498 / 689
第498話「まあ、収穫ゼロというわけじゃない。得たものはあるし、次だ次」
しおりを挟む
古代遺跡の調査を終えたリオネルは、再び探索を再開。
地下143階層、そしてその先へ向け、元気よく出発した。
いつものようにシーフ職スキルを駆使し、
『隠形』『忍び足』で、すっ、すっ、すっ、と空気の如く進む。
障害物があれば、転移、飛翔の失われた魔法、
ジャンプ、幅跳び、高所からの落下、木登りし樹上にての軽業など、
確信を得た超人的な身体能力を行使し、楽々と進んで行く。
索敵――魔力感知を最大範囲で張り巡らせ、外敵への警戒も怠らない。
くまなく地下142階層を歩き回り、ドラゴン族、巨人族を各10体余り討伐し、
下層への階段を発見。
オルトロス以下、仲間達と警戒しながら、地下143階層へと降りる。
見える風景は、地下121階層から、全く変わらない。
リオネルはキャンプで見た地図の内容を思い出す。
「ええっと……ギルドの公式地図だと、もう少し行けばまた古代遺跡があるはずだ」
……ギルドの公式地図の記載は確かであった。
リオネルが10分ほど歩くと、先ほどと同じ形状の古代遺跡が見えて来た。
何と、ストーンサークルまである。
ストーンサークルは上層の142階層と全く同じ仕様……
古代遺跡3棟の前に、円陣状に並んだ高さ10mほどの直立巨石と、
それを囲む土塁からなる『ストーンサークル』があるのだ。
リオネルは142階層と同じく、ストーンサークルを丹念に調べて行く。
円陣状に並んだ直立巨石も相当旧い。
直立巨石からは、結構な魔力を感じるが特に異常はない。
土塁も同様で、魔力を感じるが、特別な仕掛けはなかった。
念の為、2回調べたが、やはり変わったところはなかった。
そしてストーンサークルの中央には、先ほどリオネルが見た、
特異なマークが地面に埋め込まれた石に刻まれている。
先ほど初めて見た時から、記憶をたぐってみたが、思い当たるデザインではない。
やはり見た事がない意匠であり、リオネルが推測するに、
どこかの国の国章か、王家、貴族家の紋章かと思われる。
マークを調べると、
やはりどこかへ延びる地脈とつながっている、不可思議な魔力を感じる。
!!!
ここで!
リオネルはひらめいた。
手掛かりが全くないまま、
このマークポイントに触れ、転移魔法で跳んでみようかと。
もしかして、この地下143階層から地脈経由で、
上層142階層のストーンサークルへ行けるのでは。
と考えたのだが、
更に熟考した結果……未知の場所へ飛ばされるリスクの割に、
たった1階層の移動では、メリットがなさすぎると思い直し、却下した。
それにわざわざストーンサークル経由で行かずとも、
リオネルならば、普通に転移魔法で跳ぶ事が出来るのに意味がない。
この143階層も謎めいたストーンサークルであったが……
やはり現状で調べる事はもうなかった。
142階層ともども、ストーンサークルのマークポイントを起点にして、
隠された方法で起動させれば、迷宮内の様々な場所、秘密の場所へ行けるのでは?
というのが、リオネルの推測だ。
この推測は当たっているかもしれないが、もう少し調べてみよう。
142階層同様、リオネルは、ストーンサークルの後方にある、
建築物の調査、確認作業へ移ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
……こちらもいつもと同じく、リオネルの建築物の調査、確認作業は行われた。
照明魔法で魔導光球を生成、潜入させ、ゴーレムを突入させてから、中へ入る。
しかし、残念な事に、地下143階層の建築物の内装も、
生活臭バリバリ出ている石で造られたベッドや戸棚。
棚と思しき壁のくぼみ。
更に石で造られた食料保存用らしき大きな箱などなど……
上層の142階層と全く同じ仕様であった。
大きな箱には……様々な匂いが混在。
ゴーレム達が使用している痕跡もあった。
結論から述べれば、はっきり言って大きな成果はなかった。
ボトヴィッドが遭遇したように、至宝レベルのとんでもないアイテムが入った、
『宝箱』の出現などは、全くなかったのである。
ストーンサークルの転移も含め、様々な状況と証拠により、
リオネルが推測した『可能性』が「わずかに高くなった」くらいだ。
だがリオネルには、一番最初の探索の際感じた落胆はなかった。
これまた、いつものように独り言で、自問自答する。
「まあ、収穫ゼロというわけじゃない。得たものはあるし、次だ次」
「ストーンサークルが凄く気になる。何か大きな秘密が隠されていそうだ」
「このフロアも入れて、地下149階層までは7階層もある。これから何度も古代遺跡には遭遇するだろうし、探索調査して、何かあったら、ラッキーレベルだ」
「地下150階層へ至るまで、何でも良いから手掛かりを得たいものだ」
うんうんと納得したように頷くリオネルは、再び探索を開始したのである。
地下143階層、そしてその先へ向け、元気よく出発した。
いつものようにシーフ職スキルを駆使し、
『隠形』『忍び足』で、すっ、すっ、すっ、と空気の如く進む。
障害物があれば、転移、飛翔の失われた魔法、
ジャンプ、幅跳び、高所からの落下、木登りし樹上にての軽業など、
確信を得た超人的な身体能力を行使し、楽々と進んで行く。
索敵――魔力感知を最大範囲で張り巡らせ、外敵への警戒も怠らない。
くまなく地下142階層を歩き回り、ドラゴン族、巨人族を各10体余り討伐し、
下層への階段を発見。
オルトロス以下、仲間達と警戒しながら、地下143階層へと降りる。
見える風景は、地下121階層から、全く変わらない。
リオネルはキャンプで見た地図の内容を思い出す。
「ええっと……ギルドの公式地図だと、もう少し行けばまた古代遺跡があるはずだ」
……ギルドの公式地図の記載は確かであった。
リオネルが10分ほど歩くと、先ほどと同じ形状の古代遺跡が見えて来た。
何と、ストーンサークルまである。
ストーンサークルは上層の142階層と全く同じ仕様……
古代遺跡3棟の前に、円陣状に並んだ高さ10mほどの直立巨石と、
それを囲む土塁からなる『ストーンサークル』があるのだ。
リオネルは142階層と同じく、ストーンサークルを丹念に調べて行く。
円陣状に並んだ直立巨石も相当旧い。
直立巨石からは、結構な魔力を感じるが特に異常はない。
土塁も同様で、魔力を感じるが、特別な仕掛けはなかった。
念の為、2回調べたが、やはり変わったところはなかった。
そしてストーンサークルの中央には、先ほどリオネルが見た、
特異なマークが地面に埋め込まれた石に刻まれている。
先ほど初めて見た時から、記憶をたぐってみたが、思い当たるデザインではない。
やはり見た事がない意匠であり、リオネルが推測するに、
どこかの国の国章か、王家、貴族家の紋章かと思われる。
マークを調べると、
やはりどこかへ延びる地脈とつながっている、不可思議な魔力を感じる。
!!!
ここで!
リオネルはひらめいた。
手掛かりが全くないまま、
このマークポイントに触れ、転移魔法で跳んでみようかと。
もしかして、この地下143階層から地脈経由で、
上層142階層のストーンサークルへ行けるのでは。
と考えたのだが、
更に熟考した結果……未知の場所へ飛ばされるリスクの割に、
たった1階層の移動では、メリットがなさすぎると思い直し、却下した。
それにわざわざストーンサークル経由で行かずとも、
リオネルならば、普通に転移魔法で跳ぶ事が出来るのに意味がない。
この143階層も謎めいたストーンサークルであったが……
やはり現状で調べる事はもうなかった。
142階層ともども、ストーンサークルのマークポイントを起点にして、
隠された方法で起動させれば、迷宮内の様々な場所、秘密の場所へ行けるのでは?
というのが、リオネルの推測だ。
この推測は当たっているかもしれないが、もう少し調べてみよう。
142階層同様、リオネルは、ストーンサークルの後方にある、
建築物の調査、確認作業へ移ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
……こちらもいつもと同じく、リオネルの建築物の調査、確認作業は行われた。
照明魔法で魔導光球を生成、潜入させ、ゴーレムを突入させてから、中へ入る。
しかし、残念な事に、地下143階層の建築物の内装も、
生活臭バリバリ出ている石で造られたベッドや戸棚。
棚と思しき壁のくぼみ。
更に石で造られた食料保存用らしき大きな箱などなど……
上層の142階層と全く同じ仕様であった。
大きな箱には……様々な匂いが混在。
ゴーレム達が使用している痕跡もあった。
結論から述べれば、はっきり言って大きな成果はなかった。
ボトヴィッドが遭遇したように、至宝レベルのとんでもないアイテムが入った、
『宝箱』の出現などは、全くなかったのである。
ストーンサークルの転移も含め、様々な状況と証拠により、
リオネルが推測した『可能性』が「わずかに高くなった」くらいだ。
だがリオネルには、一番最初の探索の際感じた落胆はなかった。
これまた、いつものように独り言で、自問自答する。
「まあ、収穫ゼロというわけじゃない。得たものはあるし、次だ次」
「ストーンサークルが凄く気になる。何か大きな秘密が隠されていそうだ」
「このフロアも入れて、地下149階層までは7階層もある。これから何度も古代遺跡には遭遇するだろうし、探索調査して、何かあったら、ラッキーレベルだ」
「地下150階層へ至るまで、何でも良いから手掛かりを得たいものだ」
うんうんと納得したように頷くリオネルは、再び探索を開始したのである。
0
お気に入りに追加
330
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。
みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ!
そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。
「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい
ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆
気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。
チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。
第一章 テンプレの異世界転生
第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!?
第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ!
第四章 魔族襲来!?王国を守れ
第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!?
第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~
第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~
第八章 クリフ一家と領地改革!?
第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?
第十章 自分探しと家族サービス
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる