226 / 257
第226話「我が家族にこれから必要になるもの、3つを徹底しましょう」
しおりを挟む
……今夜の合同連絡会議が始まった。
やはりいつもとは雰囲気が違う。
グレゴワール様がにこやかに見守り、ジョルジエット様、アメリー様は、興味津々という雰囲気で俺と秘書達を見つめていた。
このメンバーに、いずれ王女ルクレツィア様が加わり、いろいろと話し合うだろう。
そして、ルクレツィア様の兄上アレクサンドル陛下、
昼間会ったサニエ子爵夫妻、ルナール商会会頭のセドリックさん、シルヴェーヌさんの兄上バジルさんなどなどが新たな家族となる……
ふと思う、思い出す……
……前世から転生した事に気づいた俺は、このステディ・リインカネーションの世界で、既に両親と死に別れた孤児だった。
前の世界に残して来た両親、友人を思い、心が寂しくなり、ひどく懐かしかった。
明日が見えない状況の中、こきつかわれていた万屋の倉庫で、
ひっそりと泣いた事もある。
でも、今や俺には新たな『家族』がいっぱい増えた。
個人事業主となり、自由気ままに生きようと思い、やってはみたが、
そうはならなかった。
……けれど、後悔は全くない。
自分が一生懸命に働いた事を喜び、感謝してくれる人々がたくさん居る、
今の環境を喜びたい。
それが明日へのモチベーション、生きる意欲へつながるから。
ダークサイド企業で働いていた前世は、そんな事は全く皆無だったからね。
さてさて、物思いにふけるのはそれくらいにして、合同連絡会議を進めよう。
まずは秘書3人に各所の状況を報告して貰う。
シルヴェーヌさんが言う。
「王国執行官秘書として申し上げます。王国執行官として受諾する業務ですが、後日王立闘技場で行われるお披露目の準備を進めるくらいです。確認は必要ですが、第一優先かつ緊急で、すぐ完遂すべきものはありません。とりあえず冒険者ギルド、ルナール商会の案件を優先して宜しいと思います」
次にシャルロットさん、
「ルナール商会最高顧問秘書として申し上げます。ウチの依頼案件はいくつもありますが、現在私の方で優先順位を精査しておりますわ。近々、提出する予定です。受諾、実施に関してはおいおいご相談と致しましょう」
最後にトリッシュさん。
「冒険者ギルド最高顧問秘書として申し上げます。ギルドが運営を請け負う、王立闘技場のトーナメント、ファルコ王国王家主催武術大会へ、ロイク様ご参加の準備を進めるのが最優先事項ですね。具体的に申し上げますと、運営責任者の業務部イベント課のエリク・ベイロン課長に会い、打ち合わせをする必要があるでしょう」
はきはきと滑舌良く、報告をして行く3人の秘書達。
うん!
我が嫁ながら、すっごくかっこいい!
うんうんと満足そうに頷くグレゴワール様。
一方、ジョルジエット様、アメリー様は、
憧れの眼差しで『姉』と慕う3人を見つめていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
秘書3人のお陰で、現状が把握出来て、やるべき事が見えて来た。
王国執行官は、やるべき業務の要確認。
大破壊収束の公式発表で、多少意味合いは薄れてしまった。
だが、予定通り実施すべきであろう、王立闘技場のトーナメント、
ファルコ王国王家主催武術大会参加と、その準備。
生け捕りにしたオーガとのエキシビションマッチの準備も必要だ。
ルナール商会の依頼案件の優先順位の確認。
ファルコ王国王家主催武術大会の運営を請け負う、
冒険者ギルド運営責任者の業務部イベント課のエリク・ベイロン課長との打合せ。
そして本日会って、実感した、サニエ子爵家への貢献。
名と爵位を上げ、現当主の子爵を良い役職に就け、出来る限り領地を広げる事。
これはジョルジエット様のリヴァロル公爵家、
ひいてはルクレツィア様のファルコ王国も。
いや、内容は若干の相違はあるが、
シャルロットさんのルナール商会、トリッシュさんの冒険者ギルドも同じだろう。
ここで俺はぶっちゃけで、少しリアルな話をしようと思った。
一同へ挙手をして、発言を求める。
筆頭秘書のシルヴェーヌさんが、笑顔で、
「ロイク様、お話しくださいませ」
と許可をしてくれた。
俺は軽く一礼し、口を開く。
「突然ですが、考えていた事があります。我々家族の発展、繁栄の為、何が必要かという事です。グレゴワール様には、司祭に説教、法話かもしれませんが、とりあえずお聞きください」
本当は釈迦に説法と言いたかったが、ステディ・リインカネーションの世界に仏教の概念はない。
仕方なく言い換えた。
俺は話を続けて行く。
「我が家族にこれから必要になるもの、3つを徹底しましょう。それはまず金儲け、つまり蓄財、次に人……つまり人脈の構築と良好さの維持、更なる発展、そして情報……つまり情報の収集と取捨、有効活用です」
俺の話を聞き、やはりグレゴワール様はうんうんと満足そうに頷き、
女子達は目を丸くし、驚いていたのである。
やはりいつもとは雰囲気が違う。
グレゴワール様がにこやかに見守り、ジョルジエット様、アメリー様は、興味津々という雰囲気で俺と秘書達を見つめていた。
このメンバーに、いずれ王女ルクレツィア様が加わり、いろいろと話し合うだろう。
そして、ルクレツィア様の兄上アレクサンドル陛下、
昼間会ったサニエ子爵夫妻、ルナール商会会頭のセドリックさん、シルヴェーヌさんの兄上バジルさんなどなどが新たな家族となる……
ふと思う、思い出す……
……前世から転生した事に気づいた俺は、このステディ・リインカネーションの世界で、既に両親と死に別れた孤児だった。
前の世界に残して来た両親、友人を思い、心が寂しくなり、ひどく懐かしかった。
明日が見えない状況の中、こきつかわれていた万屋の倉庫で、
ひっそりと泣いた事もある。
でも、今や俺には新たな『家族』がいっぱい増えた。
個人事業主となり、自由気ままに生きようと思い、やってはみたが、
そうはならなかった。
……けれど、後悔は全くない。
自分が一生懸命に働いた事を喜び、感謝してくれる人々がたくさん居る、
今の環境を喜びたい。
それが明日へのモチベーション、生きる意欲へつながるから。
ダークサイド企業で働いていた前世は、そんな事は全く皆無だったからね。
さてさて、物思いにふけるのはそれくらいにして、合同連絡会議を進めよう。
まずは秘書3人に各所の状況を報告して貰う。
シルヴェーヌさんが言う。
「王国執行官秘書として申し上げます。王国執行官として受諾する業務ですが、後日王立闘技場で行われるお披露目の準備を進めるくらいです。確認は必要ですが、第一優先かつ緊急で、すぐ完遂すべきものはありません。とりあえず冒険者ギルド、ルナール商会の案件を優先して宜しいと思います」
次にシャルロットさん、
「ルナール商会最高顧問秘書として申し上げます。ウチの依頼案件はいくつもありますが、現在私の方で優先順位を精査しておりますわ。近々、提出する予定です。受諾、実施に関してはおいおいご相談と致しましょう」
最後にトリッシュさん。
「冒険者ギルド最高顧問秘書として申し上げます。ギルドが運営を請け負う、王立闘技場のトーナメント、ファルコ王国王家主催武術大会へ、ロイク様ご参加の準備を進めるのが最優先事項ですね。具体的に申し上げますと、運営責任者の業務部イベント課のエリク・ベイロン課長に会い、打ち合わせをする必要があるでしょう」
はきはきと滑舌良く、報告をして行く3人の秘書達。
うん!
我が嫁ながら、すっごくかっこいい!
うんうんと満足そうに頷くグレゴワール様。
一方、ジョルジエット様、アメリー様は、
憧れの眼差しで『姉』と慕う3人を見つめていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
秘書3人のお陰で、現状が把握出来て、やるべき事が見えて来た。
王国執行官は、やるべき業務の要確認。
大破壊収束の公式発表で、多少意味合いは薄れてしまった。
だが、予定通り実施すべきであろう、王立闘技場のトーナメント、
ファルコ王国王家主催武術大会参加と、その準備。
生け捕りにしたオーガとのエキシビションマッチの準備も必要だ。
ルナール商会の依頼案件の優先順位の確認。
ファルコ王国王家主催武術大会の運営を請け負う、
冒険者ギルド運営責任者の業務部イベント課のエリク・ベイロン課長との打合せ。
そして本日会って、実感した、サニエ子爵家への貢献。
名と爵位を上げ、現当主の子爵を良い役職に就け、出来る限り領地を広げる事。
これはジョルジエット様のリヴァロル公爵家、
ひいてはルクレツィア様のファルコ王国も。
いや、内容は若干の相違はあるが、
シャルロットさんのルナール商会、トリッシュさんの冒険者ギルドも同じだろう。
ここで俺はぶっちゃけで、少しリアルな話をしようと思った。
一同へ挙手をして、発言を求める。
筆頭秘書のシルヴェーヌさんが、笑顔で、
「ロイク様、お話しくださいませ」
と許可をしてくれた。
俺は軽く一礼し、口を開く。
「突然ですが、考えていた事があります。我々家族の発展、繁栄の為、何が必要かという事です。グレゴワール様には、司祭に説教、法話かもしれませんが、とりあえずお聞きください」
本当は釈迦に説法と言いたかったが、ステディ・リインカネーションの世界に仏教の概念はない。
仕方なく言い換えた。
俺は話を続けて行く。
「我が家族にこれから必要になるもの、3つを徹底しましょう。それはまず金儲け、つまり蓄財、次に人……つまり人脈の構築と良好さの維持、更なる発展、そして情報……つまり情報の収集と取捨、有効活用です」
俺の話を聞き、やはりグレゴワール様はうんうんと満足そうに頷き、
女子達は目を丸くし、驚いていたのである。
1
お気に入りに追加
953
あなたにおすすめの小説
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
石しか生成出来ないと追放されましたが、それでOKです!
うどん五段
ファンタジー
夏祭り中に異世界召喚に巻き込まれた、ただの一般人の桜木ユリ。
皆がそれぞれ素晴らしいスキルを持っている中、桜木の持つスキルは【石を出す程度の力】しかなく、余りにも貧相なそれは皆に笑われて城から金だけ受け取り追い出される。
この国ではもう直ぐ戦争が始まるらしい……。
召喚された3人は戦うスキルを持っていて、桜木だけが【石を出す程度の能力】……。
確かに貧相だけれど――と思っていたが、意外と強いスキルだったようで!?
「こうなったらこの国を抜け出して平和な国で就職よ!」
気合いを入れ直した桜木は、商業ギルド相手に提案し、国を出て違う場所で新生活を送る事になるのだが、辿り着いた国にて、とある家族と出会う事となる――。
★暫く書き溜めが結構あるので、一日三回更新していきます! 応援よろしくお願いします!
★カクヨム・小説家になろう・アルファポリスで連載中です。
中国でコピーされていたので自衛です。
「天安門事件」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる