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第250話「お話があります」

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リオネル達は、オークどもを完全に討伐。
脅威が無くなった事を、早速、村長へ報告した。

報告を受けた村長は、部下の助役は、リオネル達一行と巣穴へ出向き、確認。

わざと残しておいたオークの死骸数多を、
リオネルとモーリスが葬送魔法で最終処理するのを目の当たりにし、大喜びした。

帰村した一行は、村長宅で打合せを行い……

村長は、リオネル達の実力、手際の良さを認め、
『追加の発注』をしてくれたのである。

リオネル達へ、追加で発注されたのは、
新規の農地開拓と、その農地の畝づくり、
そして作物の種付け、植え付けの各手伝い、灌漑設備建設の協力。

更には村の周囲の防護用の岩壁の建設と整備、村営墓地の除霊、浄化である。

リオネル達は、改めて村長に確認した。

これまで完遂した他の町村も引き合いに出し……
農地関係はあくまでも手伝い、協力の範疇はんちゅうであり、
リオネル達4人だけで、完遂する仕事ではないと。

後で『行き違い』のないように、
農地開拓関係は『村民達がメインで働いて貰う』事を、
村長へ了解して貰ったのである。

追加発注自体の是非に関しても、改めて村長へ確認する。
ちなみに、これはモーリスの指示である。

対して、村長曰はく、「問題はない」との事。

発注元の貴族領主からは最初の発注の結果次第、
「村長の権限で、追加発注を任せる」と指示されていたらしい。

貴族領主の家紋、サイン付きの直筆指示書を見せられ、記載内容も確認。

……結果、追加発注を受諾しても、全く問題なしであった。

その追加発注の為、当初より納期も1か月延長して貰った。

念の為にと、経緯と契約内容、支払い等も含め、
『冒険者ギルド総本部へとりまとめて貰う事』を書面にし、
村長とモーリスのサインも入れた。

その書面を3枚作り、各自が1枚づつ保管。
残りの1枚を『最初の依頼完遂、追加発注の報告書』として、
魔法鳩便で、ワレバットの冒険者ギルド総本部へ送っておく。

これでようやく、追加発注の契約は為されたのである。

「口約束で、物事を決め、進めてトラブルになるケースは多い。だから内容を確認の上、日付と双方のサイン入りの書面にしておく事」
「冒険者ギルド総本部からの仲介でない。だから、しっかり確認をし、報告を入れ、万全を期しておく事」

とモーリスから言われ、
リオネル、ミリアン、カミーユは、契約の基礎に関し、
しっかりと学ぶ事が出来たのである。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

こうして……
追加発注があり、仕事が一気に増えた。

リオネル達は引き続き、村長、助役と相談し、スケジュールの調整を行う。

スケジュールの調整とは、いろいろある追加発注の中において、
効率も考え、優先順位をつけ、対応し、完遂する順番を決めて行くのだ。

各自から、いろいろな意見が出て……

相談したその結果……

リオネルが、従来の農地に隣接する新規の農地開拓と、
その農地の畝づくりを担当する事となった。

更に、最初に受諾した残りの仕事も行う。

既存、新規の農地合わせ、農地全体を外敵から防ぐ、
防護用の岩壁の建設と整備も農地開拓と同時に行うのだ。

一方、モーリス、ミリアン、カミーユの3人で、
村の周囲の防護用の岩壁の建設と整備、村営墓地の除霊、浄化を行う事となった。

そして最後に、村民総出で、
農地全体の作物の種付け、植え付けの各手伝い、
灌漑設備建設を行うという事となった。

追加発注の段取りも決まり、村長と助役は上機嫌である。

ここでモーリスが抜け目なくアピールする。

「村長」

「はい、何でしょう、モーリス様」

「お話があります」

「私へお話、ですか?」

「はい! 冒険者ギルド総本部と調整は致しますし、費用は頂戴致しますが……今後も、私達へ、もろもろ依頼をして頂けませんかな。それと何か、ご要望があれば、私達は商人としても、物資の運搬、買い物代行等、雑事をご相談の上、承りましょう」

対して村長は大いに喜び、

「おお! それは、それは! こちらとしても願ったりかなったりです。皆様を頼りに致します。今回の物資の運搬も助かりました。何せ、この村には店が、小さなよろず屋、たった一軒しかありませんから」

「成る程! であれば! もしそのよろず屋のご主人を、村長から紹介して頂ければ、直接やりとりさせて頂きますよ。そうすれば、村長、助役殿のお手をわずらわせずに済みますからな」

モーリスの提案を聞き、ミリアンとカミーユも「うんうん」と頷いていた。

まだモーリス達3人は、冒険者ギルド総本部の商人講座を一回受けただけである。
しかし、全員いろいろと商人の勉強をしているようだ。

対して、村長は満面の笑みである。

「おお、何から何まで! 本当に助かります! ありがとうございます! ありがとうございます!」

深くお辞儀をし、厚くお礼を言う村長。

同じく満面の笑みを浮かべる助役に対し、

「当村の名物料理の用意を! そして、オークども討伐の慰労会の用意をせい!」

と、命じたのである。
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