234 / 257
第234話「極秘情報の取り扱いとは、大変で気を遣うものだ」
しおりを挟む
「お父さん、お母さん! いきなりですが、改めて言います! パトリシアさんを、絶対幸せにします! 僕にください!」
ここぞとばかり、俺はラクルテルご夫妻へ、
『決めゼリフ』を言い放っていた。
すると、父ロジェさん、母リディアーヌさんは「はあ!?」という感じ。
え!?
何その反応?
まさかNO!とかと焦った俺であったが、心配は杞憂であった。
「おいおい、ロイク様、何言ってんだ、今更!」
「ええ、そうですよ!」
「え? じゃあ!」
「ああ! ロイク様みたいな最高の婿殿はどこ探しても見つからねえ! トリッシュもぞっこんだしな!」
「ええ! ええ! ロイク様もウチの子を可愛がってくれてるのは一目瞭然ですし!」
ここで、トリッシュさんも会話に混ざり、
「パパ! ママ! 私だけじゃなく! お嫁さん全員が旦那様と相思相愛なのよお♡ ねえ、そうですよねえ?」
同意を求められたシルヴェーヌさん、シャルロットさんもにっこにこ。
「ええ! 全員、旦那様と相思相愛ですわ♡」
「そして! 妻全員、仲良しさんですわ♡」
そんな俺達の様子を見て、ラクルテルご夫妻は嬉しそうである。
更に話が弾む、弾む。
「パパ、ママ、私、先の事もちゃ~んと考えてるんだ」
「先の事?」
「どういう意味?」
「うん! 私、冒険者ギルドで定年まで勤める気はない。頃合いを見てやめて、いずれこのお店を継ぎたいの!」
ああ、そういえば、トリッシュさんからは、何回か聞いていた。
子供の頃からのもうひとつの夢……
ある程度勤めて、ギルド職員を退職し、両親の店を継ぎたいって。
出来れば店をもっと大きくして大勢の人に美味しい料理を食べて貰いたい。
支店も出したいとか……大きな夢も持っているようだ。
そして商売の話ならと、シャルロットさんと熱心に話していたっけ。
最初にお互い自己紹介した時、プロフを告げたので、
ラクルテルご夫妻は、俺だけでなく、シルヴェーヌさん、シャルロットさんの出自も認識している。
そのシャルロットさんが、きっぱりと言う。
「ウチのルナール商会も、全面的にトリッシュをバックアップして行きますわ。資金も人も資材もです」
当然、俺とシルヴェーヌさんも。
「お父さん、お母さん、シャルロットだけではなく、俺達家族全員で、トリッシュをバックアップして行きますよ」
「はい! 私達家族が持つお金、人脈、情報等々、持てる力全てでフォローします。それが家族全員の幸せにも、つながりますし」
再びトリッシュさんが、
「……という事で、パパ、ママ、このお店を継ぐから! もしダメって言われたら、旦那様達と力を合わせて自分で新しいお店をオープンさせちゃう!」
夢と決意を語る愛娘。
愛娘を支える新たな家族。
ラクルテルご夫妻は、嬉しそうに微笑みながら、「うんうん」と頷いていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
午前11時から約2時間。
……午後1時少し前。
楽しく、にぎやかにランチ会食は終わった。
結局、トリッシュさんの「跡を継ぐ」という希望は基本的に通った。
基本的にとは、トリッシュさんが見習い経営者として修行し、適性があれば、
邂逅亭を譲るという条件がラクルテルご夫妻からついた事。
中々厳しいご両親かもしれない。
この話の後、結婚式はいつという話となった。
とりあえず、もう少し先ですと伝えておく。
王女ルクレツィア様との結婚の件は、
かん口令が敷かれている為、厳秘であり、伝えられない。
またジョルジエット様、アメリー様の事はラクルテルご夫妻には伝えたけど、
嫁ズ全員参加の公式発表までは、まだ口外厳禁。
義両親とはいえ、徹底しておく。
伝え方は優しくへりくだっているけど。
極秘情報の取り扱いとは、大変で気を遣うものだ。
さあ……次は冒険者ギルドへ行かねばならない。
午後2時のアポイントで、運営責任者の業務部イベント課のエリク・ベイロン課長に会い、打ち合せをする予定だ。
「結婚式の予定が見えて来たら、改めてご相談しましょう!」
「とても楽しみにしておりますわ!」
などと、ラクルテルご夫妻、笑顔の父ロジェさん、母リディアーヌさんに見送られ……
俺とトリッシュさん。シルヴェーヌさん、シャルロットさんが表に出ると、
頼んだ通り、リヴァロル公爵家の専用馬車が止まっていた。
御者は、先ほど俺達を邂逅亭へ送ってくれたのと同じ人。
彼も休憩をとったのだろう。
やはり、にこにこしていた。
「では! 失礼致します!」
「「「失礼致します!」」」
俺達は改めて辞去のあいさつをし、馬車へ乗り込んだ。
そして、冒険者ギルドへと向かったのである。
ここぞとばかり、俺はラクルテルご夫妻へ、
『決めゼリフ』を言い放っていた。
すると、父ロジェさん、母リディアーヌさんは「はあ!?」という感じ。
え!?
何その反応?
まさかNO!とかと焦った俺であったが、心配は杞憂であった。
「おいおい、ロイク様、何言ってんだ、今更!」
「ええ、そうですよ!」
「え? じゃあ!」
「ああ! ロイク様みたいな最高の婿殿はどこ探しても見つからねえ! トリッシュもぞっこんだしな!」
「ええ! ええ! ロイク様もウチの子を可愛がってくれてるのは一目瞭然ですし!」
ここで、トリッシュさんも会話に混ざり、
「パパ! ママ! 私だけじゃなく! お嫁さん全員が旦那様と相思相愛なのよお♡ ねえ、そうですよねえ?」
同意を求められたシルヴェーヌさん、シャルロットさんもにっこにこ。
「ええ! 全員、旦那様と相思相愛ですわ♡」
「そして! 妻全員、仲良しさんですわ♡」
そんな俺達の様子を見て、ラクルテルご夫妻は嬉しそうである。
更に話が弾む、弾む。
「パパ、ママ、私、先の事もちゃ~んと考えてるんだ」
「先の事?」
「どういう意味?」
「うん! 私、冒険者ギルドで定年まで勤める気はない。頃合いを見てやめて、いずれこのお店を継ぎたいの!」
ああ、そういえば、トリッシュさんからは、何回か聞いていた。
子供の頃からのもうひとつの夢……
ある程度勤めて、ギルド職員を退職し、両親の店を継ぎたいって。
出来れば店をもっと大きくして大勢の人に美味しい料理を食べて貰いたい。
支店も出したいとか……大きな夢も持っているようだ。
そして商売の話ならと、シャルロットさんと熱心に話していたっけ。
最初にお互い自己紹介した時、プロフを告げたので、
ラクルテルご夫妻は、俺だけでなく、シルヴェーヌさん、シャルロットさんの出自も認識している。
そのシャルロットさんが、きっぱりと言う。
「ウチのルナール商会も、全面的にトリッシュをバックアップして行きますわ。資金も人も資材もです」
当然、俺とシルヴェーヌさんも。
「お父さん、お母さん、シャルロットだけではなく、俺達家族全員で、トリッシュをバックアップして行きますよ」
「はい! 私達家族が持つお金、人脈、情報等々、持てる力全てでフォローします。それが家族全員の幸せにも、つながりますし」
再びトリッシュさんが、
「……という事で、パパ、ママ、このお店を継ぐから! もしダメって言われたら、旦那様達と力を合わせて自分で新しいお店をオープンさせちゃう!」
夢と決意を語る愛娘。
愛娘を支える新たな家族。
ラクルテルご夫妻は、嬉しそうに微笑みながら、「うんうん」と頷いていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
午前11時から約2時間。
……午後1時少し前。
楽しく、にぎやかにランチ会食は終わった。
結局、トリッシュさんの「跡を継ぐ」という希望は基本的に通った。
基本的にとは、トリッシュさんが見習い経営者として修行し、適性があれば、
邂逅亭を譲るという条件がラクルテルご夫妻からついた事。
中々厳しいご両親かもしれない。
この話の後、結婚式はいつという話となった。
とりあえず、もう少し先ですと伝えておく。
王女ルクレツィア様との結婚の件は、
かん口令が敷かれている為、厳秘であり、伝えられない。
またジョルジエット様、アメリー様の事はラクルテルご夫妻には伝えたけど、
嫁ズ全員参加の公式発表までは、まだ口外厳禁。
義両親とはいえ、徹底しておく。
伝え方は優しくへりくだっているけど。
極秘情報の取り扱いとは、大変で気を遣うものだ。
さあ……次は冒険者ギルドへ行かねばならない。
午後2時のアポイントで、運営責任者の業務部イベント課のエリク・ベイロン課長に会い、打ち合せをする予定だ。
「結婚式の予定が見えて来たら、改めてご相談しましょう!」
「とても楽しみにしておりますわ!」
などと、ラクルテルご夫妻、笑顔の父ロジェさん、母リディアーヌさんに見送られ……
俺とトリッシュさん。シルヴェーヌさん、シャルロットさんが表に出ると、
頼んだ通り、リヴァロル公爵家の専用馬車が止まっていた。
御者は、先ほど俺達を邂逅亭へ送ってくれたのと同じ人。
彼も休憩をとったのだろう。
やはり、にこにこしていた。
「では! 失礼致します!」
「「「失礼致します!」」」
俺達は改めて辞去のあいさつをし、馬車へ乗り込んだ。
そして、冒険者ギルドへと向かったのである。
0
お気に入りに追加
953
あなたにおすすめの小説
【祝・追放100回記念】自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました!
高見南純平
ファンタジー
最弱ヒーラーのララクは、ついに冒険者パーティーを100回も追放されてしまう。しかし、そこで条件を満たしたことによって新スキルが覚醒!そのスキル内容は【今まで追放してきた冒険者のスキルを使えるようになる】というとんでもスキルだった!
ララクは、他人のスキルを組み合わせて超万能最強冒険者へと成り上がっていく!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第二章シャーカ王国編
勇者召喚に巻き込まれたモブキャラの俺。女神の手違いで勇者が貰うはずのチートスキルを貰っていた。気づいたらモブの俺が世界を救っちゃってました。
つくも
ファンタジー
主人公——臼井影人(うすいかげと)は勉強も運動もできない、影の薄いどこにでもいる普通の高校生である。
そんな彼は、裏庭の掃除をしていた時に、影人とは対照的で、勉強もスポーツもできる上に生徒会長もしている——日向勇人(ひなたはやと)の勇者召喚に巻き込まれてしまった。
勇人は異世界に旅立つより前に、女神からチートスキルを付与される。そして、異世界に召喚されるのであった。
始まりの国。エスティーゼ王国で目覚める二人。当然のように、勇者ではなくモブキャラでしかない影人は用無しという事で、王国を追い出された。
だが、ステータスを開いた時に影人は気づいてしまう。影人が勇者が貰うはずだったチートスキルを全て貰い受けている事に。
これは勇者が貰うはずだったチートスキルを手違いで貰い受けたモブキャラが、世界を救う英雄譚である。
※他サイトでも公開
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
Sランクパーティから追放された俺、勇者の力に目覚めて最強になる。
石八
ファンタジー
主人公のレンは、冒険者ギルドの中で最高ランクであるSランクパーティのメンバーであった。しかしある日突然、パーティリーダーであるギリュウという男に「いきなりで悪いが、レンにはこのパーティから抜けてもらう」と告げられ、パーティを脱退させられてしまう。怒りを覚えたレンはそのギルドを脱退し、別のギルドでまた1から冒険者稼業を始める。そしてそこで最強の《勇者》というスキルが開花し、ギリュウ達を見返すため、己を鍛えるため、レンの冒険譚が始まるのであった。
追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す
散士
ファンタジー
役立たずの烙印を押されパーティを追放された少年、ルカ。
しかし、彼には秘められたスキルと目標に向けて努力するひたむきさがあった。
そんな彼を認め、敬愛する新たな仲間が周囲に集まっていく。少年は仲間と共に冒険者の最高峰を目指す。
※ノベルアップ+にも投稿しています。
器用貧乏の意味を異世界人は知らないようで、家を追い出されちゃいました。
武雅
ファンタジー
この世界では8歳になると教会で女神からギフトを授かる。
人口約1000人程の田舎の村、そこでそこそこ裕福な家の3男として生まれたファインは8歳の誕生に教会でギフトを授かるも、授かったギフトは【器用貧乏】
前例の無いギフトに困惑する司祭や両親は貧乏と言う言葉が入っていることから、将来貧乏になったり、周りも貧乏にすると思い込み成人とみなされる15歳になったら家を、村を出て行くようファインに伝える。
そんな時、前世では本間勝彦と名乗り、上司と飲み入った帰り、駅の階段で足を滑らし転げ落ちて死亡した記憶がよみがえる。
そして15歳まであと7年、異世界で生きていくために冒険者となると決め、修行を続けやがて冒険者になる為村を出る。
様々な人と出会い、冒険し、転生した世界を器用貧乏なのに器用貧乏にならない様生きていく。
村を出て冒険者となったその先は…。
※しばらくの間(2021年6月末頃まで)毎日投稿いたします。
よろしくお願いいたします。
「モノマネだけの無能野郎は追放だ!」と、勇者パーティーをクビになった【模倣】スキル持ちの俺は、最強種のヒロインたちの能力を模倣し無双する!
藤川未来
ファンタジー
主人公カイン(男性 20歳)は、あらゆる能力を模倣(コピー)する事が出来るスキルを持つ。
だが、カインは「モノマネだけの無能野郎は追放だ!」と言われて、勇者パーティーから追放されてしまう。
失意の中、カインは、元弟子の美少女3人と出会う。彼女達は、【希少種】と呼ばれる最強の種族の美少女たちだった。
ハイエルフのルイズ。猫神族のフローラ。精霊族のエルフリーデ。
彼女たちの能力を模倣(コピー)する事で、主人公カインは勇者を遙かに超える戦闘能力を持つようになる。
やがて、主人公カインは、10人の希少種のヒロイン達を仲間に迎え、彼女達と共に、魔王を倒し、「本物の勇者」として人類から崇拝される英雄となる。
模倣(コピー)スキルで、無双して英雄に成り上がる主人公カインの痛快無双ストーリー
◆◆◆◆【毎日7時10分、12時10分、18時10分、20時10分に、一日4回投稿します】◆◆◆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる