517 / 689
第517話「基本的に攻撃は最大の防御で行く!」
しおりを挟む
……翌朝も、リオネルは早めに起床した。
手早く身支度をし、魔獣オルトロス以下の仲間達と共に食事をし、
キャンプをたたみ、出発する事に。
立てた本日の目標は、残っている地下146階層へ降り、
その146階層を、更に147階層を抜け、148階層クリアまで、まずは3階層クリアを目指す。
「まずは」というのは、「所詮、予定は未定だ」という、
ぶれないリオネルのポリシーから来る。
これまで学び得た知識、重ねて来た経験則に基づく事実と推測、及び、
冒険者ギルドの地図、古文書、資料等々で得た情報こそある。
それゆえある程度のシミュレーションは可能なものの、
この先、未知の領域へ足を踏み入れるのに、何が起こるのかなんて、
100%完璧に分からないからだ。
探索と確認は直近の146階層で、たった1階層のみのクリアで終わるかもしれないし、何の妨害もなく順調ならば、一気に予定以上のフロアをクリアし、
地下150階層まで到達出来るかもしれない。
ケースバイケース、臨機応変に対応しようと、リオネルは考えている。
基本的に探索のペース、パターンは変えず、無理はせず、いつもの通りで。
リオネルはシーフ職スキルを駆使し、
『隠形』『忍び足』で、すっ、すっ、すっ、と空気の如く進む。
もしも障害物があれば、転移、飛翔の失われた魔法、
ジャンプ、幅跳び、高所からの落下、木登りし樹上にての軽業など、
確信を得た超人的な身体能力を行使し、楽々と進んで行く。
索敵――魔力感知を最大範囲で張り巡らせ、外敵への警戒も怠らない。
さてさて!
地下121階層から戦って来て、ドラゴン族、巨人族の対処にも慣れた。
油断はしないが、両種族の動きは完全に見切っていた。
様々な手立てを使い、あっさりと屠って行く。
120階層より上層に出現した敵なら、尚更に討伐難度は低い。
このフォルミーカ迷宮に現れる敵は、地上の敵とは同等以上。
もはやリオネルは地上最強レベルに到達している。
今のリオネルにとって、強敵となるのは未対戦たる高位の悪魔族、
もしくは界王級の最高位精霊であろう。
そんなリオネルでも、ためらう修行はある。
それは耐性、耐久力の修行、及び実証である。
特に致命的な破壊力を持つ属性攻撃、または魔法攻撃に対する、
耐性、耐久力の実証は勇気が必要だ。
例えば、リオネルは火界王パイモンから、火の加護だけではなく、
『爆炎』『火炎全無効』という極大魔法をも授けられた。
攻撃魔法、攻撃的なスキルはほとんど問題はない。
敵に向かって容赦なく、行使すれば効能効果の確認は可能だ。
しかし、防御魔法、防御的なスキルの実証は違う。
例えば、パイモンお墨付きの『爆炎』をも退けるという『火炎全無効』を、
無防備の状態で身をもって確認するのは、大いにためらわれる。
もしも、万が一、『火炎全無効』が作用しなければ、リオネルの心身は一瞬にして、
爆炎の威力により、消滅してしまうに違いないから。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
リオネルは習得した最高位の防御魔法、破邪霊鎧の実証を、
ようやく終えたばかりだ。
リオネルがまだ遭遇し、戦った事がない行為の存在など、
相手のレベルにより強弱はあるから、100%断言は出来ないが、
毒、瘴気、麻痺、混乱、睡眠、石化、呪い等は全て無効だ。
これらの実証もリオネルが、数多の戦いで身をもって証明したものだ。
簡単に証明とは言うが、無防備で受けるのは大いなる勇気があったのは当然の事である。
そもそも、リオネルは相手の攻撃を受けないようにする事をまず考える。
「いろいろな手立てを講じ、防ぐ事」を優先する。
例えば、パイモンから、ファイアドレイクと戦うように試された際には、
究極の防御魔法、破邪霊鎧を発動。加えて、複合属性精霊魔法も発動!
身にまとう聖なる風へ、超低温の冷気を加え、炎を寄せつけぬ強固な盾として、
ファイアドレイクの吐く凄まじい火の息を、完全に防いだのだ。
またリオネルは、「攻撃は最大の防御だ!」というスタンスも徹底していた。
身体能力の俊敏さも、魔法行使の迅速さも敵よりも遥かに勝るリオネルは、
先手必勝とばかりに、敵へ攻撃する時間を全く与えず、絶対的なアドバンテージを持ち、戦っていたのである。
う~ん。
火の息大幅パワーダウン攻撃は、ファイアドレイクへお願いして試してみたけど……
「ちょっと、熱いな」と感じるくらいで、何とか大丈夫だった。
そもそも人間の肉体は魔物に比べて、とても脆弱。
数千、数万度の高熱を発するMAXレベルの炎を受けるのは、
さすがに勇気が出ないや……
苦笑したリオネルだが、考え直した。
破邪霊鎧を始め、『火炎全無効』などは、『保険』のようなものだと。
まずは敵の、状況の情報収集と分析!
敵を知り己を知れば百戦危うからずと、聞いた事がある。
更に!
戦う際は、まともに攻撃を浴びないよう、防ぐ!
それ以前に先手必勝!!
基本的に攻撃は最大の防御で行く!
改めて気を引き締めたリオネルは、地下146階層の探索を続けたのである。
手早く身支度をし、魔獣オルトロス以下の仲間達と共に食事をし、
キャンプをたたみ、出発する事に。
立てた本日の目標は、残っている地下146階層へ降り、
その146階層を、更に147階層を抜け、148階層クリアまで、まずは3階層クリアを目指す。
「まずは」というのは、「所詮、予定は未定だ」という、
ぶれないリオネルのポリシーから来る。
これまで学び得た知識、重ねて来た経験則に基づく事実と推測、及び、
冒険者ギルドの地図、古文書、資料等々で得た情報こそある。
それゆえある程度のシミュレーションは可能なものの、
この先、未知の領域へ足を踏み入れるのに、何が起こるのかなんて、
100%完璧に分からないからだ。
探索と確認は直近の146階層で、たった1階層のみのクリアで終わるかもしれないし、何の妨害もなく順調ならば、一気に予定以上のフロアをクリアし、
地下150階層まで到達出来るかもしれない。
ケースバイケース、臨機応変に対応しようと、リオネルは考えている。
基本的に探索のペース、パターンは変えず、無理はせず、いつもの通りで。
リオネルはシーフ職スキルを駆使し、
『隠形』『忍び足』で、すっ、すっ、すっ、と空気の如く進む。
もしも障害物があれば、転移、飛翔の失われた魔法、
ジャンプ、幅跳び、高所からの落下、木登りし樹上にての軽業など、
確信を得た超人的な身体能力を行使し、楽々と進んで行く。
索敵――魔力感知を最大範囲で張り巡らせ、外敵への警戒も怠らない。
さてさて!
地下121階層から戦って来て、ドラゴン族、巨人族の対処にも慣れた。
油断はしないが、両種族の動きは完全に見切っていた。
様々な手立てを使い、あっさりと屠って行く。
120階層より上層に出現した敵なら、尚更に討伐難度は低い。
このフォルミーカ迷宮に現れる敵は、地上の敵とは同等以上。
もはやリオネルは地上最強レベルに到達している。
今のリオネルにとって、強敵となるのは未対戦たる高位の悪魔族、
もしくは界王級の最高位精霊であろう。
そんなリオネルでも、ためらう修行はある。
それは耐性、耐久力の修行、及び実証である。
特に致命的な破壊力を持つ属性攻撃、または魔法攻撃に対する、
耐性、耐久力の実証は勇気が必要だ。
例えば、リオネルは火界王パイモンから、火の加護だけではなく、
『爆炎』『火炎全無効』という極大魔法をも授けられた。
攻撃魔法、攻撃的なスキルはほとんど問題はない。
敵に向かって容赦なく、行使すれば効能効果の確認は可能だ。
しかし、防御魔法、防御的なスキルの実証は違う。
例えば、パイモンお墨付きの『爆炎』をも退けるという『火炎全無効』を、
無防備の状態で身をもって確認するのは、大いにためらわれる。
もしも、万が一、『火炎全無効』が作用しなければ、リオネルの心身は一瞬にして、
爆炎の威力により、消滅してしまうに違いないから。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
リオネルは習得した最高位の防御魔法、破邪霊鎧の実証を、
ようやく終えたばかりだ。
リオネルがまだ遭遇し、戦った事がない行為の存在など、
相手のレベルにより強弱はあるから、100%断言は出来ないが、
毒、瘴気、麻痺、混乱、睡眠、石化、呪い等は全て無効だ。
これらの実証もリオネルが、数多の戦いで身をもって証明したものだ。
簡単に証明とは言うが、無防備で受けるのは大いなる勇気があったのは当然の事である。
そもそも、リオネルは相手の攻撃を受けないようにする事をまず考える。
「いろいろな手立てを講じ、防ぐ事」を優先する。
例えば、パイモンから、ファイアドレイクと戦うように試された際には、
究極の防御魔法、破邪霊鎧を発動。加えて、複合属性精霊魔法も発動!
身にまとう聖なる風へ、超低温の冷気を加え、炎を寄せつけぬ強固な盾として、
ファイアドレイクの吐く凄まじい火の息を、完全に防いだのだ。
またリオネルは、「攻撃は最大の防御だ!」というスタンスも徹底していた。
身体能力の俊敏さも、魔法行使の迅速さも敵よりも遥かに勝るリオネルは、
先手必勝とばかりに、敵へ攻撃する時間を全く与えず、絶対的なアドバンテージを持ち、戦っていたのである。
う~ん。
火の息大幅パワーダウン攻撃は、ファイアドレイクへお願いして試してみたけど……
「ちょっと、熱いな」と感じるくらいで、何とか大丈夫だった。
そもそも人間の肉体は魔物に比べて、とても脆弱。
数千、数万度の高熱を発するMAXレベルの炎を受けるのは、
さすがに勇気が出ないや……
苦笑したリオネルだが、考え直した。
破邪霊鎧を始め、『火炎全無効』などは、『保険』のようなものだと。
まずは敵の、状況の情報収集と分析!
敵を知り己を知れば百戦危うからずと、聞いた事がある。
更に!
戦う際は、まともに攻撃を浴びないよう、防ぐ!
それ以前に先手必勝!!
基本的に攻撃は最大の防御で行く!
改めて気を引き締めたリオネルは、地下146階層の探索を続けたのである。
0
お気に入りに追加
330
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。
みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ!
そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。
「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい
ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆
気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。
チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。
第一章 テンプレの異世界転生
第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!?
第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ!
第四章 魔族襲来!?王国を守れ
第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!?
第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~
第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~
第八章 クリフ一家と領地改革!?
第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?
第十章 自分探しと家族サービス
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる