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第184話「既に陛下は、中でお待ちになっております!」
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「ああ、但し、協力をして貰うから、いろいろ相談をさせてくれたまえ」
何か『策』を考えていたらしいグレゴワール様は、
俺に向かって「にやり」と笑った。
「協力……ですか?」
「おお、いろいろ協力して貰う。頼むぞ!」
「はい」
「うむ! 良い返事だ。さて、フレデリクと話す前に、アレクサンドル陛下へこの喜ばしい吉報を伝え、ご安心させたい!」
「成る程。そりゃそうですね。お疲れ様です」
納得。
宰相として、グレゴワール様が、大破壊の収束を、陛下に報告されるんだろう。
一方俺は、このままスタンバイって事か。
まあ、国王陛下へのご対応は、お任せしましょう。
ひと休み、ひと休みっと。
すると、俺の心の中を見抜いたように、グレゴワール様は、
「ははは、ロイク君。お疲れ様とか、何、人ごとみたいに言っているんだ。君も私と一緒に陛下の下へ伺うんだよ」
はい~?
俺も一緒っすかあ?
「え? そうなんですか?」
「何を言っている。私の『預かり』とはいえ、本来は組織上、君は陛下の直属なんだぞ」
「ああ、そう言えばそうでした」
「ははは! 君はほぼ徹夜明けで激戦をこなし、疲れていると思う。そういうコンディションなのに大変申し訳ないが、私とともに、陛下へお会いするんだ。お願いしたい事もあるしな!」
「陛下へお願いしたい事……ですか?」
「ああ、悪いようにはしない。上手くいけば、全てが丸く収まるはずだ」
俺の心の中に、グレゴワール様の言葉がリフレインする。
「はははははははは!! ロイク君!! 私に任せておけ!! オーガどもを全て君が倒してしまう。こうなる可能性があるのではと、私は想定し、シミュレーションをしていたよ」
グレゴワール様は、いろいろな事態を想定し、シミュレーションしていたらしい。
俺がオーガどもを全て倒してしまう事も想定内だったって事だ。
全てが丸く収まるはず……か。
ここは、グレゴワール様を信じよう。
「分かりました! お供致しましょう」
「うむ、では早速、陛下の下へ伺おう」
俺は王国宰相執務室の壁にかかる魔導時計を見た。
既に日付は変わり、午前1時近い。
思わず俺は尋ねる。
「グレゴワール様」
「おう」
「この時間でも……陛下は起きていらっしゃるんですか?」
「うむ、既にご就寝されておられるかもしれないが、非常事態宣言中だし、事が事だ。万が一の場合は、起こしても構わないと、陛下からは、ご了解を頂いておる」
おお、さすがグレゴワール様。
抜け目がない!
否、手ぬかりがない!
という事で、俺はグレゴワール様とともに、国王陛下の下へ向かったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
王宮の奥にある、王族専用の専用の広大なプライベートエリア。
そのプライベートエリア内にあるプライベートルームのひとつ、
特別応接室付きの国王専用書斎で、
俺はアレクサンドル陛下にお会いしている。
あの時もグレゴワール様と一緒だった。
さてさて!
グレゴワール様と俺は、王国宰相秘書室長、アルフォンス・バゼーヌさん、
そして、王国宰相専任の護衛騎士と、シルヴェーヌさんの兄バジルさんとは違う、
たくましい男子騎士に先導され、王宮内をゆっくりと歩いて行く。
王国宰相執務室へ来た時もそうだったが、深夜の王宮は凄く静かだ。
15分ほど歩き、王族プライベートエリアまで来た。
夜中だというのに、騎士が数十人詰める受付があり、
その横には、待合室みたいな場所があった。
グレゴワール様は騎士のひとりに何か指示をした。
アレクサンドル陛下を起こす事、謁見へ赴いた旨を伝えたようだ。
指示を受けた騎士は、いずこともなく消えて行く。
一方、すぐには通されず、グレゴワール様と俺は少々待つ事に。
30分以上待っただろうか、先ほどグレゴワール様が指示をした騎士が戻って来た。
謁見の準備が出来たという。
ここでアルフォンスさん、王国宰相専任の護衛騎士さんとは一旦お別れ。
王国宰相執務室へ戻って待機するらしい。
王族プライベートエリア専任の護衛騎士さんに先導して貰う。
この王族プライベートエリアも、しん!と静まり返っている。
ところどころ、いくつかの部屋には人の気配がし、魔導灯の明かりも漏れていた。
非常事態宣言が発令され、不安な夜を過ごしているのだろう。
だが……
オーガ5千体が現れた国境付近までは約1,000㎞もある。
国王陛下以下、王族の方々も王宮内に留まり、
「まだまだ避難などしない」という事らしい。
まもなく、グレゴワール様と俺は国王陛下の専用書斎へ到着した。
入口には、やはりというか騎士が2名、護衛として立っていた。
まずは、俺達を先導して来た騎士さんが護衛の騎士達へ敬礼。
「王国宰相、グレゴワール・リヴァロル公爵閣下と、王国執行官ロイク・アルシェ殿をお連れした!」
続いて、グレゴワール様が、声を張り上げる。
「このような時間だが、緊急事態につき、お願いし、お時間を頂いておる! 陛下にお会いしたい!」
すると、騎士のひとりが、びしっと敬礼。
「かしこまりました! 既に陛下は、中でお待ちになっております!」
と言い放ち、更に書斎へ向かい、
「陛下! 王国宰相グレゴワール・リヴァロル公爵閣下と、王国執行官ロイク・アルシェ殿がいらっしゃいましたあ!」
とひときわ大きな声で言い放った。
対して、
「うむ!! 待っていたぞ! 大儀である!! すぐ中へ通してくれ!!」
と、ファルコ王国第81代国王、アレクサンドル・ファルコ陛下の声が、
大きく大きく響いていたのである。
何か『策』を考えていたらしいグレゴワール様は、
俺に向かって「にやり」と笑った。
「協力……ですか?」
「おお、いろいろ協力して貰う。頼むぞ!」
「はい」
「うむ! 良い返事だ。さて、フレデリクと話す前に、アレクサンドル陛下へこの喜ばしい吉報を伝え、ご安心させたい!」
「成る程。そりゃそうですね。お疲れ様です」
納得。
宰相として、グレゴワール様が、大破壊の収束を、陛下に報告されるんだろう。
一方俺は、このままスタンバイって事か。
まあ、国王陛下へのご対応は、お任せしましょう。
ひと休み、ひと休みっと。
すると、俺の心の中を見抜いたように、グレゴワール様は、
「ははは、ロイク君。お疲れ様とか、何、人ごとみたいに言っているんだ。君も私と一緒に陛下の下へ伺うんだよ」
はい~?
俺も一緒っすかあ?
「え? そうなんですか?」
「何を言っている。私の『預かり』とはいえ、本来は組織上、君は陛下の直属なんだぞ」
「ああ、そう言えばそうでした」
「ははは! 君はほぼ徹夜明けで激戦をこなし、疲れていると思う。そういうコンディションなのに大変申し訳ないが、私とともに、陛下へお会いするんだ。お願いしたい事もあるしな!」
「陛下へお願いしたい事……ですか?」
「ああ、悪いようにはしない。上手くいけば、全てが丸く収まるはずだ」
俺の心の中に、グレゴワール様の言葉がリフレインする。
「はははははははは!! ロイク君!! 私に任せておけ!! オーガどもを全て君が倒してしまう。こうなる可能性があるのではと、私は想定し、シミュレーションをしていたよ」
グレゴワール様は、いろいろな事態を想定し、シミュレーションしていたらしい。
俺がオーガどもを全て倒してしまう事も想定内だったって事だ。
全てが丸く収まるはず……か。
ここは、グレゴワール様を信じよう。
「分かりました! お供致しましょう」
「うむ、では早速、陛下の下へ伺おう」
俺は王国宰相執務室の壁にかかる魔導時計を見た。
既に日付は変わり、午前1時近い。
思わず俺は尋ねる。
「グレゴワール様」
「おう」
「この時間でも……陛下は起きていらっしゃるんですか?」
「うむ、既にご就寝されておられるかもしれないが、非常事態宣言中だし、事が事だ。万が一の場合は、起こしても構わないと、陛下からは、ご了解を頂いておる」
おお、さすがグレゴワール様。
抜け目がない!
否、手ぬかりがない!
という事で、俺はグレゴワール様とともに、国王陛下の下へ向かったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
王宮の奥にある、王族専用の専用の広大なプライベートエリア。
そのプライベートエリア内にあるプライベートルームのひとつ、
特別応接室付きの国王専用書斎で、
俺はアレクサンドル陛下にお会いしている。
あの時もグレゴワール様と一緒だった。
さてさて!
グレゴワール様と俺は、王国宰相秘書室長、アルフォンス・バゼーヌさん、
そして、王国宰相専任の護衛騎士と、シルヴェーヌさんの兄バジルさんとは違う、
たくましい男子騎士に先導され、王宮内をゆっくりと歩いて行く。
王国宰相執務室へ来た時もそうだったが、深夜の王宮は凄く静かだ。
15分ほど歩き、王族プライベートエリアまで来た。
夜中だというのに、騎士が数十人詰める受付があり、
その横には、待合室みたいな場所があった。
グレゴワール様は騎士のひとりに何か指示をした。
アレクサンドル陛下を起こす事、謁見へ赴いた旨を伝えたようだ。
指示を受けた騎士は、いずこともなく消えて行く。
一方、すぐには通されず、グレゴワール様と俺は少々待つ事に。
30分以上待っただろうか、先ほどグレゴワール様が指示をした騎士が戻って来た。
謁見の準備が出来たという。
ここでアルフォンスさん、王国宰相専任の護衛騎士さんとは一旦お別れ。
王国宰相執務室へ戻って待機するらしい。
王族プライベートエリア専任の護衛騎士さんに先導して貰う。
この王族プライベートエリアも、しん!と静まり返っている。
ところどころ、いくつかの部屋には人の気配がし、魔導灯の明かりも漏れていた。
非常事態宣言が発令され、不安な夜を過ごしているのだろう。
だが……
オーガ5千体が現れた国境付近までは約1,000㎞もある。
国王陛下以下、王族の方々も王宮内に留まり、
「まだまだ避難などしない」という事らしい。
まもなく、グレゴワール様と俺は国王陛下の専用書斎へ到着した。
入口には、やはりというか騎士が2名、護衛として立っていた。
まずは、俺達を先導して来た騎士さんが護衛の騎士達へ敬礼。
「王国宰相、グレゴワール・リヴァロル公爵閣下と、王国執行官ロイク・アルシェ殿をお連れした!」
続いて、グレゴワール様が、声を張り上げる。
「このような時間だが、緊急事態につき、お願いし、お時間を頂いておる! 陛下にお会いしたい!」
すると、騎士のひとりが、びしっと敬礼。
「かしこまりました! 既に陛下は、中でお待ちになっております!」
と言い放ち、更に書斎へ向かい、
「陛下! 王国宰相グレゴワール・リヴァロル公爵閣下と、王国執行官ロイク・アルシェ殿がいらっしゃいましたあ!」
とひときわ大きな声で言い放った。
対して、
「うむ!! 待っていたぞ! 大儀である!! すぐ中へ通してくれ!!」
と、ファルコ王国第81代国王、アレクサンドル・ファルコ陛下の声が、
大きく大きく響いていたのである。
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