上 下
4 / 32

第4話「女傑騎士、ラパン修道院の生活にギブアップ」

しおりを挟む
女傑じょけつと多くの人々からうたわれた、
レサン王国騎士隊の元騎士、ブランシュ男爵家令嬢、ロゼール・ブランシュ。

父・オーバンの厳命により、彼女がラパン修道院へ来た翌日から、
これまでの騎士隊生活とは全く違う『新しい生活』が、始まった。

ここで、無骨な女子?ロゼールにとって、
修道院のような規則正しい生活は苦手なのではないのか?
と、思う方がいらっしゃるかもしれない。

だがロゼールは騎士隊時代、起床時間、門限が決まった規則正しい生活を、
騎士隊の寮において、また自宅で過ごす際も、己へ課していた。

なので、きっちり予定が決められたスケジュールの生活は、
そう苦ではない、却って楽勝だとたかをくくっていた。

しかし……
それは、大きな間違いであった。

騎士隊宿舎の生活と、修道院の生活は、全く勝手が違っていたのだ。

ちなみに、貴族家令嬢としての花嫁修業、行儀見習いの為、
ロゼールのスケジュールは一般のシスターとは少々、違っていた。

また、修道院における、花嫁修業、行儀見習とは、
家事、刺繍を中心とした裁縫、
レサン語の読み書き、詩や物語の作り方、歌い方、
王国貴族の儀礼、作法等の指導である。

家事などは、貴族家において本来は使用人が行うものだが……
貴族令嬢のたしなみの一環として、
習得させられる慣習がレサン王国にはあったのだ。

これらの修養に関し、ロゼールは幼い頃、
母シャンタルから、ひと通り習った気もするが、
騎士になり、鍛錬に明け暮れるようになり、すっかり忘れていた。

さてさて!
具体的には、下記のようなスケジュールである。
また、スケジュール厳守の命令は、
修道院長から、教育係のジスレーヌ・オーブリー経由で、
何度も何度も徹底的に念が押された。

4:00AM――起床
4:30AM――読書『創世神教聖書』等々

6:30AM――ミサ、朝のお祈り……朝のお祈り後に朝食    

8:00AM~10:00AMまで午前の仕事……主に農作業を行う。

10:30AM~11:30AM――教育係担当シスターによる、昼食調理を兼ねた料理指導。または交代で家事指導等を受ける。

0:00PM――昼のお祈り後に、昼食

1:00PM――2:30まで午後の仕事……主にお菓子作り、裁縫作業を行う。
または交代で、教育係担当シスターによる、家事指導等を受ける。

3:00PM~4:00PM――教育係担当シスターによる、読み書き、歌唱指導を受ける。

4:30PM――散歩、軽運動に限る。激しい運動は禁止。

5:30PM――晩のお祈り後に、夕食

7:00PM――教育係担当シスターによる、行儀作法、儀礼指導を受ける。

8:30PM――創世神様に一日過ごせた感謝を捧げる寝る前のお祈り、
その後、就寝まで自由時間。

9:30PM――就寝

という「かっちり」した生活である。

繰り返すが……
騎士隊時代の習慣で、ロゼールは規則正しい早起き早寝はそう苦ではない。

しかし、騎士として『武道ひとすじ』のロゼールは、すぐ物足りなくなった。

というか、初日で音を上げ、『脱走』しようかとも思ったくらいだった。

何故ならば、騎士隊時代とは違って、厳しい鍛錬が全くない生活――
散歩と軽い運動だけの生活が、ひどく窮屈な気分になり、すぐに嫌気がさしてしまったのだ。

それから1週間が経った……

運動不足の生活を我慢していたロゼールは、
仕方なく、農作業の際、体操をしたり、出来る限り身体を動かすようにしたが、
ストレスが溜まるばかり。

『あらさがし』の感がある、修道院長の小言がたっぷりと増えた事もあり……
父から勘当される事もやむなしと、
修道院における花嫁修業、行儀見習いをやめ、
最悪の場合、やはりというか、修道院から「脱走する」事も考えていたのである。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

チートな幼女に転生しました。【本編完結済み】

Nau
恋愛
道路に飛び出した子供を庇って死んだ北野優子。 でもその庇った子が結構すごい女神が転生した姿だった?! 感謝を込めて別世界で転生することに! めちゃくちゃ感謝されて…出来上がった新しい私もしかして規格外? しかも学園に通うことになって行ってみたら、女嫌いの公爵家嫡男に気に入られて?! どうなる?私の人生! ※R15は保険です。 ※しれっと改正することがあります。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

辺境薬術師のポーションは至高 騎士団を追放されても、魔法薬がすべてを解決する

鶴井こう
ファンタジー
【書籍化しました】 余分にポーションを作らせ、横流しして金を稼いでいた王国騎士団第15番隊は、俺を追放した。 いきなり仕事を首にされ、隊を後にする俺。ひょんなことから、辺境伯の娘の怪我を助けたことから、辺境の村に招待されることに。 一方、モンスターたちのスタンピードを抑え込もうとしていた第15番隊。 しかしポーションの数が圧倒的に足りず、品質が低いポーションで回復もままならず、第15番隊の守備していた拠点から陥落し、王都は徐々にモンスターに侵略されていく。 俺はもふもふを拾ったり農地改革したり辺境の村でのんびりと過ごしていたが、徐々にその腕を買われて頼りにされることに。功績もステータスに表示されてしまい隠せないので、褒賞は甘んじて受けることにしようと思う。

浮気をした王太子が、真実を見つけた後の十日間

田尾風香
恋愛
婚姻式の当日に出会った侍女を、俺は側に置いていた。浮気と言われても仕方がない。ズレてしまった何かを、どう戻していいかが分からない。声には出せず「助けてくれ」と願う日々。 そんな中、風邪を引いたことがきっかけで、俺は自分が掴むべき手を見つけた。その掴むべき手……王太子妃であり妻であるマルティエナに、謝罪をした俺に許す条件として突きつけられたのは「十日間、マルティエナの好きなものを贈ること」だった。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

処理中です...