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第413話「リオネル様への依頼は、無期限ノルマなしの魔物討伐同様、期限ノルマを設けず、自由度の高いものをチョイスしましたあ!」
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性格は、ひょうひょうとして冷静沈着。
スタンスはビジネスライク。
しかし、悪意は全くない。
無邪気な笑顔のしたたか者、冒険者ギルド専任業務担当者の、
エミリア・オースルンドとの打ち合せは、お昼まで続いた。
リオネルにとって、エミリアとの会話が予想以上に楽しかったからである。
「私、リオネル様の冒険者ギルドのデータベースを見て、びっくりした後に散々悩んだんですよお」
「エミリアさんが、俺のデータベースを見て、びっくりした後に散々悩んだんですか?」
「はあい! 念の為、リオネル様のプロフを申し上げまあす!」
「ええ、お聞きします」
「リオネル様は、現在レベル24。風の属性を持つ魔法使い。戦歴は先述したので省略致しまあす! ともに戦う使い魔は居るけど、基本はソロプレイヤーで仲間は居ない。つまりぼっちですよねえ」
冒険者ギルドのデータベースは、まず事前に届けを出した冒険者のプロフィール、属性、スキルの有無種類を手動で記載する。
そして魔力と連動したレベル確認、討伐記録、依頼の完遂記録を自動で記載していく性能を併せ持つ魔導システムだ。
ちなみに、手動で記載するものは、基本プロフィール以外は、あくまでも任意の申告。
リオネルのように、特殊なスキルを所持したり、全属性魔法使用者に覚醒しても、申告しない限り記載されないので、判明する事はない。
つまりギルドのデータベースは表向きの公式プロフィールと戦歴の記録という事だ。
「まあ、最近はそうですね。以前は仲間が居た事もありますが」
「そうなんですか。おひとり様がお好きなわけでもなかったのですねえ」
「ええ、気が合う相棒なり、仲間が居れば」
「成る程お! しかあし! 現在は、ぼっちでもリオネル様の戦歴は物凄い! だからふたつ名の『荒くれぼっち』には納得でしたあ!」
「ははは、『荒くれぼっち』に納得ですか。だけどエミリアさんは、悩んだんですよね?」
「はあい! 悩みましたよお! リオネル様の依頼の選定にはあ」
「成る程。依頼の選定にですか?」
「はあい! 失礼な言い方で申し訳ありません。ですが! たったレベル24なのに、ランクAというのがとんでもなく規格外すぎますよお。冒険者としての基準だけでなく、人間としてありえません」
「ははは、人間としてありえませんか?」
「はあい! 私、びっくりしましたよお! ギルドの名簿を改めて見てみましたが、ランクAでレベル20台の方は皆無でした。ランクAの皆様は、最低でもレベル45の方でしたもの」
「そうなんですか、調べたんですね」
「はあい! 調べましたあ! ランクA冒険者は大体がレベル50以上でえす」
「へえ。レベル50以上っすか。まあ、そうでしょうねえ」
「はあい! そもそも! 当ギルドが依頼を出す際、安全な完遂の為に、冒険者のランクに沿って妥当な案件をチョイスしまあす。そのランク判断の目安のひとつがレベルなのでえす」
「エミリアさん。そのロジックは理解出来ます」
「はあい! ですが! それ以上に重視するのが実績なんでえす」
「実績ですか」
「はあい! いわば論より証拠。いくらレベルが低くとも、上位種やそれ以上の魔物を倒した実績が優先されまあす。その実績で、リオネル様はレベルが低くとも、文句なしのランクAにおなりになったと、私は認識致しましたあ!」
エミリアはきっぱり言い切ると、「にこにこ」っと笑ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「さあ! いよいよ本題でえす! リオネル様へ、これから私が選んだ依頼をご提示致しまあす!」
「お願いします」
果たして……
エミリアから、どのような依頼が出てくるのだろうか?
「ちなみに! リオネル様への依頼は、無期限ノルマなしの魔物討伐同様、期限ノルマを設けず、自由度の高いものをチョイスしましたあ!」
「それはお気遣いありがとうございます」
「は~い! リオネル様へお願いするのは、調査系の依頼でっす!」
「調査系?」
「はあい! リオネル様がご購入された当支部発行、フォルミーカ迷宮探索地図の改定作業でえす!」
「それって……」
「はあい! リオネル様の依頼完遂記録にありましたあ。ソヴァール王国英雄の迷宮10階のフロア全調査を行ったとお」
「はい、確かに依頼を受諾し、完遂しました。冒険者ギルド総本部発行の地図新版の為の調査ですよね」
「はあい、今回お願いしたいのは、まさにそれでえす」
「ええっと……」
資料でも読んだし、先ほど魔道具店クピディタース店主のボトヴィッドとも話した。
フォルミーカの迷宮は地下300階層まであると言われている。
英雄の迷宮同様、1階層から丹念に調査して行くと、とんでもなく時間と手間を取られてしまう。
報酬にもよるが、進んで受諾したい依頼ではない。
「うふふ、報酬にもよるが、とんでもなく時間と手間を取られてしまう。進んで受諾したくない……って思ってらっしゃいますね」
やはりエミリアは鋭い女子。
とリオネルは思う。
「ご安心を! リオネル様がご購入された当支部発行の、地図の最終頁をご覧くださあい!」
「はい」
エミリアから言われ、リオネルは、フォルミーカ支部発行の地図の最終頁を見た。
地図は……155階層で終わっており、
それも151階層からの地図はだいぶアバウトだ。
「これは……もしや……」
「はあい! 期限なし、ノルマなしで、リオネル様へお願いしたいのはあ、出現する魔物の確認討伐も兼ねた、地下151階層以降のフロア調査でえす! 200階層までワンフロアあたり、金貨500枚、201階層から300階層までは、金貨1,000枚をお支払い致しまあす! 行ける階層まででOK! ちなみに! 魔物の討伐料は別途お支払い致しまあす!」
エミリアは依頼の概要を告げると、やはり「にっこり」と笑ったのである。
スタンスはビジネスライク。
しかし、悪意は全くない。
無邪気な笑顔のしたたか者、冒険者ギルド専任業務担当者の、
エミリア・オースルンドとの打ち合せは、お昼まで続いた。
リオネルにとって、エミリアとの会話が予想以上に楽しかったからである。
「私、リオネル様の冒険者ギルドのデータベースを見て、びっくりした後に散々悩んだんですよお」
「エミリアさんが、俺のデータベースを見て、びっくりした後に散々悩んだんですか?」
「はあい! 念の為、リオネル様のプロフを申し上げまあす!」
「ええ、お聞きします」
「リオネル様は、現在レベル24。風の属性を持つ魔法使い。戦歴は先述したので省略致しまあす! ともに戦う使い魔は居るけど、基本はソロプレイヤーで仲間は居ない。つまりぼっちですよねえ」
冒険者ギルドのデータベースは、まず事前に届けを出した冒険者のプロフィール、属性、スキルの有無種類を手動で記載する。
そして魔力と連動したレベル確認、討伐記録、依頼の完遂記録を自動で記載していく性能を併せ持つ魔導システムだ。
ちなみに、手動で記載するものは、基本プロフィール以外は、あくまでも任意の申告。
リオネルのように、特殊なスキルを所持したり、全属性魔法使用者に覚醒しても、申告しない限り記載されないので、判明する事はない。
つまりギルドのデータベースは表向きの公式プロフィールと戦歴の記録という事だ。
「まあ、最近はそうですね。以前は仲間が居た事もありますが」
「そうなんですか。おひとり様がお好きなわけでもなかったのですねえ」
「ええ、気が合う相棒なり、仲間が居れば」
「成る程お! しかあし! 現在は、ぼっちでもリオネル様の戦歴は物凄い! だからふたつ名の『荒くれぼっち』には納得でしたあ!」
「ははは、『荒くれぼっち』に納得ですか。だけどエミリアさんは、悩んだんですよね?」
「はあい! 悩みましたよお! リオネル様の依頼の選定にはあ」
「成る程。依頼の選定にですか?」
「はあい! 失礼な言い方で申し訳ありません。ですが! たったレベル24なのに、ランクAというのがとんでもなく規格外すぎますよお。冒険者としての基準だけでなく、人間としてありえません」
「ははは、人間としてありえませんか?」
「はあい! 私、びっくりしましたよお! ギルドの名簿を改めて見てみましたが、ランクAでレベル20台の方は皆無でした。ランクAの皆様は、最低でもレベル45の方でしたもの」
「そうなんですか、調べたんですね」
「はあい! 調べましたあ! ランクA冒険者は大体がレベル50以上でえす」
「へえ。レベル50以上っすか。まあ、そうでしょうねえ」
「はあい! そもそも! 当ギルドが依頼を出す際、安全な完遂の為に、冒険者のランクに沿って妥当な案件をチョイスしまあす。そのランク判断の目安のひとつがレベルなのでえす」
「エミリアさん。そのロジックは理解出来ます」
「はあい! ですが! それ以上に重視するのが実績なんでえす」
「実績ですか」
「はあい! いわば論より証拠。いくらレベルが低くとも、上位種やそれ以上の魔物を倒した実績が優先されまあす。その実績で、リオネル様はレベルが低くとも、文句なしのランクAにおなりになったと、私は認識致しましたあ!」
エミリアはきっぱり言い切ると、「にこにこ」っと笑ったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「さあ! いよいよ本題でえす! リオネル様へ、これから私が選んだ依頼をご提示致しまあす!」
「お願いします」
果たして……
エミリアから、どのような依頼が出てくるのだろうか?
「ちなみに! リオネル様への依頼は、無期限ノルマなしの魔物討伐同様、期限ノルマを設けず、自由度の高いものをチョイスしましたあ!」
「それはお気遣いありがとうございます」
「は~い! リオネル様へお願いするのは、調査系の依頼でっす!」
「調査系?」
「はあい! リオネル様がご購入された当支部発行、フォルミーカ迷宮探索地図の改定作業でえす!」
「それって……」
「はあい! リオネル様の依頼完遂記録にありましたあ。ソヴァール王国英雄の迷宮10階のフロア全調査を行ったとお」
「はい、確かに依頼を受諾し、完遂しました。冒険者ギルド総本部発行の地図新版の為の調査ですよね」
「はあい、今回お願いしたいのは、まさにそれでえす」
「ええっと……」
資料でも読んだし、先ほど魔道具店クピディタース店主のボトヴィッドとも話した。
フォルミーカの迷宮は地下300階層まであると言われている。
英雄の迷宮同様、1階層から丹念に調査して行くと、とんでもなく時間と手間を取られてしまう。
報酬にもよるが、進んで受諾したい依頼ではない。
「うふふ、報酬にもよるが、とんでもなく時間と手間を取られてしまう。進んで受諾したくない……って思ってらっしゃいますね」
やはりエミリアは鋭い女子。
とリオネルは思う。
「ご安心を! リオネル様がご購入された当支部発行の、地図の最終頁をご覧くださあい!」
「はい」
エミリアから言われ、リオネルは、フォルミーカ支部発行の地図の最終頁を見た。
地図は……155階層で終わっており、
それも151階層からの地図はだいぶアバウトだ。
「これは……もしや……」
「はあい! 期限なし、ノルマなしで、リオネル様へお願いしたいのはあ、出現する魔物の確認討伐も兼ねた、地下151階層以降のフロア調査でえす! 200階層までワンフロアあたり、金貨500枚、201階層から300階層までは、金貨1,000枚をお支払い致しまあす! 行ける階層まででOK! ちなみに! 魔物の討伐料は別途お支払い致しまあす!」
エミリアは依頼の概要を告げると、やはり「にっこり」と笑ったのである。
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