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第474話「リオネルは『不死』という言葉にインスピレーションを感じ、 ある方法を試してみる事にしたのだ」

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ヒュドラは猛毒と瘴気を吐き散らす。

しかし!

リオネルは腕組みをしたまま笑みを絶やさず、
次の魔法発動に向け、体内魔力を上げていた。

猛毒と瘴気を全く苦にしないリオネルへ今度こそと、吐き散らしているのか、
それとも警戒しているのか、ヒュドラは襲っては来ない。

威嚇にとどまるヒュドラ。
泰然自若とするリオネル。

2者は対峙するのみ。
しばし膠着状態が続く。

その間、リオネルもぱぱぱぱぱぱぱ!と考える。

ふっと不敵に笑うリオネル。

考えがまとまり……作戦は決まったようだ。

リオネルは、改めて、びしっ!とヒュドラを見据え、

『風斬!』

と、先ほどと同じ攻撃を行う。

しかし、今回は1発ではない。
ヒュドラの首の数だけ、9発の『風斬』を放ったのだ。

しゅばばばっっ!!!!! ずばああっっっっ!!!!!

しゅばばばっっ!!!!! ずばああっっっっ!!!!!

しゅばばばっっ!!!!! ずばああっっっっ!!!!!

しゅばばばっっ!!!!! ずばああっっっっ!!!!!

しゅばばばっっ!!!!! ずばああっっっっ!!!!!

しゅばばばっっ!!!!! ずばああっっっっ!!!!!

しゅばばばっっ!!!!! ずばああっっっっ!!!!!

しゅばばばっっ!!!!! ずばああっっっっ!!!!!

しゅばばばっっ!!!!! ずばああっっっっ!!!!!

『風斬』の鋭い大気の刃は見事!

ヒュドラの首9本を斬り落とした。

しかし、このままでは先ほどの繰り返しである。

ヒュドラの再生能力は、凄まじい。

先ほどリオネルは、目の当たりにした。

数分間で、首は元通りに再生されてしまうだろう。

当然リオネルはこのまま放置などしない。

ここでリオネルは書物で読んだ古代の英雄と同じ方法を取る。

斬り落とした切り口を即座に焼き、ヒュドラの再生を封じるのだ。

但し、リオネルは『たいまつ』などは使わない。

リオネルは、魔法使いだ。

当然魔法とスキルを行使する。

『フリーズハイレベル補正プラス60!』

まずリオネルは、特異スキル『フリーズハイ』レベル補正プラス60を使った。

リオネルの現レベルは30。
対して、ヒュドラはレベル80オーバー。
レベル89までの敵にスキルは有効。

充分に効果を発揮する事が出来る。

ヒュドラを動かないようその場へ固定。
これで、5分間は、動けない。

次に使うのは、リオネルが迷宮へ入ってから習得し、鍛錬した魔法である。

『炎弾! ムービング攻撃魔法!』

短く念じた、リオネル。

どしゅっ! どしゅっ! どしゅっ!
どしゅっ! どしゅっ! どしゅっ!
どしゅっ! どしゅっ! どしゅっ!

すると!
リオネルから放たれた各炎弾が、鋭角の飛行軌跡を見せ、
9本の首の切り口へ、ピンポイント、ジャストで着弾したのだ。

特異スキル『フリーズハイ』レベル補正プラス60で、
動かぬよう身体の自由を奪ったとはいえ、素晴らしい魔力制御であった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

やはりリオネルは、稀有な魔法使いだといえよう。

一時代にひとりと言われ、全ての属性魔法を使いこなす、全属性魔法使用者《オールラウンダー》という才能だけではない。

魔法使いなら誰もが持つ『好奇心』『探求心』が著しく突出しているのは勿論。

習得した魔法を究極まで進化させようという『向上性』を、
常識に囚われず、組み合わせて、
新たな魔法を簡単に生み出せると『柔軟性』『創造性』を、
そして、習得した新魔法を、すぐさま使いこなす『適応性』などを、たくさん合わせ持っているのだ。

じゅわわっ! じゅわわっ! じゅわわっ!
じゅわわっ! じゅわわっ! じゅわわっ!
じゅわわっ! じゅわわっ! じゅわわっ!

さてさて!

リオネルが放った炎弾の炎が、ヒュドラの切り口――傷口を焼き、
辺りに肉が焦げる臭いが充満した。

ヒュドラは完全な行動不能に陥り、反撃の手立てはない。

だが、これで終わりではないのだ!

首9本、全てを斬り落とされ、切り口――傷口を焼かれても、
ヒュドラは死んではいない。

伝承されている通り、
斬り落とされた9本のうち、中央の首は不死性を持ち、
強力な生命反応を発している。

そのまま放置すれば、傷は癒え、全ての首は元通り再生するに違いない。

ではととめを刺す為には、一体どうするのか?

古代の英雄が巨大な岩の下へ封じたというのは、
失われた『封印の技法』であろう。

でもそれでは、完全に倒したとはいえない。

……リオネルは『不死』という言葉にインスピレーションを感じ、
ある方法を試してみる事にしたのだ。

果たしてその方法とはいかに……

おもむろに手を挙げたリオネルは、

破邪聖煌拳はじゃせいこうけん奥義、破魂拳はこんけんに、

スキル『貫通撃!!』の魔力を込める『破魂貫通撃』を、
思い切り『極大レベル』で放ったのだ。

リオネルの想定通り、『破魂貫通撃極大レベル』の効果は抜群。

ぼっしゅううううっっっっ!!!!!

特異スキル『フリーズハイ』レベル補正プラス60により、
『戦闘不能』となっていたヒュドラは、あっさりと消し飛んだのである。
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