81億分の1〜ダメンズ遍歴の女が最愛の人と結婚するまで〜

SNSの男

　「俳優くん」と別れた後の私は、恋愛から遠ざかってしまった。
初めてあんなにも好きになったのに…、お互いまだ好きなのに別れなくてはいけなかったという結末が、ズルズルと私の恋心を引きずらせた。



　時は流れ、私は男女共学の大学に進学した。
大学に入ってからは、中学時代に所属していた流れで、テニスサークルにも入った。…と言っても、サークルはゆるいもので、テニスよりも男女の交流サークルのようなものだった。
週に何度も飲み会は開催され、サークルに所属していないメンバーも、別の大学の生徒も、飲み会に参加する。
必然的に男の人との出会いも多くなってきていた今日この頃だった。
そんな環境だったから、大学に入って初めての夏を迎えるころには、ざっと数えても10人は告白されていた。



「俳優くん」と別れて１年以上が経っていたけれど、やっぱりまだ心のどこかで、「俳優くん」を捜してしまう未練タラタラな自分がいた。
別れてからの私は、「俳優くん」と歩いた道、初めて行ったデートの場所、キスした公園、よく待ち合わせした駅…。街に出ると「俳優くん」との思い出が溢れすぎていて、無意識のうちに探してしまっていた。


「俳優くん」と付き合っていたころの私は、花柄のワンピースやふわふわシフォンのスカートが大好きな女の子だった。
「俳優くん」は付き合っている時によく、「咲優ちゃんの可愛らしいコーディネートも、柔らかい雰囲気も大好き」と言ってくれていた。
だから、別れてからも、「もしかしたら偶然会うかもしれないから…」と、「俳優くん」好みのコーディネートで出かけたものだ。
しかし、「俳優くん」は高校を卒業して、芸能の専門学校に進学するため、上京したことを風の便りに聞いた。
「もう、偶然に会うことさえない…」と分かっていても、忘れられなかった。外を歩けば、無意識に探してしまっていた。
　そんな自分を断ち切るため、大学に入る頃にはガラッとイメチェンして、私はギャルになった。