297 / 680
第297話「リオネル! 気合が入った! やる気が出たぞ!」
しおりを挟む
ジェロームが感嘆し、出発したリオネルを見送った。
そしてリオネルは駆けた。
既に索敵は勿論、
姿を隠す『隠形』、足音を消す『忍び足』のシーフ職スキルも発動している。
砦へ接近したところで、リオネルは更に短距離の瞬間移動も発動。
成功!
まず3か所ある出入り口のひとつへ……
石壁に密着し、悟られないよう、すすすすすと、移動。
見張り役のオークに気付かれぬよう、
死角から特異スキル『シャットダウン』レベル補正プラス40を発動。
見張り役のオーク1体を動きを完全に止め、戦闘不能とし、
作戦通り、砦の出入り口すぐそばに、未起動の岩石製ゴーレム5体を配置。
ゴーレム5体を配置し終わると、地に伏す金縛り状態のオークへ接近。
風弾の『貫通!!』を至近距離で使い、なるべく音を立てないよう額を撃ち抜き、
とどめを刺した上で、そ~っと砦内へ潜入。
砦内は閑散としていた。
そして、リオネルの想定通り、オークどもの姿はほとんどなかった。
警備を見張りだけに任せ、
大部分のオークどもは、本館、兵舎など住居区へ入り込み、眠っているらしい。
ここでも隠形、忍び足のスキルが大活躍。
リオネルは、オークどもに全く気付かれず、
ディバックから魔導発煙筒を取り出し、ちゃっちゃと、各所へ仕掛けて回った。
戸外だけではなく、オークどもが寝込んでいる居住区の出入り口にも、
しっかりと仕掛けておく。
これで魔導発煙筒が作動すれば、砦内は催涙効果のある白煙に包まれるはずである。
魔導発煙筒を全て仕掛け終わると、もう1か所の砦の出入り口へ。
見張りのオークを倒すと、
ここにも作戦通り、未起動の岩石製のゴーレム5体を配置。
砦内の仕掛けは完了。
後は正門前の仕上げだけ。
リオネルは、転移魔法を使い、
ジェロームとケルベロスの居る地点付近やや後方へ戻る。
この間、約10分かかっていない!
リオネルは微笑みジェローム、ケルベロスの少し後方から声をかける。
「ジェローム、ケル、今、戻ったよ」
「お、おわ!!??」
「………………」
想定外の場所から声をかけられた!?
敵陣目前で、緊張もしていたジェロームは大いに驚いた。
一方、リオネルの帰還に気付いていたケルベロスは平然としている。
無言のまま、吠えもしない。
振り向いて、正真正銘のリオネルだと分かり、ジェロームは声を張り上げる。
「お、おい! リオネルっ!!」
「おう!」
「お、おうじゃないぞ! お、お前! ど、どうして、そんなところに現れる!?」
「あはは、お前達の背後へ回り込んだのさ」
「は、背後へ!? ま、回り込んだって!? ま、まだ出撃して! じゅ、10分も経ってないぞ! と、砦へ行って来たのか!?」
「ああ、行って来て、見張りのオークを数体倒し、中の作業も済んだ。……さあ、仕上げをして、いよいよ戦いだ」
「あ、ああ……りょ、了解……」
恐るべきリオネルの能力に、呆然とするジェロームは力なく返事をしたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ふう~」
ため息をつくジェロームへ、リオネルは回復魔法『全快』を行使した。
村から砦まで歩いた行軍の疲れ、オークの大群を前にした極度の緊張、
リオネルの能力発揮による大きな驚き等々、
様々なショックから受けたダメージを解消し、
これから本番の戦いへ臨ませる為のケアである。
リオネルの『全快』は体力の回復だけでなく、メンタルケアも行う優れモノ。
モチベーションアップの効果もある。
少し疲れ気味だったジェロームに生気がみなぎって来る。
「お、おおお!」
「元気になったか? ジェローム」
「あ、ああ! リオネル! 気合が入った! やる気が出たぞ! 何度も経験して、心底思うが、凄いな、お前の回復魔法は」
「その感じなら、万全だな。じゃあ作戦を再開するぞ」
「おう!」
ジェロームの言葉に偽りはない。
返事ひとつにしても張りがある。
ここでリオネルは懐中魔導時計を見た。
「よし! 後、5分ほどで魔導発煙筒が作動する。このタイミングで残りのゴーレムを出すぞ。アスプもここへ呼び戻す」
現在リオネルとジェロームが居る森の木陰から、
まっすぐ正面にある正門を凝視する。
距離は100mほどだ。
するといきなり!
正門前に未起動の鋼鉄製ゴーレムが5体現れた!!
「ぎえ!」
正門脇の石壁に陣取っていた見張り役のオークが、
ゴーレムの突然の出現に驚いて声をあげた。
更にリオネルは、自分達の手前30mの位置に鋼鉄製ゴーレムを5体配置。
ここで、全てのゴーレムを起動。
戦闘態勢に入らせた。
このタイミングで、魔獣アスプ4体が戻って来て、リオネルとジェロームの前方に位置した。
これで、作戦の準備は完全に整った。
後は、戦いの合図待ちだ。
やがて砦の各所から、「もくもくもくもく」と白煙が高くたちのぼった。
待ちに待った戦いの合図、作戦の開始である。
同時に、「ぎゃあああああああああああ!!!!」と、
催涙の白煙に包まれたらしい、オークどもの悲鳴が、
大きく大きく響き渡ったのである。
そしてリオネルは駆けた。
既に索敵は勿論、
姿を隠す『隠形』、足音を消す『忍び足』のシーフ職スキルも発動している。
砦へ接近したところで、リオネルは更に短距離の瞬間移動も発動。
成功!
まず3か所ある出入り口のひとつへ……
石壁に密着し、悟られないよう、すすすすすと、移動。
見張り役のオークに気付かれぬよう、
死角から特異スキル『シャットダウン』レベル補正プラス40を発動。
見張り役のオーク1体を動きを完全に止め、戦闘不能とし、
作戦通り、砦の出入り口すぐそばに、未起動の岩石製ゴーレム5体を配置。
ゴーレム5体を配置し終わると、地に伏す金縛り状態のオークへ接近。
風弾の『貫通!!』を至近距離で使い、なるべく音を立てないよう額を撃ち抜き、
とどめを刺した上で、そ~っと砦内へ潜入。
砦内は閑散としていた。
そして、リオネルの想定通り、オークどもの姿はほとんどなかった。
警備を見張りだけに任せ、
大部分のオークどもは、本館、兵舎など住居区へ入り込み、眠っているらしい。
ここでも隠形、忍び足のスキルが大活躍。
リオネルは、オークどもに全く気付かれず、
ディバックから魔導発煙筒を取り出し、ちゃっちゃと、各所へ仕掛けて回った。
戸外だけではなく、オークどもが寝込んでいる居住区の出入り口にも、
しっかりと仕掛けておく。
これで魔導発煙筒が作動すれば、砦内は催涙効果のある白煙に包まれるはずである。
魔導発煙筒を全て仕掛け終わると、もう1か所の砦の出入り口へ。
見張りのオークを倒すと、
ここにも作戦通り、未起動の岩石製のゴーレム5体を配置。
砦内の仕掛けは完了。
後は正門前の仕上げだけ。
リオネルは、転移魔法を使い、
ジェロームとケルベロスの居る地点付近やや後方へ戻る。
この間、約10分かかっていない!
リオネルは微笑みジェローム、ケルベロスの少し後方から声をかける。
「ジェローム、ケル、今、戻ったよ」
「お、おわ!!??」
「………………」
想定外の場所から声をかけられた!?
敵陣目前で、緊張もしていたジェロームは大いに驚いた。
一方、リオネルの帰還に気付いていたケルベロスは平然としている。
無言のまま、吠えもしない。
振り向いて、正真正銘のリオネルだと分かり、ジェロームは声を張り上げる。
「お、おい! リオネルっ!!」
「おう!」
「お、おうじゃないぞ! お、お前! ど、どうして、そんなところに現れる!?」
「あはは、お前達の背後へ回り込んだのさ」
「は、背後へ!? ま、回り込んだって!? ま、まだ出撃して! じゅ、10分も経ってないぞ! と、砦へ行って来たのか!?」
「ああ、行って来て、見張りのオークを数体倒し、中の作業も済んだ。……さあ、仕上げをして、いよいよ戦いだ」
「あ、ああ……りょ、了解……」
恐るべきリオネルの能力に、呆然とするジェロームは力なく返事をしたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ふう~」
ため息をつくジェロームへ、リオネルは回復魔法『全快』を行使した。
村から砦まで歩いた行軍の疲れ、オークの大群を前にした極度の緊張、
リオネルの能力発揮による大きな驚き等々、
様々なショックから受けたダメージを解消し、
これから本番の戦いへ臨ませる為のケアである。
リオネルの『全快』は体力の回復だけでなく、メンタルケアも行う優れモノ。
モチベーションアップの効果もある。
少し疲れ気味だったジェロームに生気がみなぎって来る。
「お、おおお!」
「元気になったか? ジェローム」
「あ、ああ! リオネル! 気合が入った! やる気が出たぞ! 何度も経験して、心底思うが、凄いな、お前の回復魔法は」
「その感じなら、万全だな。じゃあ作戦を再開するぞ」
「おう!」
ジェロームの言葉に偽りはない。
返事ひとつにしても張りがある。
ここでリオネルは懐中魔導時計を見た。
「よし! 後、5分ほどで魔導発煙筒が作動する。このタイミングで残りのゴーレムを出すぞ。アスプもここへ呼び戻す」
現在リオネルとジェロームが居る森の木陰から、
まっすぐ正面にある正門を凝視する。
距離は100mほどだ。
するといきなり!
正門前に未起動の鋼鉄製ゴーレムが5体現れた!!
「ぎえ!」
正門脇の石壁に陣取っていた見張り役のオークが、
ゴーレムの突然の出現に驚いて声をあげた。
更にリオネルは、自分達の手前30mの位置に鋼鉄製ゴーレムを5体配置。
ここで、全てのゴーレムを起動。
戦闘態勢に入らせた。
このタイミングで、魔獣アスプ4体が戻って来て、リオネルとジェロームの前方に位置した。
これで、作戦の準備は完全に整った。
後は、戦いの合図待ちだ。
やがて砦の各所から、「もくもくもくもく」と白煙が高くたちのぼった。
待ちに待った戦いの合図、作戦の開始である。
同時に、「ぎゃあああああああああああ!!!!」と、
催涙の白煙に包まれたらしい、オークどもの悲鳴が、
大きく大きく響き渡ったのである。
0
お気に入りに追加
323
あなたにおすすめの小説
地下アイドルの変わった罰ゲーム
氷室ゆうり
恋愛
さてさて、今回は入れ替わりモノを作ってみましたので投稿します。若干アイドルの子がかわいそうな気もしますが、別にバットエンドって程でもないので、そこはご安心ください。
周りの面々もなかなかいいひとみたいですし。ああ、r18なのでご注意を。
それでは!
(完)なにも死ぬことないでしょう?
青空一夏
恋愛
ジュリエットはイリスィオス・ケビン公爵に一目惚れされて子爵家から嫁いできた美しい娘。イリスィオスは初めこそ優しかったものの、二人の愛人を離れに住まわせるようになった。
悩むジュリエットは悲しみのあまり湖に身を投げて死のうとしたが死にきれず昏睡状態になる。前世を昏睡状態で思い出したジュリエットは自分が日本という国で生きていたことを思い出す。還暦手前まで生きた記憶が不意に蘇ったのだ。
若い頃はいろいろな趣味を持ち、男性からもモテた彼女の名は真理。結婚もし子供も産み、いろいろな経験もしてきた真理は知っている。
『亭主、元気で留守がいい』ということを。
だったらこの状況って超ラッキーだわ♪ イケてるおばさん真理(外見は20代前半のジュリエット)がくりひろげるはちゃめちゃコメディー。
ゆるふわ設定ご都合主義。気分転換にどうぞ。初めはシリアス?ですが、途中からコメディーになります。中世ヨーロッパ風ですが和のテイストも混じり合う異世界。
昭和の懐かしい世界が広がります。懐かしい言葉あり。解説付き。
【R-18】何度だって君の所に行くよ【BL完結済】
今野ひなた
BL
美大四年生の黒川肇は親友の緑谷時乃が相手の淫夢に悩まされていた。ある日、時乃と居酒屋で飲んでいると彼から「過去に戻れる」と言う時計を譲られるが、彼はその直後、時乃は自殺してしまう。遺書には「ずっと好きだった」と時乃の本心が書かれていた。ショックで精神を病んでしまった肇は「時乃が自殺する直前に戻りたい」と半信半疑で時計に願う。そうして気が付けば、大学一年の時まで時間が戻っていた。時乃には自殺してほしくない、でも自分は相応しくない。肇は他に良い人がいると紹介し、交際寸前まで持ち込ませるが、ひょんなことから時乃と関係を持ってしまい…!?
公募落ち供養なので完結保障(全十五話)です。しょっぱなからエロ(エロシーンは★マークがついています)
小説家になろうさんでも公開中。
人生の『皮』る服(少女たちの皮を操って身体も心も支配する話)
ドライパイン
大衆娯楽
んごんご様主催「DARK SKINSUIT合同」にて寄稿させて頂きました作品です。
挿絵もございますため、よろしければPixiv版でもご一読いただけますと幸いです。
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
幼なじみに毎晩寝込みを襲われています
西 美月
BL
恭介の特技は『一度寝ると全然起きない』こと、
『どこでも眠れる』こと。
幼なじみとルームシェアを始めて1ヶ月。
ある日目覚めるとお尻の穴が痛くて──!?
♡♡小柄美系攻×平凡受♡♡
▷三人称表記です
▷過激表現ご注意下さい
お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。
ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの?
……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。
彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ?
婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。
お幸せに、婚約者様。
私も私で、幸せになりますので。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる