上 下
22 / 257

第22話「ここからが本番」

しおりを挟む
未登録だった俺は『ランカー』となり、
いきなり上級冒険者の仲間入りをしてしまった。

こうなると、エヴラールさんもクロエさんも、俺のスペックが気になるらしい。
まあ、これは至極当然といえよう。

クロエさんが、尋ねて来る。
何を聞くのか、知っている。

冒険者登録の際の『事前確認』というやつだ。

「ロイク様、ではランクBとして登録致します」

「お願い致します」

「心の扉を開きますか?」

「もちろんです!」

「念の為、登録の際、冒険者ギルドとして、所属冒険者の管理統括という前提から、お持ちの現スペックがオープンになりますが、構いませんか?」

「全然OKです!」

クロエさんから尋ねられ、OKした俺は「心の扉を開く」検査祭儀室へ向かった。

ランクBのランカーに判定された事は、全くの想定外。
良くてCだと思っていたから、驚いた事に加え、素直に嬉しい。

でも、ここからが本番。

更に確信している『想定』の事実がはっきりすれば、万々歳なのである。

今後の俺の生き方が……
将来が決まると言っても、過言ではない。

「心の扉を開く」作業をするのは、ギルド専属の魔法使いさんだ。

そもそも「スペック確認」及び「心の扉を開く」魔法自体は、
商品の真贋、価値を見極める、『鑑定魔法』の一種である。

つまり、べたに言えば、『鑑定魔法』を行使し、『人間の価値』を鑑定するのだ。
それがひいては、人間のステータス確認というロジックらしい。

ちなみに、創世神教会の方法は違っていて、純粋に読心的な魔法を使う。
しかし、何でも心が読めるというわけでなく、スペックのみだそうだ。
本当かどうかは分からない。

さてさて!
検査祭儀室へ到着。
水晶を加工して平面にした魔導モニターと、
椅子がふたつ置かれただけの殺風景な部屋だ。

俺を「鑑定する」魔法使いさんは、可愛い20代前半の女子である。
少し天然いやし系という感じのほんわかタイプ。

「ロイク・アルシェです。宜しくお願いします」

「うふふ、こちらこそぉ、宜しくお願い致しまあす」

あいさつが終わると、
サブマスターのエヴラールさん、秘書のクロエさんは、退室。
ガラス越しの別室で、大型魔導モニターを見ながら、待機する。

方法は簡単である。

魔法使い女子さんが、俺へ、ダイレクトに鑑定魔法を発動。
鑑定魔法の魔力に俺が包まれる。

しばし経ち、魔力が心身へ行き渡ってから、
水晶を加工して平面にした魔導モニターに、俺が触れる。

すると、検査祭儀室魔導モニターと、
エヴラールさん、クロエさんが待機する別室の魔導モニターに、
俺の『スペック』が表れるのだ。

それらの魔導モニターから、冒険者ギルド総本部の魔導記録機に転送、
ストックされ、一括管理されるという仕組みである。

「魔力が、ロイク様の体内へ行き渡りましたあ。続いて、オプションの心の扉も開けまあす!」

「…………………」

「ロイク様あ、モニターを直接、触ってくださあい」

魔法使い女子の指示に従い、俺はそっと、水晶製魔導モニターを触った。

するとモニター画面に、文字が浮かび上がって来たのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

皆様、常識だ、もしくは違う!と思われる部分もあるかもしれない。

しかしRPG『ステディ・リインカネーション』の設定という事で、
ご容赦して頂き、スペックの説明をしよう。

俺自身へ対して、復習の意味もある。

数値対比が分かりやすいよう、
平民素人10代男子、一流冒険者、
そして、『ステディ・リインカネーション』をプレイした俺が、
己のアバター、アラン・モーリアを設定した際の『初期設定数字』も入れる。

ちなみに、各MAX数値は、先述の通り10,000となる。

〇STR:ストレングス

力強さ。

『ステディ・リインカネーション』の場合、
体力、筋力、物理攻撃の攻撃力に影響する。
気力や精神力もカバーする。

STR値が低いと、重い武器を上手く扱う事が不可能であり、
鋼鉄製のよろいたてなど、重装備が不可能な場合もある。
また所有可能なアイテム等の総重量に影響する。

平民素人10代男子30~200、一流冒険者2,500~8,000、

そして、『初期設定数字』数字6,000
※スペシャルボーナスポイント使用。

〇DEX:デクステリティー

手先の器用さ。
行動の機敏さ。

『ステディ・リインカネーション』の場合、主に命中力を表す。
命中力が高いと、攻撃が当たりやすくなり、
クリティカル頻度に影響する事もある。

また魔法、スキルの習得度、上達度も後押しする。

平民素人10代男子30~200、一流冒険者3,500~8,000、

そして、『初期設定数字』数字10,000《MAX》
※スペシャルボーナスポイント使用。

〇VIT:バイタリティー

生命力。
活力。
体力。
成長力。

丈夫さ、持久力を表し、物理攻撃全般の防御力を形成する
防御力のみでなく、最大HPの増加効果となっている場合もある。

平民素人10代男子30~200、一流冒険者3,500~8,000、

そして、『初期設定数字』数字10,000《MAX》
※スペシャルボーナスポイント使用。
当時設定されたHPは、4,000であった。

〇AGI:アジリティ

機敏さ。
素早さ。

DEXと連動し、回避能力に大きな影響を及ぼす。

身体運動能力に影響する。

平民素人10代男子30~200、一流冒険者3,500~7,000、

そして、『初期設定数字』数字10,000《MAX》
※スペシャルボーナスポイント使用。

〇INT:インテリジェンス

知力。
賢さ。

『ステディ・リインカネーション』の場合、魔法力に直結し、
体内魔力量、魔法攻撃力に影響する。

平民素人10代男子5~200、一流冒険者3,500~7,000、

そして、『初期設定数字』数字4,000
※スペシャルボーナスポイント使用。

〇MND:マインド

精神力。

『ステディ・リインカネーション』の場合、魔法力に直結し、
魔法防御力、回復魔法、補助魔法の強さに影響する。

平民素人10代男子30~200、一流冒険者3,500~7,000、
そして、『初期設定数字』数字4,000
※スペシャルボーナスポイント使用。 

INT、MND合わせて、当時設定されたMPは、4,000であった。

〇LUK:ラッキー

運。

特定の職業が特異的な高さを持つ場合がある。

『ステディ・リインカネーション』の場合、
クリティカルヒット率上昇、ドロップアイテム拾得率アップ、
生産率アップなどへ影響する。

また、生存率上昇、敵との遭遇率低下、敵の攻撃率低下につながる。

平民素人10代男子30~200、一流冒険者3,500~7,000、
そして、『初期設定数字』数字10,000《MAX》
※スペシャルボーナスポイント使用。 

〇CHA:カリスマ

カリスマ。
一般大衆を魅了するような資質や技能。
『ステディ・リインカネーション』の場合、
イベント成功の可否にかかわる場合あり。

特定の職業において、攻撃力に置き換わる場合もある。

平民素人10代男子30~200、一流冒険者3,500~7,000、
そして、『初期設定数字』数字2,000
※スペシャルボーナスポイント使用。 

こんなものか……

さあて。
スペックの復習は終わった。

これまでの経緯、経験で確信を持った、
現時点での俺のスペックを改めて確認しよう。

俺は改めて、モニター画面を見たのである。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

『殺す』スキルを授かったけど使えなかったので追放されました。お願いなので静かに暮らさせてください。

晴行
ファンタジー
 ぼっち高校生、冷泉刹華(れいぜい=せつか)は突然クラスごと異世界への召喚に巻き込まれる。スキル付与の儀式で物騒な名前のスキルを授かるも、試したところ大した能力ではないと判明。いじめをするようなクラスメイトに「ビビらせんな」と邪険にされ、そして聖女に「スキル使えないならいらないからどっか行け」と拷問されわずかな金やアイテムすら与えられずに放り出され、着の身着のままで異世界をさまよう羽目になる。しかし路頭に迷う彼はまだ気がついていなかった。自らのスキルのあまりのチートさゆえ、世界のすべてを『殺す』権利を手に入れてしまったことを。不思議なことに自然と集まってくる可愛い女の子たちを襲う、残酷な運命を『殺し』、理不尽に偉ぶった奴らや強大な敵、クラスメイト達を蚊を払うようにあしらう。おかしいな、俺は独りで静かに暮らしたいだけなんだがと思いながら――。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
ファンタジー
 主人公ライルはブリケード王国の第一王子である。  しかし、ある日―― 「ライル。お前を我がブリケード王家から追放する!」  父であるバリオス・ブリケード国王から、そう宣言されてしまう。 「お、俺のスキルが真の力を発揮すれば、きっとこの国の役に立てます」  ライルは必死にそうすがりつく。 「はっ! ライルが本当に授かったスキルは、【トカゲ化】か何かだろ? いくら隠したいからって、【竜化】だなんて嘘をつくなんてよ」  弟である第二王子のガルドから、そう突き放されてしまう。  失意のまま辺境に逃げたライルは、かつて親しくしていた少女ルーシーに匿われる。 「苦労したんだな。とりあえずは、この村でゆっくりしてくれよ」  ライルの辺境での慎ましくも幸せな生活が始まる。  だが、それを脅かす者たちが近づきつつあった……。

追放された付与術士、別の職業に就く

志位斗 茂家波
ファンタジー
「…‥‥レーラ。君はもう、このパーティから出て行ってくれないか?」 ……その一言で、私、付与術士のレーラは冒険者パーティから追放された。 けれども、別にそういう事はどうでもいい。なぜならば、別の就職先なら用意してあるもの。 とは言え、これで明暗が分かれるとは……人生とは不思議である。 たまにやる短編。今回は流行りの追放系を取り入れて見ました。作者の他作品のキャラも出す予定デス。 作者の連載作品「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」より、一部出していますので、興味があればそちらもどうぞ。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

処理中です...