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第342話「己の信念を簡単に曲げたり、尽くしてくれた仲間を見捨てるなど、自分には絶対に出来ません!」
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『うむ!』
『良い線、言ってるよぉ!』
リオネルがすいすいっと飛ぶのを見て、オリエンスとリーアは顔を見合わせ、
何故なのか、意味ありげに、満面の笑みを浮かべたのである。
『ありがとうございます! もっといろいろ試しても構いませんか?』
一方、空を飛べて嬉しくなったリオネルは、更に高度な飛行に挑戦したくなった。
対して、オリエンスとリーアは、
『うむ! 思う存分、やってみせい!』
『いけいけ! GOGO! リオネル君!』
『了解でっす!』
許可を得て、リオネルは華麗に大空を舞う。
水平飛行! 空中停止!
急速発進! 急停止! 急上昇! 急降下!
垂直急上昇! 垂直急降下!
空中1回転! 複数回転! バック回転! バック複数回転! きりもみ回転!
じぐざぐ飛行!等々!! 全てクリア~!!
『こんなもんですが、どうでしょう?』
リオネルがそう言い、微笑むと、
『うむ、いいじゃないか!』
『合格ぅ!』
『ですか!』
『ふむ! では私は約束を果たすぞ』
『約束? ですか?』
『うむ! 見事に飛ぶ事が出来たのなら、更にほうびをやると申した! そのほうびをやろう!』
先ほどから、何だか至れり尽くせりである。
風の加護を授かり、飛翔魔法もレクチャー付きで習得させて貰い、
更にほうびまで!?
却って後が怖い。
ただより高い物はない。
うまい話には裏がある。
リオネルはそんな言葉を思い出し、自問自答した。
しかし!
いえ、オリエンス様。俺、ほうびなんか、要りませんよ。
……と、断るわけにはいかない。
そんな事を言ったら、激怒するくらいじゃ、済まなくなる気がする。
同時に、オリエンス様の思惑が見えた。
ごほうび攻めで、風の陣営へ取り込もうとしている。
それしかない。
つらつら考えるリオネルだが……
ズバリ、考えた通りであった。
何故なら!
『リオネル!』
『はい』
『そなたへ我が眷属、従士を与えよう! 地べたをこそこそ走る犬より、ず~っと役に立つ!』
地べたをこそこそ走る犬……とは、地属性で、ティエラの眷属だと聞く、
冥界の魔獣ケルベロスの事であろう。
リオネルは苦笑し、ケルベロスを弁護する。
『ええっと、ウチのケルはとても役に立っていますよ』
しかし、オリエンスは華麗にスルー。
そのまま、話を続ける。
『よし! 出でよ! ジズ!』
『ジズ? え、まさか!?』
リオネルは以前、魔法学校で学び、認識していた。
オリエンスが呼び出すらしい『ジズ』という名は、
伝説ともいえる『鳥の王』の名だ。
海に棲むリヴァイアサン、陸に棲むベヒモスとともに、3体でひとつと称され、
「世界を支える」といわれる巨大な幻獣なのである。
きええええええええええええええ!!!!!
オリエンスの呼びかけに応じ、何もない空間から突如、
鋭い咆哮とともに現れたのは、風の谷の空、全てを覆うくらいの巨体。
魔獣グリフォンに良く似た風貌を持つ鳥の王……『ジズ』であったのだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
凄いなあ……こんなにでっかい奴、見たことがない!
風の精霊の境地たる風の谷の広大な空、全てが覆われるほどの巨体……
その迫力には、さすがにリオネルも圧倒される。
一方、ジズを呼び出し、従えるオリエンスは満面の笑みを浮かべていた。
『ふむ、良くぞ来た! ジズよ!』
きええええええええええええええ!!!!!
対して、再び鋭い咆哮で応えるジズ。
ここでオリエンスは、リオネルへ向き直る。
『リオネル! このジズをお前の忠実な従士として与える。さすれば矮小なケルベロスなど不要であろう』
『…………………』
対して、ジズの巨体に圧倒されていたリオネルは先ほどの予感が確信に変わるのを感じていた。
やはり……オリエンス様は自分を風の眷属の一員にしたい。
その為に、ここまで優遇してくれるのだと。
そしてジズは自分を監視する役割も担っているのかもしれない。
もしかして、地の最上級精霊ティエラと邂逅した今、同じ地の眷属たるケルベロスも監視役の役目を担っているのかもしれない。
しかし、それでも構わない。
ケルベロスはこれまで自分を支えてくれた従士……
否! 仲間であり『戦友』であるのだから。
ジズを従士にする条件が、ケルベロスを手放す事ならば到底飲めない。
そして、リオネルは気持ちを新たにした。
先ほどオリエンスに告げた自分の言葉を思い出したのだ。
『難儀する人々を救う為には元の属性である風、加護を受けた地にこだわらず、属性を問わず、適材適所で行使しよう! そう決めました!』
そう!
自分は全ての属性魔法を行使する全属性魔法使用者。
限られた属性に縛られてはならない。
それゆえ、リオネルは、はっきりと告げなければならない。
『オリエンス様』
『おお、何だ、リオネル、ケルベロスを捨て、ジズを従える決心はついたか!』
満面の笑みで問うオリエンス。
しかし、リオネルは首を横へ振る。
『いいえ!』
リオネルが断ったのを見て、聞いて、オリエンスはびっくり。
まさか断るとは思っていなかったらしい。
『な、何!?』
『自分に対し、いろいろと良くして頂いた事に対し、深く感謝は致します』
『むう!』
『しかし、オリエンス様のご厚意と引き換えに、己の信念を簡単に曲げたり、尽くしてくれた仲間を見捨てるなど、自分には絶対に出来ません!』
オリエンスをまっすぐに見据え、リオネルはきっぱりと言い放っていたのである。
『良い線、言ってるよぉ!』
リオネルがすいすいっと飛ぶのを見て、オリエンスとリーアは顔を見合わせ、
何故なのか、意味ありげに、満面の笑みを浮かべたのである。
『ありがとうございます! もっといろいろ試しても構いませんか?』
一方、空を飛べて嬉しくなったリオネルは、更に高度な飛行に挑戦したくなった。
対して、オリエンスとリーアは、
『うむ! 思う存分、やってみせい!』
『いけいけ! GOGO! リオネル君!』
『了解でっす!』
許可を得て、リオネルは華麗に大空を舞う。
水平飛行! 空中停止!
急速発進! 急停止! 急上昇! 急降下!
垂直急上昇! 垂直急降下!
空中1回転! 複数回転! バック回転! バック複数回転! きりもみ回転!
じぐざぐ飛行!等々!! 全てクリア~!!
『こんなもんですが、どうでしょう?』
リオネルがそう言い、微笑むと、
『うむ、いいじゃないか!』
『合格ぅ!』
『ですか!』
『ふむ! では私は約束を果たすぞ』
『約束? ですか?』
『うむ! 見事に飛ぶ事が出来たのなら、更にほうびをやると申した! そのほうびをやろう!』
先ほどから、何だか至れり尽くせりである。
風の加護を授かり、飛翔魔法もレクチャー付きで習得させて貰い、
更にほうびまで!?
却って後が怖い。
ただより高い物はない。
うまい話には裏がある。
リオネルはそんな言葉を思い出し、自問自答した。
しかし!
いえ、オリエンス様。俺、ほうびなんか、要りませんよ。
……と、断るわけにはいかない。
そんな事を言ったら、激怒するくらいじゃ、済まなくなる気がする。
同時に、オリエンス様の思惑が見えた。
ごほうび攻めで、風の陣営へ取り込もうとしている。
それしかない。
つらつら考えるリオネルだが……
ズバリ、考えた通りであった。
何故なら!
『リオネル!』
『はい』
『そなたへ我が眷属、従士を与えよう! 地べたをこそこそ走る犬より、ず~っと役に立つ!』
地べたをこそこそ走る犬……とは、地属性で、ティエラの眷属だと聞く、
冥界の魔獣ケルベロスの事であろう。
リオネルは苦笑し、ケルベロスを弁護する。
『ええっと、ウチのケルはとても役に立っていますよ』
しかし、オリエンスは華麗にスルー。
そのまま、話を続ける。
『よし! 出でよ! ジズ!』
『ジズ? え、まさか!?』
リオネルは以前、魔法学校で学び、認識していた。
オリエンスが呼び出すらしい『ジズ』という名は、
伝説ともいえる『鳥の王』の名だ。
海に棲むリヴァイアサン、陸に棲むベヒモスとともに、3体でひとつと称され、
「世界を支える」といわれる巨大な幻獣なのである。
きええええええええええええええ!!!!!
オリエンスの呼びかけに応じ、何もない空間から突如、
鋭い咆哮とともに現れたのは、風の谷の空、全てを覆うくらいの巨体。
魔獣グリフォンに良く似た風貌を持つ鳥の王……『ジズ』であったのだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
凄いなあ……こんなにでっかい奴、見たことがない!
風の精霊の境地たる風の谷の広大な空、全てが覆われるほどの巨体……
その迫力には、さすがにリオネルも圧倒される。
一方、ジズを呼び出し、従えるオリエンスは満面の笑みを浮かべていた。
『ふむ、良くぞ来た! ジズよ!』
きええええええええええええええ!!!!!
対して、再び鋭い咆哮で応えるジズ。
ここでオリエンスは、リオネルへ向き直る。
『リオネル! このジズをお前の忠実な従士として与える。さすれば矮小なケルベロスなど不要であろう』
『…………………』
対して、ジズの巨体に圧倒されていたリオネルは先ほどの予感が確信に変わるのを感じていた。
やはり……オリエンス様は自分を風の眷属の一員にしたい。
その為に、ここまで優遇してくれるのだと。
そしてジズは自分を監視する役割も担っているのかもしれない。
もしかして、地の最上級精霊ティエラと邂逅した今、同じ地の眷属たるケルベロスも監視役の役目を担っているのかもしれない。
しかし、それでも構わない。
ケルベロスはこれまで自分を支えてくれた従士……
否! 仲間であり『戦友』であるのだから。
ジズを従士にする条件が、ケルベロスを手放す事ならば到底飲めない。
そして、リオネルは気持ちを新たにした。
先ほどオリエンスに告げた自分の言葉を思い出したのだ。
『難儀する人々を救う為には元の属性である風、加護を受けた地にこだわらず、属性を問わず、適材適所で行使しよう! そう決めました!』
そう!
自分は全ての属性魔法を行使する全属性魔法使用者。
限られた属性に縛られてはならない。
それゆえ、リオネルは、はっきりと告げなければならない。
『オリエンス様』
『おお、何だ、リオネル、ケルベロスを捨て、ジズを従える決心はついたか!』
満面の笑みで問うオリエンス。
しかし、リオネルは首を横へ振る。
『いいえ!』
リオネルが断ったのを見て、聞いて、オリエンスはびっくり。
まさか断るとは思っていなかったらしい。
『な、何!?』
『自分に対し、いろいろと良くして頂いた事に対し、深く感謝は致します』
『むう!』
『しかし、オリエンス様のご厚意と引き換えに、己の信念を簡単に曲げたり、尽くしてくれた仲間を見捨てるなど、自分には絶対に出来ません!』
オリエンスをまっすぐに見据え、リオネルはきっぱりと言い放っていたのである。
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