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第597話「いきなり押しかけ、お願いもして申し訳ありませんが、何卒宜しくお願い致します」
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冒険者ギルド総本部サブマスター専用応接室。
アールヴ族のソウェル、ヒルデガルド・エテラヴオリとともに訪れたリオネルは、
彼女との出会い、現在の状況を話して行った。
アクィラ王国の地下深き迷宮フォルミーカにおいて、
ヒルデガルドの祖父で前ソウェルのイェレミアス・エテラヴオリと出会った事。
しばしの間、イェレミアスと一緒に暮らし、意気投合。
帰国するというイェレミアスに懇願され、イエーラの建て直しに尽力する事を約束。
正式に契約した事。
イェレミアスにより孫娘で現ソウェル、ヒルデガルドに引き合わされ、
最初こそ戸惑いつつも、これまた意気投合。
結果、イェレミアス、ヒルデガルドの両名から正式に依頼を受け、
イエーラの為、尽力する事に。
今回は、ヒルデガルドの初国外である『視察』に同行している事。
……をざっくりと話した。
フォルミーカ迷宮の最下層地下150階から先には秘密の古代都市が存在し、
そこで暮らした事は当然伏せてある。
それ以外の秘する部分も、話してはいない。
しかし、ブレーズとクローディーヌは、冒険譚に近いリオネルの話を、
興味津々かつ面白がって聞いている。
無理もない。
召喚した屈強な従士を伴ったとはいえ、
人間族として単身フォルミーカの迷宮へ挑み、
最下層150階まで行き、帰還した事を称賛したのだ。
リオネルがランクSに昇格した際の、
凄まじきドラゴン、巨人族等の討伐を知っていたから尚更である。
「ふうむ……という事は、ドラゴンや巨人族が数多跋扈するフォルミーカ迷宮の怖ろしい深層階で、リオネル君は、イエーラの前ソウェル、イェレミアス様と出会い、意気投合。一緒にしばらく暮らしたというのだな」
「はい、まあ、そんなところです」
「そうか! 君は誰にでも人当たりが良いし、気配り上手だ。だからイェレミアス様にも気に入られたのかもしれないな」
「そうですか」
「ああ、間違いない。そして君の討伐戦歴は冒険者ギルド総本部のデータベースで見させて貰った。確か、現在はレベル50だったな」
「はい、俺、今はレベル50です。総本部でも分かりますよね」
「ああ、以前、英雄の迷宮で一緒に探索した際も、レベルよりも強い、さすがだとは思ったが……フォルミーカの迷宮で更に鍛え上げ、リオネル君の現在の実力はレベル50よりも遥かに上を行っている。討伐戦歴を評価すれば、ランクSの認定も当然だとローランド様もおっしゃっていた」
ここまで言うと、ブレーズは苦笑し、軽く息を吐く。
「ふう……私は勿論だが、主ローランド様でさえ、進化した今のリオネル君と、どこまで戦えるのか……」
ここで、ヒルデガルドが誇らしげに言う。
「はい! リオネル様は、とてもお強いです! 我がイエーラへ度々侵入し、長年、大きな害を為していた首魁のオークキング以下、魔境に跋扈していたオーク約2千体を、私の目の前で、半日かからずに打ち倒してしまわれましたわ!」
ヒルデガルドの話を聞き、ブレーズとクローディーヌは驚きつつも納得。
「ほう! オークキング以下、魔境のオーク約2千体をですか!」
「半日で!? そ、それは本当に凄いですね!」
「はい! リオネル様は、本当に頼もしい方ですわ!」
ブレーズとクローディーヌのリアクションを見て聞いて、
ヒルデガルドは満足そうに大きく頷き、
握ったリオネル手へぎゅ!と力を入れたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ひと通り、イェレミアス、ヒルデガルドとの出会いと、これまでの経緯を話すと、
リオネルは、『本題』へ入る事にした。
「ところで……今回こちらへ伺ったのは、ヒルデガルドさんの視察というか、彼女の人間社会についての勉強の為、そしてイエーラへ公社を作るのでその下準備です」
リオネルは、そう言い、話を続ける。
「というわけで、ワレバッドの街を見学をしたいと思いますが、まずは、この冒険者ギルド総本部の見学許可を頂ければと」
「成る程。街と総本部の見学か……分かった。街も総本部も、立ち入り禁止区域以外はOKだよ。とりあえず総本部に関しては、私の案内だと目立ち過ぎるから、クローディーヌを含め、秘書室の人間に案内役を務めさせよう。街の案内も希望するのなら護衛をつける」
「もろもろ、ありがとうございます。そして公社設立の方ですが、人間社会でいう商社を作るつもりです。イエーラはしばらく鎖国政策を継続しつつも、国境の特別地区のみで商取引――交易を行いたいと考えています。イエーラの特産品を売りつつ、各国から様々な商品を輸入する事になるでしょう」
ブレーズとクローディーヌは、ヒルデガルドの人間社会見学よりも、
公社設立の方が気になるようだ。
イエーラから、アールヴ族が来る事はあっても、他国の人間が入国する事は、
頑なに拒否していたからである。
特別地区のみとはいえ、イエーラが、
国外の者を受け入れるのは、政策の大きな転換なのだから。
「念の為、誤解の無いよう繰り返しますが、イエーラの鎖国政策は当分の間、継続しますし、開国しない可能性もあります。そして入国は、許可を受けた者のみ、特別地区のみとなります。万が一、ルールを違反したら、厳罰に処す事になります」
きっぱり告げたリオネルは、
「どちらにしても現在、アクィラ王国との国境付近に特別地区を建設中です。完成してからの話ですから、だいぶ先になりますね」
すぐ、交易は開始されない。
まだまだ準備段階だと強調。
「いきなり押しかけ、お願いもして申し訳ありませんが、何卒宜しくお願い致します」
と言い、深く頭を下げたのである。
アールヴ族のソウェル、ヒルデガルド・エテラヴオリとともに訪れたリオネルは、
彼女との出会い、現在の状況を話して行った。
アクィラ王国の地下深き迷宮フォルミーカにおいて、
ヒルデガルドの祖父で前ソウェルのイェレミアス・エテラヴオリと出会った事。
しばしの間、イェレミアスと一緒に暮らし、意気投合。
帰国するというイェレミアスに懇願され、イエーラの建て直しに尽力する事を約束。
正式に契約した事。
イェレミアスにより孫娘で現ソウェル、ヒルデガルドに引き合わされ、
最初こそ戸惑いつつも、これまた意気投合。
結果、イェレミアス、ヒルデガルドの両名から正式に依頼を受け、
イエーラの為、尽力する事に。
今回は、ヒルデガルドの初国外である『視察』に同行している事。
……をざっくりと話した。
フォルミーカ迷宮の最下層地下150階から先には秘密の古代都市が存在し、
そこで暮らした事は当然伏せてある。
それ以外の秘する部分も、話してはいない。
しかし、ブレーズとクローディーヌは、冒険譚に近いリオネルの話を、
興味津々かつ面白がって聞いている。
無理もない。
召喚した屈強な従士を伴ったとはいえ、
人間族として単身フォルミーカの迷宮へ挑み、
最下層150階まで行き、帰還した事を称賛したのだ。
リオネルがランクSに昇格した際の、
凄まじきドラゴン、巨人族等の討伐を知っていたから尚更である。
「ふうむ……という事は、ドラゴンや巨人族が数多跋扈するフォルミーカ迷宮の怖ろしい深層階で、リオネル君は、イエーラの前ソウェル、イェレミアス様と出会い、意気投合。一緒にしばらく暮らしたというのだな」
「はい、まあ、そんなところです」
「そうか! 君は誰にでも人当たりが良いし、気配り上手だ。だからイェレミアス様にも気に入られたのかもしれないな」
「そうですか」
「ああ、間違いない。そして君の討伐戦歴は冒険者ギルド総本部のデータベースで見させて貰った。確か、現在はレベル50だったな」
「はい、俺、今はレベル50です。総本部でも分かりますよね」
「ああ、以前、英雄の迷宮で一緒に探索した際も、レベルよりも強い、さすがだとは思ったが……フォルミーカの迷宮で更に鍛え上げ、リオネル君の現在の実力はレベル50よりも遥かに上を行っている。討伐戦歴を評価すれば、ランクSの認定も当然だとローランド様もおっしゃっていた」
ここまで言うと、ブレーズは苦笑し、軽く息を吐く。
「ふう……私は勿論だが、主ローランド様でさえ、進化した今のリオネル君と、どこまで戦えるのか……」
ここで、ヒルデガルドが誇らしげに言う。
「はい! リオネル様は、とてもお強いです! 我がイエーラへ度々侵入し、長年、大きな害を為していた首魁のオークキング以下、魔境に跋扈していたオーク約2千体を、私の目の前で、半日かからずに打ち倒してしまわれましたわ!」
ヒルデガルドの話を聞き、ブレーズとクローディーヌは驚きつつも納得。
「ほう! オークキング以下、魔境のオーク約2千体をですか!」
「半日で!? そ、それは本当に凄いですね!」
「はい! リオネル様は、本当に頼もしい方ですわ!」
ブレーズとクローディーヌのリアクションを見て聞いて、
ヒルデガルドは満足そうに大きく頷き、
握ったリオネル手へぎゅ!と力を入れたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ひと通り、イェレミアス、ヒルデガルドとの出会いと、これまでの経緯を話すと、
リオネルは、『本題』へ入る事にした。
「ところで……今回こちらへ伺ったのは、ヒルデガルドさんの視察というか、彼女の人間社会についての勉強の為、そしてイエーラへ公社を作るのでその下準備です」
リオネルは、そう言い、話を続ける。
「というわけで、ワレバッドの街を見学をしたいと思いますが、まずは、この冒険者ギルド総本部の見学許可を頂ければと」
「成る程。街と総本部の見学か……分かった。街も総本部も、立ち入り禁止区域以外はOKだよ。とりあえず総本部に関しては、私の案内だと目立ち過ぎるから、クローディーヌを含め、秘書室の人間に案内役を務めさせよう。街の案内も希望するのなら護衛をつける」
「もろもろ、ありがとうございます。そして公社設立の方ですが、人間社会でいう商社を作るつもりです。イエーラはしばらく鎖国政策を継続しつつも、国境の特別地区のみで商取引――交易を行いたいと考えています。イエーラの特産品を売りつつ、各国から様々な商品を輸入する事になるでしょう」
ブレーズとクローディーヌは、ヒルデガルドの人間社会見学よりも、
公社設立の方が気になるようだ。
イエーラから、アールヴ族が来る事はあっても、他国の人間が入国する事は、
頑なに拒否していたからである。
特別地区のみとはいえ、イエーラが、
国外の者を受け入れるのは、政策の大きな転換なのだから。
「念の為、誤解の無いよう繰り返しますが、イエーラの鎖国政策は当分の間、継続しますし、開国しない可能性もあります。そして入国は、許可を受けた者のみ、特別地区のみとなります。万が一、ルールを違反したら、厳罰に処す事になります」
きっぱり告げたリオネルは、
「どちらにしても現在、アクィラ王国との国境付近に特別地区を建設中です。完成してからの話ですから、だいぶ先になりますね」
すぐ、交易は開始されない。
まだまだ準備段階だと強調。
「いきなり押しかけ、お願いもして申し訳ありませんが、何卒宜しくお願い致します」
と言い、深く頭を下げたのである。
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