512 / 689
第512話「しかし、リオネルは、初めて会った時と変わらない」
しおりを挟む
……翌朝も、リオネルは早めに起床した。
手早く身支度をし、仲間と共に食事をし、キャンプをたたみ、出発する事に。
立てた本日の目標は、残っている地下143階層の探索を終え、144階層へ降り、
その144階層を抜け、145階層クリアまで、3階層クリアを目指す。
探索の量としては、少々ペースダウンした、ゆっくりした予定である。
しかし、精巧なゴーレムを自由自在に使役するアールヴ族の魔法使い、
イェレミアス・エテラヴオリと話し、
そして、異世界から赴いた無双の太刀、
インテリジェンスソード、ムラマサとの邂逅という、サプライズも起こり……
リオネルは改めて、焦らず、じっくり探索する事を決めたのである。
ちなみに次のレベル目標は『50』というのは変わらない。
まあ、こちらも探索同様焦る事はないと思っていた。
順調にレベルアップし、レベル43となっているから。
目標までは、あと『7』
このまま順調に修行を続ければ、間違いなく到達するという手ごたえを感じている。
そもそもリオネルは、レベル目標達成にこだわりすぎてはいない。
あくまで目標だし、あくまでも目安。
どちらにしても、レベル50は単なる通過点としか見ていない。
自分は、どのレベルまで到達出来るのだろう。
単純にわくわくする。
同時に達観もしている。
全力を尽くし、出された結果を納得して受け入れるのみだ。
さてさて!
支度は整った。
キャンプ地の跡もきれいに清掃した。
立つ鳥跡を濁さずだ。
頃合いと見て、リオネルは、仲間達へ声を張り上げる。
『よし! 皆、準備はOKだな? ……出発だ!』
『うむ! いつでも良いぞ!』
『準備は万端だ!』
『!!!!!』
対して、仲間全員から、準備OK!の返事を受け……
リオネルは、いつものように、
灰色狼に擬態した魔獣ケルベロス、火の精霊に擬態したファイアドレイク、
大鷹に擬態した鳥の王ジズ、妖精ピクシーのジャン、
そして素のままの魔獣アスプ20体を先行させる。
そしてこちらも、いつものように、リオネルはシーフ職スキルを駆使し、
『隠形』『忍び足』で、すっ、すっ、すっ、と空気の如く進む。
もしも障害物があれば、転移、飛翔の失われた魔法、
ジャンプ、幅跳び、高所からの落下、木登りし樹上にての軽業など、
確信を得た超人的な身体能力を行使し、楽々と進んで行く。
索敵――魔力感知を最大範囲で張り巡らせ、外敵への警戒も怠らない。
まずは基本には忠実に、後は状況などを見て判断し、臨機応変に対処して行く。
残された地下143階層の未探索エリアはわずかであった。
丹念に確認をしたが、リオネルが気になるものは何もない。
襲って来たオーガキングを10体ほど倒して、探索は終了した。
小さく頷いたリオネルは、見つけておいた下層への階段を使い、
地下144階層へ降りて行ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
地下144階層へ降り立ったリオネル。
ムラマサと邂逅した事で、新たな課題をふたつ立てていた。
まずは剣技の熟練度アップ、
そしてムラマサを発動体とした魔法剣の熟練度アップである。
いくつかの戦いを経て、リオネルはムラマサの破壊力を実感していた。
さすがは魔族に怖れられた退魔刀、凄まじい切れ味だと。
また、先ほどオーガキングを斬り捨てた際、
溶けかかった柔らかいチーズを切るような感覚であった。
ムラマサいわく、鬼を斬る事を得意としたらしいから、
巨人族などには特に優位性があるのだろうと推測する。
心強い味方が加わった!
ムラマサと邂逅し、リオネルは、運が良かった!
そして、「頼もしい」と思う。
一方のムラマサ……
今までの主とは、リオネルが違う事をはっきりと感じていた。
再確認したと言って良い。
やはりリオネルは、ムラマサの持つ『力』に溺れない。
ムラマサは思い出す……
先に仕えた冷静沈着なサムライマスターでさえ、ムラマサを得てからは、
たぎる血気にはやった。
ムラマサのあまりにも凄まじい破壊力に心を囚われ、
居ても立っても居られないほど、戦闘意欲がMAXに達してしまう。
サムライマスターは、阿修羅のごとく、
襲って来る敵を斬って、斬って、斬りまくったのだ。
さすがに見境なくという無節操さはないが、
サムライマスターは文字通り、常在戦場を具現化した状態になっていた。
これが、ムラマサが妖刀と言われた由来……理由でもある。
しかし、リオネルは、初めて会った時と変わらない。
冷静沈着、泰然自若を貫き、
ムラマサを偏重することなく、他に格闘、魔法、スキルを、
まんべんなく使って敵を倒す。
リオネルは、ドラゴン3体を氷結の魔法オンリーで凍らせ、屠ると……
その次に遭遇した、宙を翔ける飛竜ワイバーン5体を見て、言う。
『ムラマサ』
『はい!』
『先ほど使った水の魔法剣は上手く行った。今度はワイバーンに対し、仲間と連携しつつ、風の魔法剣で行くぞ!』
『はい!』
『お前の持つ切れ味に風の力を足すんだ』
『かしこまりました!』
『よし!』
既にもう息がぴったり。
ツーと言えばカーと言うムラマサにリオネルは、満足そうに頷くと、
『行くぞ! 飛翔!』
飛翔魔法を発動し、高く、高く、舞い上がったのである。
手早く身支度をし、仲間と共に食事をし、キャンプをたたみ、出発する事に。
立てた本日の目標は、残っている地下143階層の探索を終え、144階層へ降り、
その144階層を抜け、145階層クリアまで、3階層クリアを目指す。
探索の量としては、少々ペースダウンした、ゆっくりした予定である。
しかし、精巧なゴーレムを自由自在に使役するアールヴ族の魔法使い、
イェレミアス・エテラヴオリと話し、
そして、異世界から赴いた無双の太刀、
インテリジェンスソード、ムラマサとの邂逅という、サプライズも起こり……
リオネルは改めて、焦らず、じっくり探索する事を決めたのである。
ちなみに次のレベル目標は『50』というのは変わらない。
まあ、こちらも探索同様焦る事はないと思っていた。
順調にレベルアップし、レベル43となっているから。
目標までは、あと『7』
このまま順調に修行を続ければ、間違いなく到達するという手ごたえを感じている。
そもそもリオネルは、レベル目標達成にこだわりすぎてはいない。
あくまで目標だし、あくまでも目安。
どちらにしても、レベル50は単なる通過点としか見ていない。
自分は、どのレベルまで到達出来るのだろう。
単純にわくわくする。
同時に達観もしている。
全力を尽くし、出された結果を納得して受け入れるのみだ。
さてさて!
支度は整った。
キャンプ地の跡もきれいに清掃した。
立つ鳥跡を濁さずだ。
頃合いと見て、リオネルは、仲間達へ声を張り上げる。
『よし! 皆、準備はOKだな? ……出発だ!』
『うむ! いつでも良いぞ!』
『準備は万端だ!』
『!!!!!』
対して、仲間全員から、準備OK!の返事を受け……
リオネルは、いつものように、
灰色狼に擬態した魔獣ケルベロス、火の精霊に擬態したファイアドレイク、
大鷹に擬態した鳥の王ジズ、妖精ピクシーのジャン、
そして素のままの魔獣アスプ20体を先行させる。
そしてこちらも、いつものように、リオネルはシーフ職スキルを駆使し、
『隠形』『忍び足』で、すっ、すっ、すっ、と空気の如く進む。
もしも障害物があれば、転移、飛翔の失われた魔法、
ジャンプ、幅跳び、高所からの落下、木登りし樹上にての軽業など、
確信を得た超人的な身体能力を行使し、楽々と進んで行く。
索敵――魔力感知を最大範囲で張り巡らせ、外敵への警戒も怠らない。
まずは基本には忠実に、後は状況などを見て判断し、臨機応変に対処して行く。
残された地下143階層の未探索エリアはわずかであった。
丹念に確認をしたが、リオネルが気になるものは何もない。
襲って来たオーガキングを10体ほど倒して、探索は終了した。
小さく頷いたリオネルは、見つけておいた下層への階段を使い、
地下144階層へ降りて行ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
地下144階層へ降り立ったリオネル。
ムラマサと邂逅した事で、新たな課題をふたつ立てていた。
まずは剣技の熟練度アップ、
そしてムラマサを発動体とした魔法剣の熟練度アップである。
いくつかの戦いを経て、リオネルはムラマサの破壊力を実感していた。
さすがは魔族に怖れられた退魔刀、凄まじい切れ味だと。
また、先ほどオーガキングを斬り捨てた際、
溶けかかった柔らかいチーズを切るような感覚であった。
ムラマサいわく、鬼を斬る事を得意としたらしいから、
巨人族などには特に優位性があるのだろうと推測する。
心強い味方が加わった!
ムラマサと邂逅し、リオネルは、運が良かった!
そして、「頼もしい」と思う。
一方のムラマサ……
今までの主とは、リオネルが違う事をはっきりと感じていた。
再確認したと言って良い。
やはりリオネルは、ムラマサの持つ『力』に溺れない。
ムラマサは思い出す……
先に仕えた冷静沈着なサムライマスターでさえ、ムラマサを得てからは、
たぎる血気にはやった。
ムラマサのあまりにも凄まじい破壊力に心を囚われ、
居ても立っても居られないほど、戦闘意欲がMAXに達してしまう。
サムライマスターは、阿修羅のごとく、
襲って来る敵を斬って、斬って、斬りまくったのだ。
さすがに見境なくという無節操さはないが、
サムライマスターは文字通り、常在戦場を具現化した状態になっていた。
これが、ムラマサが妖刀と言われた由来……理由でもある。
しかし、リオネルは、初めて会った時と変わらない。
冷静沈着、泰然自若を貫き、
ムラマサを偏重することなく、他に格闘、魔法、スキルを、
まんべんなく使って敵を倒す。
リオネルは、ドラゴン3体を氷結の魔法オンリーで凍らせ、屠ると……
その次に遭遇した、宙を翔ける飛竜ワイバーン5体を見て、言う。
『ムラマサ』
『はい!』
『先ほど使った水の魔法剣は上手く行った。今度はワイバーンに対し、仲間と連携しつつ、風の魔法剣で行くぞ!』
『はい!』
『お前の持つ切れ味に風の力を足すんだ』
『かしこまりました!』
『よし!』
既にもう息がぴったり。
ツーと言えばカーと言うムラマサにリオネルは、満足そうに頷くと、
『行くぞ! 飛翔!』
飛翔魔法を発動し、高く、高く、舞い上がったのである。
0
お気に入りに追加
330
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。
みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ!
そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。
「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい
ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆
気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。
チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。
第一章 テンプレの異世界転生
第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!?
第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ!
第四章 魔族襲来!?王国を守れ
第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!?
第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~
第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~
第八章 クリフ一家と領地改革!?
第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?
第十章 自分探しと家族サービス
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる