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第362話「うふふ♡ 分かるよ!」
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気が付けば、リオネルは全く見覚えのない、知らない街に立っていた。
周囲には、マイムと同じ、
水色のヴェールをまとった美しい少女……
数多のウンディーネ達が、ふわふわと浮かんでいる。
精霊と邂逅する前のリオネルなら、臆していたに違いない。
しかし、リオネルは地の最上級精霊ティエラと邂逅、
地の加護を受け、懇親を重ね……
風の精霊シルフのリーアに誘われ、空気界王オリエンスと邂逅。
風の加護を受け、数多のシルフ達と、境地風の谷で、舞い飛び、遊んだ。
それゆえリオネルは、水の精霊の街『水宮城』において、
美しいウンディーネ達に囲まれても泰然自若。
柔らかく微笑み、あいさつする。
当然、心と心の会話……念話である。
『皆さん、こんにちは、初めまして。人間族の魔法使い、リオネル・ロートレックと申します。マイム様のお導きで、水宮城へ伺いました。何卒宜しくお願い致します』
はきはきとあいさつし、落ち着き払ったリオネル。
ウンディーネ達は、驚き、わいわいと騒ぎ始めた。
好奇心旺盛、興味津々という趣きで、リオネルを眺めながら、さえずるさえずる。
『リオネル・ロートレック君かあ! この子って、凄い魔法使いなんでしょ?』
『うんうん! すっごく、強いらしいよぉ!』
『そうそう! この子が、今、精霊の間で噂になってる全属性魔法使用者なんだって!』
『全属性魔法使用者って! 可愛い男の子じゃない!』
『私、聞いた。地と風の加護を受けてるらしいよ!』
『さっき、マイム様が水の加護も与えたって!』
ウンディーネは、人間と愛し合えば、魂を得られるとの伝承がある。
それゆえ、恋をすると、情熱的に人間を愛するとも言われている。
人間と結婚し、子を為したという伝承も多い。
そのせいか、リオネルを見るウンディーネ達の目は、皆、熱かった……
『うふふふふ♡ この子、かっわい~♡』
『ねえ、お姉さん達と遊びに行かない、リオネル君♡』
『私達と、楽しい時間が過ごせるわよ♡』
しかし、ここでマイムが割って入る。
『こらこら! ダメダメ! 誘惑しちゃ! これからリオネル君をアリトン様の下へ連れて行くんだから!』
マイムの制止、教育的指導?
しかし、ウンディーネ達は全くめげない。
『リオネルく~ん。アリトン様の加護を受けたら、水中デートしようねえ♡』
『私達を、いつでも誘ってね~♡』
『誰でもラブラブな彼女になってあげるよぉ♡』
逆ナンは止まらない……
業を煮やして、マイムはリオネルの手をつかみ、ウンディーネ達をかきわけ、
「脱出した」のである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『もう! あの子達ったら! リオネル君を誘惑ばっかして!』
リオネルの手をつかみ、ひっぱるマイム。
ただ、本気で怒るというわけではなく、苦笑していた。
マイムは「ふう」と軽く息を吐く。
『まあ、仕方がないか。私達ウンディーネは、真の愛と伴侶を得れば、ピュアな魂を心に宿す事が出来るから』
『ウンディーネは真の愛と伴侶を得れば、ピュアな魂を心に宿す事が出来る……ですか?』
『ええ! リオネル君は知っているかもしれないけれど……私達の心に宿る魂は仮初のもの……真の愛を知り、いつくしむ伴侶に優しく可愛がられる事で、成長し、完全体になる事が出来るわ』
『成る程……ウンディーネが愛を知り、魂が完全体になる。思い出しました……マイム様のおっしゃる通り、俺、古文書で読んだ事があります』
『ええ、ウンディーネと人間との愛の話は数多あるから。記録されている逸話も多いの』
『はい、そうですね』
『でもね、一途なウンディーネを裏切る事は厳禁よ。可愛さ余って憎さ100倍……いい加減な人間は、手痛いしっぺ返しを食らうわ……うふふ』
『はい、それ、ウンディーネだけでなく、人間にも当てはまると思います』
『うふふ♡ 分かるよ!』
『分かる?』
『ええ! 私は知ってる! リオネル君は、水の魔法使い、ミリアンが求める愛に対し、彼女が望む形では応えられなかった』
マイムの言う通り、英雄の迷宮において、リオネルはミリアンの気持ちに応える事が出来なかった……
『………………』
『けれど、リオネル君はけっして、ミリアンを裏切ってはいない』
『………………』
『その証に! ミリアンは、リオネル君から「生きる励み」を与えられた!』
『え? 生きる励みですか!?』
『そう! 生きる励み! だから、ミリアンはキャナール村で頑張っていられる! いつの日にか、羽化し、大人になった自分を、愛するリオネル君に見て貰おうと、前向きにね』
『………………』
『切磋琢磨したミリアンは、必ず素敵な女性になる!』
『………………』
『たとえ、リオネル君と結ばれなくとも! ミリアンは幸せになれる! 私はそう思うよ!』
『………………』
『そして! ミリアンだけじゃない! これまでリオネル君は、数多の人間へ生きる励みと笑顔を与えて来た』
『………………』
『リオネル君。我らが主、高貴なる水界王アリトン様はね、君がたぐいまれな全属性魔法使用者だから、水の属性に寄った魔法使いになって欲しいから、だけで、会いたいとおっしゃったわけじゃない』
『………………』
『他の界王も精霊達も気付いていない、究極の隠しスキル『生きる励み』を持つ君にぜひ会いたい!とおっしゃったんだよ!』
マイムはそう言うと、にっこりと笑い、
つないだ手にぎゅ!と力を入れたのである。
周囲には、マイムと同じ、
水色のヴェールをまとった美しい少女……
数多のウンディーネ達が、ふわふわと浮かんでいる。
精霊と邂逅する前のリオネルなら、臆していたに違いない。
しかし、リオネルは地の最上級精霊ティエラと邂逅、
地の加護を受け、懇親を重ね……
風の精霊シルフのリーアに誘われ、空気界王オリエンスと邂逅。
風の加護を受け、数多のシルフ達と、境地風の谷で、舞い飛び、遊んだ。
それゆえリオネルは、水の精霊の街『水宮城』において、
美しいウンディーネ達に囲まれても泰然自若。
柔らかく微笑み、あいさつする。
当然、心と心の会話……念話である。
『皆さん、こんにちは、初めまして。人間族の魔法使い、リオネル・ロートレックと申します。マイム様のお導きで、水宮城へ伺いました。何卒宜しくお願い致します』
はきはきとあいさつし、落ち着き払ったリオネル。
ウンディーネ達は、驚き、わいわいと騒ぎ始めた。
好奇心旺盛、興味津々という趣きで、リオネルを眺めながら、さえずるさえずる。
『リオネル・ロートレック君かあ! この子って、凄い魔法使いなんでしょ?』
『うんうん! すっごく、強いらしいよぉ!』
『そうそう! この子が、今、精霊の間で噂になってる全属性魔法使用者なんだって!』
『全属性魔法使用者って! 可愛い男の子じゃない!』
『私、聞いた。地と風の加護を受けてるらしいよ!』
『さっき、マイム様が水の加護も与えたって!』
ウンディーネは、人間と愛し合えば、魂を得られるとの伝承がある。
それゆえ、恋をすると、情熱的に人間を愛するとも言われている。
人間と結婚し、子を為したという伝承も多い。
そのせいか、リオネルを見るウンディーネ達の目は、皆、熱かった……
『うふふふふ♡ この子、かっわい~♡』
『ねえ、お姉さん達と遊びに行かない、リオネル君♡』
『私達と、楽しい時間が過ごせるわよ♡』
しかし、ここでマイムが割って入る。
『こらこら! ダメダメ! 誘惑しちゃ! これからリオネル君をアリトン様の下へ連れて行くんだから!』
マイムの制止、教育的指導?
しかし、ウンディーネ達は全くめげない。
『リオネルく~ん。アリトン様の加護を受けたら、水中デートしようねえ♡』
『私達を、いつでも誘ってね~♡』
『誰でもラブラブな彼女になってあげるよぉ♡』
逆ナンは止まらない……
業を煮やして、マイムはリオネルの手をつかみ、ウンディーネ達をかきわけ、
「脱出した」のである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『もう! あの子達ったら! リオネル君を誘惑ばっかして!』
リオネルの手をつかみ、ひっぱるマイム。
ただ、本気で怒るというわけではなく、苦笑していた。
マイムは「ふう」と軽く息を吐く。
『まあ、仕方がないか。私達ウンディーネは、真の愛と伴侶を得れば、ピュアな魂を心に宿す事が出来るから』
『ウンディーネは真の愛と伴侶を得れば、ピュアな魂を心に宿す事が出来る……ですか?』
『ええ! リオネル君は知っているかもしれないけれど……私達の心に宿る魂は仮初のもの……真の愛を知り、いつくしむ伴侶に優しく可愛がられる事で、成長し、完全体になる事が出来るわ』
『成る程……ウンディーネが愛を知り、魂が完全体になる。思い出しました……マイム様のおっしゃる通り、俺、古文書で読んだ事があります』
『ええ、ウンディーネと人間との愛の話は数多あるから。記録されている逸話も多いの』
『はい、そうですね』
『でもね、一途なウンディーネを裏切る事は厳禁よ。可愛さ余って憎さ100倍……いい加減な人間は、手痛いしっぺ返しを食らうわ……うふふ』
『はい、それ、ウンディーネだけでなく、人間にも当てはまると思います』
『うふふ♡ 分かるよ!』
『分かる?』
『ええ! 私は知ってる! リオネル君は、水の魔法使い、ミリアンが求める愛に対し、彼女が望む形では応えられなかった』
マイムの言う通り、英雄の迷宮において、リオネルはミリアンの気持ちに応える事が出来なかった……
『………………』
『けれど、リオネル君はけっして、ミリアンを裏切ってはいない』
『………………』
『その証に! ミリアンは、リオネル君から「生きる励み」を与えられた!』
『え? 生きる励みですか!?』
『そう! 生きる励み! だから、ミリアンはキャナール村で頑張っていられる! いつの日にか、羽化し、大人になった自分を、愛するリオネル君に見て貰おうと、前向きにね』
『………………』
『切磋琢磨したミリアンは、必ず素敵な女性になる!』
『………………』
『たとえ、リオネル君と結ばれなくとも! ミリアンは幸せになれる! 私はそう思うよ!』
『………………』
『そして! ミリアンだけじゃない! これまでリオネル君は、数多の人間へ生きる励みと笑顔を与えて来た』
『………………』
『リオネル君。我らが主、高貴なる水界王アリトン様はね、君がたぐいまれな全属性魔法使用者だから、水の属性に寄った魔法使いになって欲しいから、だけで、会いたいとおっしゃったわけじゃない』
『………………』
『他の界王も精霊達も気付いていない、究極の隠しスキル『生きる励み』を持つ君にぜひ会いたい!とおっしゃったんだよ!』
マイムはそう言うと、にっこりと笑い、
つないだ手にぎゅ!と力を入れたのである。
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