上 下
94 / 257

第94話「窃盗犯どもだけでなく、オーガどもも全員ドミノ倒しのようにぶっ倒れた」

しおりを挟む
60秒からカウントダウン。
俺が数え、ケルベロスへ指示をする。

50……30……10…………1、ゼロ!

と同時に、俺とケルベロスは、柵が破壊された侵入口へ猛ダッシュした。

「え!?」

迫撃を目論んだ俺達に対し、見張りがびっくりした瞬間、

まず一回目のバトルは終了していた。

どむっ!

「ぐが!」

同時に!
軽く肉を打つ音が響き、俺の右拳から当て身を脇腹へ喰らった見張りは悶絶。
即、気絶していたからだ。

『よし! ケルベロス! 打合せ通り! 奴らが逃げられないよう、ここを固めておいてくれ!』

『了解した! 上手くやれよ、主!』

ケルベロスの声を背に受け、俺はメロン畑の中へ突っ込む。

更に俺は速度を上げる。

1分間プラスアルファ、インターバルを取った甲斐があった。

メロン畑では、ウハウハ顔の窃盗団どもが実ったメロンをもぎ、
オーガが背負う籠へ、ぽいぽいっと入れ始めている最中であった。

よし!!
てめえら!!
窃盗の現行犯確定!!!

こういう時、無傷で相手の動きを止めるスキルは、超が付く使い勝手の良さだ。

かああああああああああああああああああっ!!!!!!!!

俺は『威圧』のスキルを最高レベルで発しつつ、奴らの中へ乱入!!

ぎん! ぎん! ぎん! ぎん! ぎん! ぎん! ぎん! ぎん!

バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ!!!!!!!!

よし!
俺の目力は、視線が合わなくとも大丈夫。
強力な魔力の放射で、対象者を動けなくする。

結果、窃盗犯どもだけでなく、オーガどもも全員ドミノ倒しのようにぶっ倒れた。

よし!よし!
人間もオーガも全員、がちがちに身体を硬直させ、行動不能となっているぞ!

ここで、俺は王都で購入しておいた『新兵器』を出す。
それは賊の生け捕り用、魔導ロープ。

カウボーイの投げ縄のように投げると、蛇のように動き、
対象物にぐるぐる絡みついた後、がっつりと固まり、行動不能とする。

少々値は張ったが……

大は小を兼ねるとばかりに、けちらずにオーガ捕縛用の最強ロープを
大量購入しておいたのはラッキー。

しゅばっ!しゅばっ!しゅばっ!しゅばっ!しゅばっ!
しゅばっ!しゅばっ!しゅばっ!しゅばっ!

びしっ!びしっ!びしっ!びしっ!びしっ!
びしっ!びしっ!びしっ!びしっ!

という事で人間4人とオーガ5体を縛り上げ、一丁上がり!

行動不能となって、倒れている相手に投げて縛り上げるのだから、
外すわけがない。

このようにしたのは、いろいろ考えた結果である。
派手にバトルしたら、人間魔物の血、肉片が飛び散るし、
耕作地にも大きなダメージを与えてしまう。

思い切り汚して、俺が掃除するのも、いかがなものかだしね。

さあ!
本館事務所へ行って、スタンバイしている、社員さん、スタッフさんへ、
賊とオーガ確保! をしらせて来よう。

俺は耕作地外へ出て、先ほど気絶させた見張りも、

しゅばっ!
びしっ!

魔導ロープできっちり縛り上げると……

ケルベロスへ留守番を頼み、本館へ向かい走り出したのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

俺が速攻で、本館へ戻ると、
場長のマルタン・ボンフィスさん、副場長のエンゾ・オフレさん以下、
30人以上の社員さん、スタッフさん達が待機していた。

あれれ?
話より、待機人数が全然多いぞ。
打合せでは、10人から15人での交代制だったはず。

まあ、良いや。
予定より全然早い時間に現場を押さえたから。

「どうでした?」

と身を乗り出し、尋ねるマルタンさん、エンゾさんへ俺は緊急報告。

「マルタンさん、エンゾさん、請け負った仕事の約半分を終えました」

「請け負った仕事の約半分?」
「どういう意味でしょう? ロイク様」

「ただいま、メロン畑において、窃盗団の人間5人、オーガ5体を捕縛しました。現場を確認して頂いたら、奴らの本拠を急襲し、残党を捕縛します」

「おお! 凄いですぞ!」
「ほ、本当ですか? 昨夜の奴らでしょうか!」

「はい! 論より証拠です。現場において奴ら全員を魔導ロープで縛り上げ、戦闘不能としてあります。現場でウチの使い魔が番をしております、昨夜の奴らかどうなのか、ぜひぜひ、ご覧になってご確認ください」

「分かりました」
という事で、本館には留守番を残し、俺はマルタンさん以下を引き連れ、現場へ!

マルタンさん達は、捕縛された窃盗団とオーガどもを見て、安堵し感嘆。

強力な魔導灯を照らし、犯人の顔確認をした結果、確定は出来ないが、
捕まえたオーガが身体の傷の位置から昨夜の個体の一体だと断定。

それを踏まえ、俺は奴らの本拠地を単独で急襲。

残党の人間3人とオーガ3体を無力化し捕縛、
魔導ロープで縛り、数珠つなぎにし、犯行現場へ戻った。

マルタンさん達が大喜びしたのは言うまでもない。

翌朝、俺は神速ダッシュの時速100kmで、王都の衛兵隊を呼びに行き、
折り返し駆け付けた衛兵隊により、窃盗団とオーガどもは逮捕された。

奴らは王都で裁判にかけられるらしいが、重罪は免れられないだろう。

こうして、俺はルナール・ファーム……農場の依頼を完遂したのである。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

『殺す』スキルを授かったけど使えなかったので追放されました。お願いなので静かに暮らさせてください。

晴行
ファンタジー
 ぼっち高校生、冷泉刹華(れいぜい=せつか)は突然クラスごと異世界への召喚に巻き込まれる。スキル付与の儀式で物騒な名前のスキルを授かるも、試したところ大した能力ではないと判明。いじめをするようなクラスメイトに「ビビらせんな」と邪険にされ、そして聖女に「スキル使えないならいらないからどっか行け」と拷問されわずかな金やアイテムすら与えられずに放り出され、着の身着のままで異世界をさまよう羽目になる。しかし路頭に迷う彼はまだ気がついていなかった。自らのスキルのあまりのチートさゆえ、世界のすべてを『殺す』権利を手に入れてしまったことを。不思議なことに自然と集まってくる可愛い女の子たちを襲う、残酷な運命を『殺し』、理不尽に偉ぶった奴らや強大な敵、クラスメイト達を蚊を払うようにあしらう。おかしいな、俺は独りで静かに暮らしたいだけなんだがと思いながら――。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
ファンタジー
 主人公ライルはブリケード王国の第一王子である。  しかし、ある日―― 「ライル。お前を我がブリケード王家から追放する!」  父であるバリオス・ブリケード国王から、そう宣言されてしまう。 「お、俺のスキルが真の力を発揮すれば、きっとこの国の役に立てます」  ライルは必死にそうすがりつく。 「はっ! ライルが本当に授かったスキルは、【トカゲ化】か何かだろ? いくら隠したいからって、【竜化】だなんて嘘をつくなんてよ」  弟である第二王子のガルドから、そう突き放されてしまう。  失意のまま辺境に逃げたライルは、かつて親しくしていた少女ルーシーに匿われる。 「苦労したんだな。とりあえずは、この村でゆっくりしてくれよ」  ライルの辺境での慎ましくも幸せな生活が始まる。  だが、それを脅かす者たちが近づきつつあった……。

追放された付与術士、別の職業に就く

志位斗 茂家波
ファンタジー
「…‥‥レーラ。君はもう、このパーティから出て行ってくれないか?」 ……その一言で、私、付与術士のレーラは冒険者パーティから追放された。 けれども、別にそういう事はどうでもいい。なぜならば、別の就職先なら用意してあるもの。 とは言え、これで明暗が分かれるとは……人生とは不思議である。 たまにやる短編。今回は流行りの追放系を取り入れて見ました。作者の他作品のキャラも出す予定デス。 作者の連載作品「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」より、一部出していますので、興味があればそちらもどうぞ。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

処理中です...