して。」
と実家への無心を職員に要求したり、
「昨日、誰とも話さなかったのよ。私が、誰かと話さない日?あり得ないわ。
私を見かけたら、誰かが話しかけてくるものなの。
私が自分から話しかけたのは、あなたが初めてね。喜びなさい。そして、話す内容を忘れないうちに、話しなさい。」
と話し相手を求めたり。
「中途半端なお嬢様教育を受けてきたのね。
話を聞く限り、
お嬢様社会からは爪弾きにされていて、
平民は阿ってくる環境に長くいたみたい。
平民の男が考えるお嬢様像なのかな、お嬢様としては偽物臭がするのよ。
人は寄ってきても、人付き合いの経験がないから、機微もわからないし、ノウハウもない。」
職員はマーツを分析しながら、報告書を書いている。
マーツは、窓口に手切れ金の入った袋を見せる。
ガラン領で、マーツは顔パスだった。大店の娘の買い物は、とりっぱぐれの心配がない。
金を見せびらかすなんて、一見さんのすることだ。はしたない自分に憤るが、知り合いに紹介を頼めないので仕方ない。
「家賃1ヶ月分よ。案内して。」
担当窓口の職員は、家を借りるためには、手順があると説明した。
「役所で働いている公僕が何を言っているの?国民のために働いてくれないとダメでしょう。」
マーツは、職員が愚鈍なせいで話が進まないのだと思った。
役所は公僕の宝庫だから、使って仕事を与えてあげないとね、と聞いたのだ。
誰からかは、分からないが。
権力が当たり前にあると、自分が偉いと錯覚して、仕事をしなくなるから。
マーツは、なるほど、良い事を聞いたと思った。
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今こそ、私が、使ってあげないと。
「上司を出しなさい。あなたじゃ、話にならない。」
ヤバい人きた、と担当職員は、最初から警戒したらしく、窓口から別室へ案内され、複数の職員が監視と観察を兼ねて、説明が再開された。
マーツが選んだ部屋は、両隣に入居者がいない。
近隣住民と接触すれば、摩擦が起こることが必至のマーツを誘導した。
「あの調子では、1ヶ月、持たないだろうな。」
職員が呟いた。
次の日の朝早く、マーツは役所に突撃していた。
「家の中が空っぽよ?テーブルも食器も、ベッドもないのよ。すぐ、何とかして。
昨日はとりあえず、寝たけど、夜も朝も食べていないわ。
ここで構わないから、用意しなさい。余程でない限り、食べてあげるから。」
マーツは窓口職員に窮状を訴えた。
「昨日は、すぐに上司を呼べと言ったけど、今日はしないわ。あなたは昨日の人とは違うし。昨日の人が、仕事をしなかったせいで、私は多大な迷惑を被ったけど、あなたのせいじゃないから。」
窓口にいた女性職員は、マーツの主張を聞いた後、別室に案内した。
「驚きから立ち直ったら、一周回って、面白くなってきた。むしろ、やり甲斐を感じる。」
彼女は、マーツが来ると、ちょこちょこ話を聞くようになった。
マーツは1日おきに役所にいた。
「お金が送られてきたか確認して、まだなら、催促して。」
と実家への無心を職員に要求したり、
「昨日、誰とも話さなかったのよ。私が、誰かと話さない日?あり得ないわ。
私を見かけたら、誰かが話しかけてくるものなの。
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と話し相手を求めたり。
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話を聞く限り、
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平民の男が考えるお嬢様像なのかな、お嬢様としては偽物臭がするのよ。
人は寄ってきても、人付き合いの経験がないから、機微もわからないし、ノウハウもない。」
職員はマーツを分析しながら、報告書を書いている。
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