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第182話「王国執行官ロイク・アルシェ様がお戻りになりました!」

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午前11時から、休憩も入れ、約12時間……
俺は約1,000kmを走り切り、王都へ到着していた。

3万人の連合部隊を率いるフレデリク・バシュラール将軍とは、
結局、遭遇しなかった。

街道以外の行軍ルートはない。
また、3万もの大軍ゆえに迂回は不可能。

つまり、まだ出発していないという事だ。

何とか出撃前に間に合った!
という安堵の思いが心に満ちる。

しかし、これからが大変だ。
出撃準備は既に整ったか、遅くとも進行中のはずである。

現在の時刻は午後11時過ぎ……夜半近いので、安全上の為、正門は固く閉ざされていた。

しかし俺は正門上の物見やぐらに陣取る門番の夜番へ、身分を明かし、
証明書を見せ、頼み込んで王都内へ入れて貰った。

夜番へ聞くと、王国中に大破壊発生の非常事態宣言が発令されたという。

そして!
やはり3万人の連合部隊は出撃していなかった。
ただ出撃準備は整い、王都闘技場へ集結。
明日、出撃の予定だという。

おお!
ラッキーだ!

パラメータ、LUK:ラッキーが最大値10,000《MAX》のおかげだろうか。

王都内へ入った俺は考える。
少しだけ迷う。

義理父予定の宰相グレゴワール様が詰める王宮へ直行すべきか、
それとも麗しきジョルジエット様、アメリー様と、
シルヴェーヌさん達秘書が待つリヴァロル公爵邸を経て、王宮へ赴くのか……

答えはすぐに出た。

課された任務を考えたら当然、王宮?

いやいや違う!

オーガどもは全て倒し、大破壊の危機は去った。
後は、王国が振り上げた拳……
3万人の連合部隊、オーガ討伐軍の派遣中止とメンツのケアのみ。

そりゃ、俺の無事を心から気にかけてくれる女子達へ、
まず一報を入れる事が優先だろう。

報告のみ入れるだけ、時間もそんなにかけないし。

という事で、俺は速足で、公爵邸へ向かう事に。

夜半近い王都でも、普段は結構な人通りがあるのに、外出している者は皆無に近かった。
発令されている非常事態宣言が原因に違いない。

数回、衛兵に職質で呼び止められるが、王国執行官ロイク・アルシェの身分証明書を見せ、切り抜ける。

……公爵邸へ到着。

公爵邸門番担当の騎士達は、俺が出撃した経緯と行先を知っている。
なので俺の帰還を見て、大いに驚いた。
戻るのが早すぎると。

「「「ロイク様!!??」」」

対して俺は、

「話は後だ。報告だけ入れる」

と告げ、本館の大広間へ入って待つ。

約10分後……

使用人に起こされたジョルジエット様、アメリー様、
別棟から駆け付けた、シルヴェーヌさん、シャルロットさん、トリッシュさんが、
慌ただしい様子でやって来た。

「ロイク様あ!」
「よくぞ、ご無事で!」
「お、お帰りなさいませ!」

全員、俺を見て、驚きと安堵の表情が入り混じっていた。

「時間がないから、簡単な報告のみします。今回の大破壊は収束。オーガども5千体はすべて討伐完了。被害はボドワン・ブルデュー辺境伯家の兵士の軽傷者3名のみ。住民は全て避難済み。当然ブルデュー辺境伯も、俺も無事です」

俺がシンプルな報告をすると、女子達は、

「「「「「わああああっっっ!!!!!」」」」」

と大きな歓声を上げたのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

女子達へ無事を告げた俺は今度こそ、王宮へ。

夜中だが、秘書達3人には、後から護衛付きの馬車で来るように伝えておいた。

念の為、召喚したケルベロスを置いて行く。
王宮手前までの警護を命じておいた。

という事で、単身、俺は急ぎ王宮へ。

王宮の警備は相変わらず厳重だが、王国執行官ロイク・アルシェの身分証明書は勿論、必殺の?『王国執行官御免状』が役立った。

見せると「控えおろう!」「はは~っ!」って感じで、警護の騎士達は、恐れ入り、
先へ通してくれた。

警護の騎士に導かれ、俺は王国宰相執務室へ。

王宮へ到着した際、グレゴワール様はアレクサンドル陛下と打合せ中だったが……
俺が帰還したと知り、王国宰相執務室へ戻ったのだ。

とんとんとんとん。

警護の騎士が王国宰相執務室の扉をノック。
いつもは秘書経由なのだが、現在は非常時だから。

「王国執行官ロイク・アルシェ様がお戻りになりました!」

騎士が声を張り上げると、室内からすぐに反応。

グレゴワール様の声が大きく響く。

「おお、今、開ける!」

がちゃり、と音を立て、扉が開いた。

ぬおっと立ち尽くす、偉丈夫のグレゴワール様。

俺は胸を張り、その場で、

「朗報です! 今回の大破壊は収束。オーガども5千体はすべて討伐完了。被害はボドワン・ブルデュー辺境伯家の兵士の軽傷者3名のみ。住民は全て避難済み。当然ブルデュー辺境伯も、自分も無事です」

と、はきはきした口調で報告を入れたのである。
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