368 / 680
第368話「リオネルはもう完全にコツをつかんでいる」
しおりを挟む
アリトンの詠唱とともに、アガムの湖面が10mほど盛り上がり、大きな波となり、
『見えない敵』へと向かって行った。
見事だ!
と、リオネルは見とれていた。
だが、その波を見たアリトンは、ふっと軽く笑う。
『まだまだ序の口。こんなものは、ほんの小手調べじゃ』
『これでほんの小手調べですか』
『うむ! リオネルよ! もっともっと妾が手本を見せようぞ』
『はい!』
『うむ! 水が千変万化し、どう変わるのか、いくつも見せてやろう。そのさまをしかと、なんじの心に刻んでおけ。なんじが水の技法を発動する際のイメージとするのじゃ』
『了解です!』
『ふむ、再び声に出し、詠唱しよう……聖なる水よ、我が敵を押し戻せ!』
アリトンが『言霊』を詠唱すると、今度は、
先ほどの3倍!
何と! 高さ30mの巨大な波が発生し、押し寄せて行く。
『次じゃ! ……聖なる水よ、我が敵を押し戻せ!』
更に次は、高さこそ20mほどであるが、激しいしぶきをあげながら、複数の波が、『見えない敵』へ、おそいかかるどう猛なものであった。
『最後は、こうじゃ! ……聖なる水よ、我が敵を押し戻せ!』
そして更に更に! 水が高さ100mにもなる巨大な竜巻となり、『見えない敵』を天高く巻き上げる凄まじさだ。
アリトンが繰り出す水の千変万化。
しかし、「まだまだ」と言いたいのか、アリトンはふっと笑う。
『リオネルよ』
『はい』
『今、なんじへ見せたのは、千変万化たる水のほんの一部じゃ。だが、そなたなら、己の心の中で、いくつものバリエーションを楽に生成出来るであろう』
『はい! どんどん試してみたいです!』
『うむ、その意気じゃ! 臆することなく、挑むがよい!』
『はい!』
リオネルの「はきはき」した返事を聞き、アリトンは嬉しそうに笑った。
同じく笑顔を戻したリオネルは、体内魔力を高めると、
……聖なる水よ、我が敵を押し戻せ!と心で念じた。
すると、アリトンが見せた、 高さ30mの巨大な波、高さ20mで激しいしぶきをあげながら、複数の波が、襲いかかる波、そして高さ100mにもなる巨大な水の竜巻をたやすく生み出してしまう。
更にリオネルは、他にも様々なバリエーションの大、中、小の波を生成してみせた。
こうなると、アリトンそして配下のウンディーネ、マイムは大いに喜ぶ。
ふたりの『教官』は、意見が一致、情意投合した。
『マイム、リオネルを次の段階へ進ませても良かろうて!』
『はい! アリトン様』
こうしてリオネルは、出された課題を完璧にクリア。
次のステップへ進む事となったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『リオネル、ここまでは文句なく合格じゃ』
『そうね! アリトン様のおっしゃる通りだわ』
アリトンとマイムから太鼓判を押されたリオネル。
ふたりへ、深く一礼する。
『ありがとうございます』
教官役は、完全にアリトンへバトンタッチしたらしい。
『リオネルよ。次はこれまで習得した水の魔法を応用し、攻防に使うのじゃ』
『水の魔法を応用し、攻防に……ですか?』
『うむ! まず攻防の攻だが、リオネルが習得済みの水弾を応用してみせい!』
『水弾を……ですか。ああ、成る程!』
水の攻撃魔法『水弾』は、水を魔力で、鋼鉄のように硬質化し、撃ち出す魔法である。
『おお、すぐに察したか!』
『はい! 先ほど合格を頂いた敵を押し流す技法に、水弾を加えれば宜しいですね』
リオネルのひらめきはビンゴ!
正解だったようだ。
『うむ! リオネルよ! その通りじゃ! 早速試してみせい!』
『はい!』
呼吸法で体内魔力を上げると……
リオネルは、高さ30mの巨大な波、高さ20mで激しいしぶきをあげながら、複数の波が、襲いかかる波、そして高さ100mにもなる巨大な水の竜巻を生成。
水弾の魔法と同様、全てを硬質化し、『見えない敵』へぶつけた。
まともに当たったら、敵は大ダメージを受けたはずだ。
『うむ! これなら数多の敵と対する際、役に立とう』
『はい!』
『うむ! 次は攻防の防じゃ! こちらも自身を運ぶ技法へ、水壁を応用すれば良い』
水の防御魔法『水壁』は、術者の前に硬質化した水の壁を生成。
敵の攻撃をやわらげ、防ぐ魔法である。
リオネルはもう完全にコツをつかんでいる。
『はい! ……聖なる水よ、敵より守る壁となりつつ、我を運べ!』
すると!
リオネルが立つ場所から、少し前の位置の水が、勢いよくせりあがった。
高さ10mほどの強固な水壁となり、守るがごとく、前にそびえ立つ。
同時にリオネルの足元から、小さなさざ波が起こった。
さざ波は、湖面に立つリオネルの身体を、水壁ごと、すい~っと、運ぶ。
加えて、リオネルは前面だけの壁を四方に張り巡らせたり、そのまま速度を変え、
中速、高速で走らせたりもした。
ここでマイムが『はい!』と、手を挙げて提案。
強い波や水流の中でも、リオネルがダメージを受けぬよう、
円滑に泳ぎ、進めるように訓練しようと。
これらの課題もリオネルは楽々とクリア。
水の加護を完全にものとし、ダメージどころか、
大嵐に近い水面、水中、大渦巻でもびくともしなかった。
すいすいすいと、しなやかな魚のように泳いだのである。
最高に上機嫌となったアリトンは、
リオネルに極大攻撃魔法『大渦巻』『絶対零度』を伝授したのである。
『見えない敵』へと向かって行った。
見事だ!
と、リオネルは見とれていた。
だが、その波を見たアリトンは、ふっと軽く笑う。
『まだまだ序の口。こんなものは、ほんの小手調べじゃ』
『これでほんの小手調べですか』
『うむ! リオネルよ! もっともっと妾が手本を見せようぞ』
『はい!』
『うむ! 水が千変万化し、どう変わるのか、いくつも見せてやろう。そのさまをしかと、なんじの心に刻んでおけ。なんじが水の技法を発動する際のイメージとするのじゃ』
『了解です!』
『ふむ、再び声に出し、詠唱しよう……聖なる水よ、我が敵を押し戻せ!』
アリトンが『言霊』を詠唱すると、今度は、
先ほどの3倍!
何と! 高さ30mの巨大な波が発生し、押し寄せて行く。
『次じゃ! ……聖なる水よ、我が敵を押し戻せ!』
更に次は、高さこそ20mほどであるが、激しいしぶきをあげながら、複数の波が、『見えない敵』へ、おそいかかるどう猛なものであった。
『最後は、こうじゃ! ……聖なる水よ、我が敵を押し戻せ!』
そして更に更に! 水が高さ100mにもなる巨大な竜巻となり、『見えない敵』を天高く巻き上げる凄まじさだ。
アリトンが繰り出す水の千変万化。
しかし、「まだまだ」と言いたいのか、アリトンはふっと笑う。
『リオネルよ』
『はい』
『今、なんじへ見せたのは、千変万化たる水のほんの一部じゃ。だが、そなたなら、己の心の中で、いくつものバリエーションを楽に生成出来るであろう』
『はい! どんどん試してみたいです!』
『うむ、その意気じゃ! 臆することなく、挑むがよい!』
『はい!』
リオネルの「はきはき」した返事を聞き、アリトンは嬉しそうに笑った。
同じく笑顔を戻したリオネルは、体内魔力を高めると、
……聖なる水よ、我が敵を押し戻せ!と心で念じた。
すると、アリトンが見せた、 高さ30mの巨大な波、高さ20mで激しいしぶきをあげながら、複数の波が、襲いかかる波、そして高さ100mにもなる巨大な水の竜巻をたやすく生み出してしまう。
更にリオネルは、他にも様々なバリエーションの大、中、小の波を生成してみせた。
こうなると、アリトンそして配下のウンディーネ、マイムは大いに喜ぶ。
ふたりの『教官』は、意見が一致、情意投合した。
『マイム、リオネルを次の段階へ進ませても良かろうて!』
『はい! アリトン様』
こうしてリオネルは、出された課題を完璧にクリア。
次のステップへ進む事となったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『リオネル、ここまでは文句なく合格じゃ』
『そうね! アリトン様のおっしゃる通りだわ』
アリトンとマイムから太鼓判を押されたリオネル。
ふたりへ、深く一礼する。
『ありがとうございます』
教官役は、完全にアリトンへバトンタッチしたらしい。
『リオネルよ。次はこれまで習得した水の魔法を応用し、攻防に使うのじゃ』
『水の魔法を応用し、攻防に……ですか?』
『うむ! まず攻防の攻だが、リオネルが習得済みの水弾を応用してみせい!』
『水弾を……ですか。ああ、成る程!』
水の攻撃魔法『水弾』は、水を魔力で、鋼鉄のように硬質化し、撃ち出す魔法である。
『おお、すぐに察したか!』
『はい! 先ほど合格を頂いた敵を押し流す技法に、水弾を加えれば宜しいですね』
リオネルのひらめきはビンゴ!
正解だったようだ。
『うむ! リオネルよ! その通りじゃ! 早速試してみせい!』
『はい!』
呼吸法で体内魔力を上げると……
リオネルは、高さ30mの巨大な波、高さ20mで激しいしぶきをあげながら、複数の波が、襲いかかる波、そして高さ100mにもなる巨大な水の竜巻を生成。
水弾の魔法と同様、全てを硬質化し、『見えない敵』へぶつけた。
まともに当たったら、敵は大ダメージを受けたはずだ。
『うむ! これなら数多の敵と対する際、役に立とう』
『はい!』
『うむ! 次は攻防の防じゃ! こちらも自身を運ぶ技法へ、水壁を応用すれば良い』
水の防御魔法『水壁』は、術者の前に硬質化した水の壁を生成。
敵の攻撃をやわらげ、防ぐ魔法である。
リオネルはもう完全にコツをつかんでいる。
『はい! ……聖なる水よ、敵より守る壁となりつつ、我を運べ!』
すると!
リオネルが立つ場所から、少し前の位置の水が、勢いよくせりあがった。
高さ10mほどの強固な水壁となり、守るがごとく、前にそびえ立つ。
同時にリオネルの足元から、小さなさざ波が起こった。
さざ波は、湖面に立つリオネルの身体を、水壁ごと、すい~っと、運ぶ。
加えて、リオネルは前面だけの壁を四方に張り巡らせたり、そのまま速度を変え、
中速、高速で走らせたりもした。
ここでマイムが『はい!』と、手を挙げて提案。
強い波や水流の中でも、リオネルがダメージを受けぬよう、
円滑に泳ぎ、進めるように訓練しようと。
これらの課題もリオネルは楽々とクリア。
水の加護を完全にものとし、ダメージどころか、
大嵐に近い水面、水中、大渦巻でもびくともしなかった。
すいすいすいと、しなやかな魚のように泳いだのである。
最高に上機嫌となったアリトンは、
リオネルに極大攻撃魔法『大渦巻』『絶対零度』を伝授したのである。
0
お気に入りに追加
323
あなたにおすすめの小説
地下アイドルの変わった罰ゲーム
氷室ゆうり
恋愛
さてさて、今回は入れ替わりモノを作ってみましたので投稿します。若干アイドルの子がかわいそうな気もしますが、別にバットエンドって程でもないので、そこはご安心ください。
周りの面々もなかなかいいひとみたいですし。ああ、r18なのでご注意を。
それでは!
(完)なにも死ぬことないでしょう?
青空一夏
恋愛
ジュリエットはイリスィオス・ケビン公爵に一目惚れされて子爵家から嫁いできた美しい娘。イリスィオスは初めこそ優しかったものの、二人の愛人を離れに住まわせるようになった。
悩むジュリエットは悲しみのあまり湖に身を投げて死のうとしたが死にきれず昏睡状態になる。前世を昏睡状態で思い出したジュリエットは自分が日本という国で生きていたことを思い出す。還暦手前まで生きた記憶が不意に蘇ったのだ。
若い頃はいろいろな趣味を持ち、男性からもモテた彼女の名は真理。結婚もし子供も産み、いろいろな経験もしてきた真理は知っている。
『亭主、元気で留守がいい』ということを。
だったらこの状況って超ラッキーだわ♪ イケてるおばさん真理(外見は20代前半のジュリエット)がくりひろげるはちゃめちゃコメディー。
ゆるふわ設定ご都合主義。気分転換にどうぞ。初めはシリアス?ですが、途中からコメディーになります。中世ヨーロッパ風ですが和のテイストも混じり合う異世界。
昭和の懐かしい世界が広がります。懐かしい言葉あり。解説付き。
【R-18】何度だって君の所に行くよ【BL完結済】
今野ひなた
BL
美大四年生の黒川肇は親友の緑谷時乃が相手の淫夢に悩まされていた。ある日、時乃と居酒屋で飲んでいると彼から「過去に戻れる」と言う時計を譲られるが、彼はその直後、時乃は自殺してしまう。遺書には「ずっと好きだった」と時乃の本心が書かれていた。ショックで精神を病んでしまった肇は「時乃が自殺する直前に戻りたい」と半信半疑で時計に願う。そうして気が付けば、大学一年の時まで時間が戻っていた。時乃には自殺してほしくない、でも自分は相応しくない。肇は他に良い人がいると紹介し、交際寸前まで持ち込ませるが、ひょんなことから時乃と関係を持ってしまい…!?
公募落ち供養なので完結保障(全十五話)です。しょっぱなからエロ(エロシーンは★マークがついています)
小説家になろうさんでも公開中。
人生の『皮』る服(少女たちの皮を操って身体も心も支配する話)
ドライパイン
大衆娯楽
んごんご様主催「DARK SKINSUIT合同」にて寄稿させて頂きました作品です。
挿絵もございますため、よろしければPixiv版でもご一読いただけますと幸いです。
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
幼なじみに毎晩寝込みを襲われています
西 美月
BL
恭介の特技は『一度寝ると全然起きない』こと、
『どこでも眠れる』こと。
幼なじみとルームシェアを始めて1ヶ月。
ある日目覚めるとお尻の穴が痛くて──!?
♡♡小柄美系攻×平凡受♡♡
▷三人称表記です
▷過激表現ご注意下さい
お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。
ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの?
……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。
彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ?
婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。
お幸せに、婚約者様。
私も私で、幸せになりますので。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる