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第447話「全く同じ光景が繰り返された」

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地下100階層小ホール……

食事が終わり、もはやお約束、
リオネルと仲間達の敵に対する情報共有が行われている。

当然、人間族はリオネルだけ。
後は魔獣ケルベロス、オルトロス、ファイアドレイク、フロストドレイク、
妖精ピクシーのジャンである。

ちなみにジズ、アスプ、ゴーレムは予備部隊で、異界、収納の腕輪にて
それぞれ待機中だ。

「これから赴く地下101階層から110階層は、混沌カオスのフロア、これまでに戦い、倒した敵がランダムに出現する領域である」

「………………………」 

「但し、これまでに戦い、倒した敵と言っても、上層の弱い敵はほぼ出現しない」

「………………………」 

「出現するのは、アスプ、リザードマン、バジリスク、コカトリスなどの特殊攻撃系、青銅製、ミスリル製、銀製、水晶製の各種ゴーレム、ゴーレムと同じ疑似生命体のガーゴイル……」

「………………………」

「そして、さっき戦ったミノタウロス、狼男ワーウルフ、リザードマン、キマイラ、マンティコアの獣人、合成魔獣のパワー系だ」

「………………………」

「当然だが、俺はこいつら全てと戦った事があり、勝利もした。でもやはり油断はしない」

「………………………」 

「何故なら、これだけ多士済々な奴らが、同族同士とか、セオリー無視の、予想不能な組み合わせで出現するからだ」

「………………………」 

「まあ、今まで通り、お前達には勢子役に徹して貰い、俺だけで倒せないもないとは思う」

「………………………」 

「考えている単独の戦法もある。試してみても良いとは思う」

「………………………」 

「そして多分だが、奴らが人間のクランのように綿密な作戦を立て、適材適所、絶妙な時間差等で攻める事はないだろう」

「………………………」 

「しかし、物事に絶対はないし、特殊攻撃と物理攻撃を交互に仕掛けられただけでも慣れるまでは厄介だ。油断大敵、決して侮る事は出来ない」

「………………………」 

「それゆえ、この領域はケースバイケース、お前達にも戦って貰ったり、支援して貰ったり、臨機応変にフォローして貰う事にする」

「………………………」

「いつものように、何か確認とか、質問があれば、遠慮なく言ってくれ」

「………………………」

……これまたいつものように、確認の問い合わせ、質問は一切なく。
同意、了解の波動が、リオネルへ向かって放たれたのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

翌朝……支度をし、朝食を摂り、リオネルは出発した。
毎度の事ながら、照明魔法の魔導光球、
索敵……広範囲の魔力感知実施は、もうお約束である。

出現傾向はあるとはいえ………
この地下101階層から110階層までは、今までと違い、
出現する敵――魔物の種類はぐっと増える。

今までの戦いよりも 、ずっとシビアになる事をリオネルは覚悟している。

しかし、リオネルの戦い方は変わらない。

遠距離、近距離、魔法、剣技、格闘、スキル等々をまんべんなく使い分け戦う。

基本スタンスは少しだけ変え、頼りになる仲間達と連携し、
現れる敵を円滑に効率良く倒す事を目指すのだ。

相変わらず、シーフ職スキルを駆使し、
『隠形』『忍び足』すっ、すっ、すっ、と空気の如く進むリオネル。

約5分ほど歩いたところだろうか。

ここで、先行したケルベロス、オルトロス、ファイアドレイクから念話連絡が入る。

あるじよ! 早速、敵発見だ! リザードマン10体、バジリスク5体、キマイラ3体! 先ほど主が言ったように分担しよう! 弟オルトロスに仕切らせる!』

『くくく 兄貴サンキュー! 恩に着るぜ! 主よ! 兄貴と俺、火竜でリザードマン10体、バジリスク5体をやる! 主にはさっき倒したばかりだし、お手の物だろ! キマイラ3体を任せるぜ!』

『!!!!!』

相変わらず、ファイアドレイクも思念伝達で、
俺達へ任せろ! キマイラ3体は追い立ててやる! と告げている。

瞬間!

ごおおおおおおおおおおっっっっ!!!!!

炎が噴き出す音が満ち、通路の奥が、紅蓮に染まった。

ぎゃああああああああああっっっっ!!!!

断末魔の悲鳴も聞こえて来る。

ケルベロス、オルトロス、ファイアドレイクの仕業だろう。
分担すると告げたリザードマン10体、バジリスク5体を、
得意の猛炎で攻撃したに違いない。

……炎に追われたキマイラ3体が、こちらへ近づく気配を感じる。

リオネルは、追われるキマイラどもが発する波動を捉える。

そして放つ波動から、奴らの位置を完全に捕捉した。

ここで、キマイラ3体が現れた!

リオネルは呼吸法で体内魔力を上げ、すかさず!

『フリーズ』『大地の束縛』で行動も不能とする。

よし!
行くぞ!
またも!
キマイラの奴らをロックオンだ!

リオネルは再び魔力を練り、手のひらに、渦巻く硬い風の塊を6つ浮かばせる。

『風弾! 貫通撃!』

どしゅっ! どしゅっ! どしゅっ!

どしゅっ! どしゅっ! どしゅっ!

重い音をたて、風の塊が6発飛んだ。

『貫通撃』を加え、破壊力を大幅に増してある。

全く同じ光景が繰り返された。

リオネルから放たれた風の塊6発は、
見事、動けなくなったキマイラの脳天、胴体全てを貫通!

どしゅっ! どしゅっ! どしゅっ!

どしゅっ! どしゅっ! どしゅっ!

あっさりと「絶命させていた」のである。
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