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第424話「おいおい、俺は慕われているのか、いじられているのか、どっちだ?」
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翌朝……
リオネルが、こっそり放ったケルベロス、オルトロス魔獣兄弟の警戒により、
魔物の襲撃もなく……
無事地下50階層の小ホールで夜を明かした冒険者達は、それぞれの予定に沿って、行動を開始する。
各自は起床すると、身支度を整え、朝食を摂る。
魔法使いのエルサ・アルヴェーン達、若い冒険者3人を率いる、
クラン・デンテスのリーダー、戦士のダーグ・アムレアンは、
この50階層から先には進まないらしい。
ここから先へ行くには、ランクCになったばかりのメンバーの実力が、
まだ充分ではないと、ダーグは判断したのだ。
一方、様々な年齢の冒険者の男女6名を率いるクラン、アルゲントゥムのリーダー、
魔法使いのマグヌス・ブラントは、リオネルと同じく地下51階層へ進むという。
ダーグとマグナスからは、自分達のクランへ『臨時加入』の誘いもあったが……
当然リオネルは断った。
これまでと同様、自分のペースで、修行をしたいと考えたからである。
他者に秘す魔法、スキルを使いたいのは言うまでもない。
「じゃあな、リオネル君、また会おう」
「リオネル君、下で何かあったら、互いに助け合おう」
「はい! 皆さん、さようなら! お元気で!」
別れを告げ、ふたつのクランを見送ったリオネル。
フロアを巡回させていた巨大灰色狼風に擬態した、
ケルベロス、オルトロスの魔獣兄弟を呼び戻すと……
朝食代わりの巨大な肉塊を与え……ひと息つくと、出発する事に。
『ルークス!』
ぽわ!
リオネルが照明魔法の言霊を念じると、
極力魔力を抑えた『魔導光球』がそっと闇に浮かび上がった。
地下51階層からは、魔導灯が設置されていない。
真っ暗闇である。
夜目が利く魔物どもの襲撃を避ける為には、魔導灯の代わりに視界を良くする手段か、存在を捉える索敵……魔力感知の技が必要である。
リオネルは両方兼ね備えた上、ケルベロス、オルトロス、そしてジャンという索敵役も従えている。
それでも足りなければ、
サイズをミニマムにしたファイアドレイク、フロストドレイク、
更には、魔獣アスプ達も動員可能だ。
「さあ、行くか」
肉声で出発の掛け声を出し、『魔導光球』に、ケルベロス、オルトロスを先行させ、
ジャンを肩に乗せ、リオネルは歩き出した。
索敵……魔力感知は既に最大範囲仕様となっている。
目指すは地下51階層へ下る階段。
リオネルの歩みは軽やかだ。
やがて、下り階段へ到着。
リオネルの姿は、地下51階層へ消えて行ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『主よ、上位種とはいえ、たかがオーガどもなら護衛は不要だな。我ら兄弟は先へ行く』
『おう! その通りだ! まあ、適当な敵が居たらよ、兄貴と一緒に追い込んで、勢子役をやってやるぜ』
『おいらも、ケルベロス達と一緒に行くよ! 偵察の練習だあ!』
魔導光球が放つ淡い光の中……
地下51階層へ到着すると、ケルベロスとオルトロスは闇の中へ駆けて行く。
そしてジャンも魔獣兄弟の後を追い、消えた。
上位種とはいえ、たかがオーガどもなら護衛は不要だな……か。
おう! その通りだ! ……かよ。
たかがオーガどもならか、ケルベロス、オルトロスめ。
結構な事を言う。
俺も見込まれたものだ。
……王都近郊で恐る恐るスライムを倒していた駆け出しの頃が懐かしく、
夢みたいに感じてしまうなあ。
でも!
油断は大敵!
勝って兜の緒を締めよ、だ!
ぱん!
リオネルは両手で軽く頬を叩き、気合を入れ直した。
柔らかく微笑み、歩き出す。
そして、魔導光球を先行させ、……
15分くらい歩いたところで、念話の敵襲連絡が入った。
ケルベロス、オルトロス、ジャンからだ。
『主! ついてるぞ! いきなりのビンゴ! オーガキングの登場だ!』
『おう! 主! 兄貴の言う通り、オーガキングと他の上位種、ノーマルタイプのオーガ含め50体の群れのおでましだ。あんたの準備運動にはちょうど良いだろ!』
『リオネル様! オーガどもを、そっちへ追い込むから宜しくう! かる~くひねっちゃえ!』
ついてるぞ! いきなりのビンゴ!
あんたの準備運動にはちょうど良いだろ!
そっちへ追い込むから宜しくう! かる~くひねっちゃえ!
おいおい、俺は慕われているのか、いじられているのか、どっちだ?
まあ、良いか。
苦笑するリオネル。
オーガキング以下、50体のオーガか!
相手にとって不足はない。
「ふう」と息を吐き、体内魔力を上げ、
リオネルは、通路の奥から現れるであろう敵に備えたのである。
リオネルが、こっそり放ったケルベロス、オルトロス魔獣兄弟の警戒により、
魔物の襲撃もなく……
無事地下50階層の小ホールで夜を明かした冒険者達は、それぞれの予定に沿って、行動を開始する。
各自は起床すると、身支度を整え、朝食を摂る。
魔法使いのエルサ・アルヴェーン達、若い冒険者3人を率いる、
クラン・デンテスのリーダー、戦士のダーグ・アムレアンは、
この50階層から先には進まないらしい。
ここから先へ行くには、ランクCになったばかりのメンバーの実力が、
まだ充分ではないと、ダーグは判断したのだ。
一方、様々な年齢の冒険者の男女6名を率いるクラン、アルゲントゥムのリーダー、
魔法使いのマグヌス・ブラントは、リオネルと同じく地下51階層へ進むという。
ダーグとマグナスからは、自分達のクランへ『臨時加入』の誘いもあったが……
当然リオネルは断った。
これまでと同様、自分のペースで、修行をしたいと考えたからである。
他者に秘す魔法、スキルを使いたいのは言うまでもない。
「じゃあな、リオネル君、また会おう」
「リオネル君、下で何かあったら、互いに助け合おう」
「はい! 皆さん、さようなら! お元気で!」
別れを告げ、ふたつのクランを見送ったリオネル。
フロアを巡回させていた巨大灰色狼風に擬態した、
ケルベロス、オルトロスの魔獣兄弟を呼び戻すと……
朝食代わりの巨大な肉塊を与え……ひと息つくと、出発する事に。
『ルークス!』
ぽわ!
リオネルが照明魔法の言霊を念じると、
極力魔力を抑えた『魔導光球』がそっと闇に浮かび上がった。
地下51階層からは、魔導灯が設置されていない。
真っ暗闇である。
夜目が利く魔物どもの襲撃を避ける為には、魔導灯の代わりに視界を良くする手段か、存在を捉える索敵……魔力感知の技が必要である。
リオネルは両方兼ね備えた上、ケルベロス、オルトロス、そしてジャンという索敵役も従えている。
それでも足りなければ、
サイズをミニマムにしたファイアドレイク、フロストドレイク、
更には、魔獣アスプ達も動員可能だ。
「さあ、行くか」
肉声で出発の掛け声を出し、『魔導光球』に、ケルベロス、オルトロスを先行させ、
ジャンを肩に乗せ、リオネルは歩き出した。
索敵……魔力感知は既に最大範囲仕様となっている。
目指すは地下51階層へ下る階段。
リオネルの歩みは軽やかだ。
やがて、下り階段へ到着。
リオネルの姿は、地下51階層へ消えて行ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『主よ、上位種とはいえ、たかがオーガどもなら護衛は不要だな。我ら兄弟は先へ行く』
『おう! その通りだ! まあ、適当な敵が居たらよ、兄貴と一緒に追い込んで、勢子役をやってやるぜ』
『おいらも、ケルベロス達と一緒に行くよ! 偵察の練習だあ!』
魔導光球が放つ淡い光の中……
地下51階層へ到着すると、ケルベロスとオルトロスは闇の中へ駆けて行く。
そしてジャンも魔獣兄弟の後を追い、消えた。
上位種とはいえ、たかがオーガどもなら護衛は不要だな……か。
おう! その通りだ! ……かよ。
たかがオーガどもならか、ケルベロス、オルトロスめ。
結構な事を言う。
俺も見込まれたものだ。
……王都近郊で恐る恐るスライムを倒していた駆け出しの頃が懐かしく、
夢みたいに感じてしまうなあ。
でも!
油断は大敵!
勝って兜の緒を締めよ、だ!
ぱん!
リオネルは両手で軽く頬を叩き、気合を入れ直した。
柔らかく微笑み、歩き出す。
そして、魔導光球を先行させ、……
15分くらい歩いたところで、念話の敵襲連絡が入った。
ケルベロス、オルトロス、ジャンからだ。
『主! ついてるぞ! いきなりのビンゴ! オーガキングの登場だ!』
『おう! 主! 兄貴の言う通り、オーガキングと他の上位種、ノーマルタイプのオーガ含め50体の群れのおでましだ。あんたの準備運動にはちょうど良いだろ!』
『リオネル様! オーガどもを、そっちへ追い込むから宜しくう! かる~くひねっちゃえ!』
ついてるぞ! いきなりのビンゴ!
あんたの準備運動にはちょうど良いだろ!
そっちへ追い込むから宜しくう! かる~くひねっちゃえ!
おいおい、俺は慕われているのか、いじられているのか、どっちだ?
まあ、良いか。
苦笑するリオネル。
オーガキング以下、50体のオーガか!
相手にとって不足はない。
「ふう」と息を吐き、体内魔力を上げ、
リオネルは、通路の奥から現れるであろう敵に備えたのである。
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