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第543話「うふふ、リオはやっぱり律儀よね」

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イェレミアスと古代王国の遺跡で暮らすようになってから1か月間、
リオネルは規則正しくも、多忙な日々を過ごした。

午前3時の起床から始まり……夜22時の就寝まで、時間を目いっぱい、
且つ有効に使ったのである。

各素材製ゴーレムたちの修復及び、真理の文字を刻んでの再起動は、
半月ほどで終わった。

この際だとリオネルは考え、フォルミーカ迷宮へ来る前から従えている個体も、
徹底的にメンテナンスしたのである。 

結果、ゴーレムは岩石製400体、鋼鉄製400体、青銅製500体、ミスリル製500体、
銀製400体、水晶製400体となり、計1,800体から、800体増加、
計2,600体もの大軍団となった。

アタッチメントも足りない素材をイェレミアスから譲って貰い、
様々な種類のものを大量に造った。

ゴーレムのメンテナンスがひと息つくと、リオネルは並行して行っていた
イェレミアスからの知識習得に重きを置いた。

学んだ古代王国の知識とは……
朝昼晩を演出し、地底庭園を支える人口太陽に、
降雨装置をを始めとした、天候装置について。

ストーンサークル転移装置について。

復活させた人間型ゴーレムについて。

結果……リオネルは、天候装置、転移装置の理屈は理解した。

しかし、たった1か月では、古代遺の最下層300階まで探索したのみ。

実際に、天候装置、転移装置に触れ、稼働を見守り、転移を体験するだけで、
それらの装置を再現して造るまでには至らなかった。

人間型ゴーレムのみは、実際に未修理の個体へメンテナンスを施し、
再起動するまでの技術を習得した。

そしてリオネルは、これから赴くアールヴ族についても徹底的に学んだ。

原初のアールヴ族の話から始まり、イエーラの建国から現在に至るまでの歴史、
国民であるアールヴ族たちの性癖、慣習、しきたりなどを、
イェレミアスから学んだのである。

今回リオネルは、改めて知った事も多かった。

排他的なアールヴ族は、自分たちの内情を表には出さず、ひた隠しにしていた。

所詮、リオネルが書物や資料で知る情報は、
ほんの一面的なものに過ぎなかったのだ。

そしてリオネルは、イェレミアスの公開可能なスペックを尋ね、
教えて貰うとともに……

今回の依頼で一番のキーウーマンとなる、
現ソウェルでイェレミアスの孫娘たるヒルデガルド・エテラヴオリの、
容姿、性格、思考、嗜好等々を、いろいろ教えても貰った。
加えて、ソウェルたるヒルデガルドを補佐する幹部の面々の事も。

一方、イェレミアスも、視点で見届けたリオネルの能力について質問した。

失われた古代魔法、転移魔法、飛翔魔法、
そして究極の防御魔法、破邪霊鎧はじゃれいがい

全属性魔法使用者オールラウンダーとして行使する、
4つの属性全ての攻防魔法。

威圧を始めとした各スキル。

たぐいまれなスピードとパワーを兼ね備えた身体能力。

おぞましい不死者アンデッドをものともせず、
おびただしい魔物、竜族、巨人族を凌駕し、
圧倒的な破壊力を持つ剣技、格闘技等々。

そんなリオネルを慕い、強靭な配下たちも、数多付きしたがっている。

他にも数えられないくらい、凄いシーンを目の当たりにした。
まさに論より証拠と言えよう。

イェレミアスは、はっきりと実感していた。
リオネルの能力は底知れぬものであると。

視点で追いきれず、更に不明だった部分を、イェレミアスは問いただした。

……対してリオネルも、全てを明かさず、
同じく、公開可能というレベルで対応したのである。

ちなみにリオネルは身体を鍛える事も続けていた。
地道なトレーニングは勿論、戦闘勘を鈍らせない為、
イェレミアスを伴い、時たま、上層で魔物どもと戦ったのである。

そんなこんなで、1か月が過ぎ……出発の準備も整っていた。
赴く際、持参する荷物もまとめ、リオネルは自身の持つ収納の腕輪へ搬入している。
イェレミアスもポーチ型の収納の魔道具へ仕舞っていた。

そんなある日、約束通り、現れた時同様、唐突にティエラが訪れた。

「はあ~い! おっはよお! おっひさあ! リオ! イェレミアス! 来たわよお!!」

独特な転移魔法を行使し、何もない空間を割り、
空中で、華麗にバック中をして現れたティエラは、
朝食中のリオネルとイェレミアスへVサインをし、微笑んだのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

現れたティエラの姿を見て、先に声を上げたのは、イェレミアスであった。

深々と頭を下げる。

「おお! おはようございます! ティエラ様! ようこそ、いらっしゃいました!」

続いてリオネルも笑顔で一礼、

「おはようございます! お疲れ様です、ティエラ様」

そんなふたりを見たティエラ。

「うふふふ、改めて、おっはあ! いつでも出発OKって感じで、気合が入っているじゃない、ふたりとも」

「はい! リオネル君とふたりで準備をし、お待ちしておりましたぞ」

「ええ、イェレミアスさんのおっしゃる通り、スタンバイしていました。いつでも出発OKですよ」

ティエラの見立て通り、リオネルとイェレミアスはやる気満々状態である。

「うふふ、じゃあ、じゃあ、すぐ出発しましょ」

ここで、「はい!」とリオネルが挙手をする。

「あら? な~に、リオ」

「はい、イエーラへ行くと、しばらくかかりそうなんで、一旦地上へ戻り、フォルミーカの街で何か所か寄ってから、向かいたいんですが」

「うふふ、リオはやっぱり律儀よね。人間族のおじいさんが居る魔道具屋と冒険者ギルド、そしてお世話になった宿屋へ、あいさつの為に、顔出ししたいんでしょ?」

「あはは、ピンポーン! ティエラ様のおっしゃる通りです」

笑顔のリオネルが頷くと、

「OK! じゃあイエーラの都フェフ正門前で落ち合いましょ。念話で連絡してね♡」

そう言うと、ティエラはにっこり笑ってVサイン。

ぱぱっと煙のように消えてしまったのである。
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