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第556話「しかし、リオネルの呼びかけは、まだ終わらない」
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「あ、貴女さまが!? 地界王アマイモン様の、ご、ご令嬢!?」
ヒルデガルドは、びっくりして叫んだ。
対してティエラは、柔らかく微笑む。
「うふふ、ご令嬢って大層なものじゃないけど、アマイモンの娘である事は確かよ。そしてね、私がリオへ地の加護を与えたの」
「リ、リオネル様へ!? ティエラ様が!? ち、地のご加護を!?」
「ええ、そうよ! リオはね、地属性の魔法を使いこなすのは勿論、植物の繁茂を含めた大地の恵みをもたらす事も可能なの」
「え? !? そ、それって!?」
「分かりやすく言うとね、どんなに荒れ果てた不毛の地でも、地の加護を受けたリオにかかればエデンのような楽園に変わるのよ」
「す、凄い!」
「凄いでしょ? 例えばさ。イメージしてみて。ソウェルたる貴女が、どう対応しようかと悩むイエーラの荒野も、リオが力を振るえば、緑豊かな農地になるわ」
「……………………」
「イエーラ国内の各所にある不毛の地が、リオにより農地へ変われば、食糧問題の解決にもつながるでしょ?」
「……………………」
「それが全てではないけれど、地属性の精霊にはね、そういう力があるのよ」
「……………………」
「ヒルデガルド。貴女もさすがに一般常識としては、知っているだろうけど、そう言われると改めて、偉大なる地の力を実感するでしょ?」
「……………………」
「貴女たちアールヴ族は、風と水の属性を特に好むから、私みたいな地の精霊にはあまり関心がないでしょうけどね」
「ふ、不勉強で! も、申し訳ございません! と、いう事は、リオネル様は地属性の魔法使いなのですか?」
「ぶっぶ~! だと思うでしょ? 私がここまでリオへ入れ込んでいるからね♡ でもね、残念ながら違うんだなあ、これが」
「ち、違うとは!? リオネル様は他にもお持ちの属性が!? マ、複数属性魔法使用者なのですか!?」
「うふふ♡ 種明かしをする前にい、リオ、自己紹介しちゃって」
「了解です。ヒルデガルドさん、アールヴ族の皆さん」
リオネルは、ヒルデガルドと、護衛役、事務官のアールヴ達へ、
「改めまして! 俺はリオネル・ロートレック、冒険者ギルド所属ランクSの冒険者で魔法剣士です!」
あいさつし、一礼した。
あまりにもあっさりとしたリオネルの自己紹介。
物々しい肩書と重い立場を聞かされると思ったヒルデガルドは、
拍子抜けしてしまう。
「え? そ、それだけですか? リオネル様、他に役職や肩書きをお持ちでは?」
「いや、それぐらいで特にないですよ」
「そんな!? し、信じられません!!」
「うふふ、ヒルデガルド、驚いたでしょ。リオはね、威張らず、驕らずでとんでもなく控えめなの。これだけの力を持っているのに自慢なんか絶対にしないのよ。ここまで接して来て分かるでしょ?」
確かにティエラの言う通りである。
リオネルの様子は、ず~っと変わらない。
底知れぬ実力を有しているのに、ひけらかす事無く、控えめなのだ。
種族云々ではなく、才能かつ力あるものは、ほぼ尊大になるはずなのに。
常識を壊されたヒルデガルドは、ただただ納得するしかない。
「は、はい……驚きましたが、ティエラ様のおっしゃる通りです」
「うふふふ、ヒルデガルド、これからが本番よ」
力なく返事をするヒルデガルドへ、ティエラは、にっこりと笑ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ティエラの言葉を聞き、ヒルデガルドは驚く。
「え? これからが本番ですか?」
「ええ、このティエラが、素敵なイベントを用意してあるわ」
「す、素敵なイベントですか?」
「はあい! 正確には素敵なゲストを呼んだのよ」
「正確には素敵なゲスト……どういう事でしょう?」
「まあ、見てて御覧なさいって……リオ、ゲストを呼んでちょうだい」
「了解です」
イエーラの都フェフへ来る前、リオネルは、
ティエラから『考えていた事』を耳打ちされていた。
ティエラが考えていた事とは、先ほど魔法を見せた『論より証拠』の一環である。
リオネルは、呼吸法を使い、体内魔力を高め始める。
やがて体内魔力が満ち、頃合いとみて、リオネルは、念話で呼びかける。
『リーア様、いらっしゃってください』
『は~い! や~っと呼んでくれたわね♡』
弾むような声とともに、空間が割れ、ひとりの少女が現れた。
透き通るという表現がぴったりなほど肌が白い。
手足が細く、華奢な身体。
その身体を、これまた透き通るような美しい純白の衣服で包んでいる。
宙に浮かぶ少女が、人間でない事はすぐ判明した。
彼女の背には、透明な2枚の羽根が生えていたからだ。
そう!
リオネルに呼ばれ、現れたのは風の精霊シルフのリーアである。
『ようこそ! リーア様!』
『やっほ~!』
しかし、リオネルの呼びかけは、まだ終わらない。
『マイム様、いらっしゃってください』
『うふふふ♡ 私の方も久々ね、リオネル君!』
呼びかけと同時に、リーアの時と同じく空間が割れ、姿を現したのは、
これまた水色のヴェールをまとった美しい少女であった。
少女は、透き通るという表現がぴったりなほど肌が白い。
手足が細く、華奢な身体。
その身体を、これまた透き通るような美しい純白の衣服で包んでいる。
そう!
シルフのリーアに続いて、リオネルに呼ばれ、現れたのは、
水の精霊ウンディーネのマイムである。
そしてトリを務めるのは、異界から呼び出す、
火の精霊サラマンダーへ擬態した、火竜ファイアドレイクである。
地の精霊ティエラ、風の精霊シルフのリーア、水の精霊ウンディーネのマイム。
火の精霊サラマンダー。
リオネルの周囲には、まるで主を守るように、
4つの属性、全ての精霊が現れたのである。
ヒルデガルドは、びっくりして叫んだ。
対してティエラは、柔らかく微笑む。
「うふふ、ご令嬢って大層なものじゃないけど、アマイモンの娘である事は確かよ。そしてね、私がリオへ地の加護を与えたの」
「リ、リオネル様へ!? ティエラ様が!? ち、地のご加護を!?」
「ええ、そうよ! リオはね、地属性の魔法を使いこなすのは勿論、植物の繁茂を含めた大地の恵みをもたらす事も可能なの」
「え? !? そ、それって!?」
「分かりやすく言うとね、どんなに荒れ果てた不毛の地でも、地の加護を受けたリオにかかればエデンのような楽園に変わるのよ」
「す、凄い!」
「凄いでしょ? 例えばさ。イメージしてみて。ソウェルたる貴女が、どう対応しようかと悩むイエーラの荒野も、リオが力を振るえば、緑豊かな農地になるわ」
「……………………」
「イエーラ国内の各所にある不毛の地が、リオにより農地へ変われば、食糧問題の解決にもつながるでしょ?」
「……………………」
「それが全てではないけれど、地属性の精霊にはね、そういう力があるのよ」
「……………………」
「ヒルデガルド。貴女もさすがに一般常識としては、知っているだろうけど、そう言われると改めて、偉大なる地の力を実感するでしょ?」
「……………………」
「貴女たちアールヴ族は、風と水の属性を特に好むから、私みたいな地の精霊にはあまり関心がないでしょうけどね」
「ふ、不勉強で! も、申し訳ございません! と、いう事は、リオネル様は地属性の魔法使いなのですか?」
「ぶっぶ~! だと思うでしょ? 私がここまでリオへ入れ込んでいるからね♡ でもね、残念ながら違うんだなあ、これが」
「ち、違うとは!? リオネル様は他にもお持ちの属性が!? マ、複数属性魔法使用者なのですか!?」
「うふふ♡ 種明かしをする前にい、リオ、自己紹介しちゃって」
「了解です。ヒルデガルドさん、アールヴ族の皆さん」
リオネルは、ヒルデガルドと、護衛役、事務官のアールヴ達へ、
「改めまして! 俺はリオネル・ロートレック、冒険者ギルド所属ランクSの冒険者で魔法剣士です!」
あいさつし、一礼した。
あまりにもあっさりとしたリオネルの自己紹介。
物々しい肩書と重い立場を聞かされると思ったヒルデガルドは、
拍子抜けしてしまう。
「え? そ、それだけですか? リオネル様、他に役職や肩書きをお持ちでは?」
「いや、それぐらいで特にないですよ」
「そんな!? し、信じられません!!」
「うふふ、ヒルデガルド、驚いたでしょ。リオはね、威張らず、驕らずでとんでもなく控えめなの。これだけの力を持っているのに自慢なんか絶対にしないのよ。ここまで接して来て分かるでしょ?」
確かにティエラの言う通りである。
リオネルの様子は、ず~っと変わらない。
底知れぬ実力を有しているのに、ひけらかす事無く、控えめなのだ。
種族云々ではなく、才能かつ力あるものは、ほぼ尊大になるはずなのに。
常識を壊されたヒルデガルドは、ただただ納得するしかない。
「は、はい……驚きましたが、ティエラ様のおっしゃる通りです」
「うふふふ、ヒルデガルド、これからが本番よ」
力なく返事をするヒルデガルドへ、ティエラは、にっこりと笑ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ティエラの言葉を聞き、ヒルデガルドは驚く。
「え? これからが本番ですか?」
「ええ、このティエラが、素敵なイベントを用意してあるわ」
「す、素敵なイベントですか?」
「はあい! 正確には素敵なゲストを呼んだのよ」
「正確には素敵なゲスト……どういう事でしょう?」
「まあ、見てて御覧なさいって……リオ、ゲストを呼んでちょうだい」
「了解です」
イエーラの都フェフへ来る前、リオネルは、
ティエラから『考えていた事』を耳打ちされていた。
ティエラが考えていた事とは、先ほど魔法を見せた『論より証拠』の一環である。
リオネルは、呼吸法を使い、体内魔力を高め始める。
やがて体内魔力が満ち、頃合いとみて、リオネルは、念話で呼びかける。
『リーア様、いらっしゃってください』
『は~い! や~っと呼んでくれたわね♡』
弾むような声とともに、空間が割れ、ひとりの少女が現れた。
透き通るという表現がぴったりなほど肌が白い。
手足が細く、華奢な身体。
その身体を、これまた透き通るような美しい純白の衣服で包んでいる。
宙に浮かぶ少女が、人間でない事はすぐ判明した。
彼女の背には、透明な2枚の羽根が生えていたからだ。
そう!
リオネルに呼ばれ、現れたのは風の精霊シルフのリーアである。
『ようこそ! リーア様!』
『やっほ~!』
しかし、リオネルの呼びかけは、まだ終わらない。
『マイム様、いらっしゃってください』
『うふふふ♡ 私の方も久々ね、リオネル君!』
呼びかけと同時に、リーアの時と同じく空間が割れ、姿を現したのは、
これまた水色のヴェールをまとった美しい少女であった。
少女は、透き通るという表現がぴったりなほど肌が白い。
手足が細く、華奢な身体。
その身体を、これまた透き通るような美しい純白の衣服で包んでいる。
そう!
シルフのリーアに続いて、リオネルに呼ばれ、現れたのは、
水の精霊ウンディーネのマイムである。
そしてトリを務めるのは、異界から呼び出す、
火の精霊サラマンダーへ擬態した、火竜ファイアドレイクである。
地の精霊ティエラ、風の精霊シルフのリーア、水の精霊ウンディーネのマイム。
火の精霊サラマンダー。
リオネルの周囲には、まるで主を守るように、
4つの属性、全ての精霊が現れたのである。
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