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第212話「立てた課題を上回るクリアをした!」
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敵が接近している。
すぐ仲間に報せなくてはならない。
リオネルはもう慣れた仕草で、後方へ振り向いた。
そして、
「全員! 聞いてくれ! 敵襲だ! 相手はコカトリス3体!」
と、大きな声で叫んだ。
同時にアスプ達へも指示を送る。
「そのまま静観せよ」と。
彼らとも意思が通じ合うのを感じる。
ケルベロスのレベルとまでは行かないだろうが、ともに旅をする従士に、
仲間となってくれるだろう。
……やがて、コカトリスどもが現れた。
リオネルは既にアスプ、バジリスクの毒息をクリア……無効化に成功した。
それゆえ、対コカトリス戦の課題は決まっている。
毒息は勿論、「石化攻撃をはね返せるか」どうかだ。
リオネルはコカトリスと正対し、避けずに臆さずに「ずいっ!」と前に出た。
初戦のアスプ戦ほど不安はなかった。
積み重ねた経験が、リオネルの不安を払拭していた。
破邪魔法奥義『破邪霊鎧』レベル補正プラス40の能力を信じられるから。
リオネルは念の為、モーリス達へもっと下がるよう強く手で合図する。
応えて、モーリス達は急いで大きく下がった。
これでモーリス達は、コカトリスの攻撃の影響は受けない。
まずコカトリスは唸って、リオネルを威嚇する。
そして、ぶわっと毒息を吐いた。
果たして、…………………………………………………………
………………おお! やはり何ともないっ!
良しっ!! 大丈夫!!
『破邪霊鎧』の防毒能力は完璧だっ!
毒息攻撃に対し、リオネルがダメージを受けないのを見て、
バジリスク同様、コカトリスは感情のない冷たい視線を送って来る。
さすがに最大級の石化能力を持つ魔物である。
ほんの少しだけ心が吸い込まれそうになる。
ダメだ!
心を囚われたら、気合負けをしたら終わりだぞ!
良し!
ここで更に『課題』のクリアだ!
リオネルは、真っ向からコカトリスの視線を受け止める。
と、同時にキッと、にらみ返す。
リオネルの視線とコカトリスの視線が、心の波動同士が、
見えない火花となって、ばちばちとぶつかり合った。
負けるかあ!
やらせるかあ!
ばちばちばちばちばちばちばちばちばちばちばちばちばちばちっっっっ………
………びしししししししっっっっっっっっ!!!!!
何と! いきなり!!
『破滅の音』が、響いたっ!!
これは……『生身の肉体が石化する音』である。
まさか!?
リオネルが石化された!?
モーリス以下、メンバーの誰もが我が身の危険を忘れ、
思わず駆け寄ろうとした瞬間!
リオネルが手をすっと水平に出し、
「大丈夫、来なくてOK!」とばかりにメンバーを制止した。
おおおおおおっっっっ!!??
リオネルが身体を動かした!?
無事……なのかっ!
じゃあ!
先ほどの『破滅の音』は、一体!?
モーリス達の発する戸惑いと、どよめきが迷宮内に満ちた。
そう!
何と何と!
石化したのは……コカトリスどもの方であった。
3体のコカトリスは全て石化……物言わぬ石像となったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
……戦闘は終わった。
通路には、物言わぬ石像となった3体のコカトリスが鎮座していた。
驚いたモーリス達は、リオネルへ説明を求めた。
「ええ、奴らに気合負けしないよう、がん飛ばししていたら、いきなり、心の内なる声が教えてくれました。お前は『思念反射』の能力を習得したと……それで、とりあえず使ってみました」
何と!
戦いの中で、チートスキル『エヴォリューシオ』の効果により、
リオネルは『思念反射』のスキルを習得していた。
そしてコカトリスの発した思念の石化攻撃を反射し、逆に石化していたのだ。
そんなリオネルの説明を聞き、モーリスは呆れ、喜ぶ。
予想以上の結果だと感嘆したのだ。
『破邪霊鎧』レベル補正プラス40で毒と石化を無効化するのは想定内。
しかし、『思念反射』のスキルを得て、逆にコカトリスを石化させるのは完全に想定外であったからだ。
「おおおおっ! リオ君は凄いな! 思念反射を習得したから、とりあえず使っただと!? ほ、本当に……凄すぎるぞ」
そして、本人さえも理解出来ていない、この現状の説明もしてくれた。
「う、うむ! リオ君、君が習得した思念反射の能力とはな、敵の思念攻撃を強力な心と、魔力を帯びた波動ではね返し、逆に敵へ攻撃するという伝説のスキルだ……」
「伝説のスキル……なんですか?」
「うむっ! 石化、魅惑、混乱など、思念と魔力を使って行う攻撃に有効なのだ! その能力を実戦で修得し、すかさずコカトリスを逆に石化させるとは……見事だ! 見事すぎるっ!」
モーリスの説明を聞いていたミリアンとカミーユも、大いに喜んだ。
ふたりは、はっきりと!
リオネルが「立てた課題を上回るクリアをした!」と理解したのである。
「うっわあ! リオさん超最高! 超素敵ぃ! 超愛してるう♡」
「リオさん、超凄すぎ! 超々凄すぎるっすう! 超々ムリゲーだけど、リオさんは一生目指せる人生の目標~っす!」
そして……
「俺は自分の見た物を信じる!」 という信念を語ったゴーチェは絶句した後、
「………おいおいおい! こりゃ、ランクとかレベルとか、そんな問題じゃねえぞ!」
と大声で叫ぶ始末であった。
興奮と感動が終わった後、
笑顔のモーリスは念の為だと、
『解毒』と『石化解除』の魔法をリオネルへ行使した。
すると、
チャララララ、パッパー!!!
いつものように……
リオネルの心の中で、あの独特のランクアップファンファーレが鳴り響き、
『内なる声』が淡々と告げて来た。
リオネル・ロートレックは、規定値に達し、
『レベル19』に到達しました。
特異スキル『思念反射』レベル補正プラス40を習得しました。
敵の思念攻撃を反射し、逆に敵へ攻撃します。
チートスキル『エヴォリューシオ』『見よう見まね』の効果により、
回復魔法『解毒』『石化解除』を100%習得しました。
身体能力、五感が全般的に大幅アップしました。
体内魔力が大幅に増量しました。
魔力回復力が大幅にアップしました。
魔法攻撃力が大幅にアップしました。
物理攻撃力が大幅にアップしました。
対魔法防御力が大幅にアップしました。
対物理防御力が大幅にアップしました。
と、各種スペックが大幅に向上。
リオネルはまたも、大きな成長を遂げたのである。
すぐ仲間に報せなくてはならない。
リオネルはもう慣れた仕草で、後方へ振り向いた。
そして、
「全員! 聞いてくれ! 敵襲だ! 相手はコカトリス3体!」
と、大きな声で叫んだ。
同時にアスプ達へも指示を送る。
「そのまま静観せよ」と。
彼らとも意思が通じ合うのを感じる。
ケルベロスのレベルとまでは行かないだろうが、ともに旅をする従士に、
仲間となってくれるだろう。
……やがて、コカトリスどもが現れた。
リオネルは既にアスプ、バジリスクの毒息をクリア……無効化に成功した。
それゆえ、対コカトリス戦の課題は決まっている。
毒息は勿論、「石化攻撃をはね返せるか」どうかだ。
リオネルはコカトリスと正対し、避けずに臆さずに「ずいっ!」と前に出た。
初戦のアスプ戦ほど不安はなかった。
積み重ねた経験が、リオネルの不安を払拭していた。
破邪魔法奥義『破邪霊鎧』レベル補正プラス40の能力を信じられるから。
リオネルは念の為、モーリス達へもっと下がるよう強く手で合図する。
応えて、モーリス達は急いで大きく下がった。
これでモーリス達は、コカトリスの攻撃の影響は受けない。
まずコカトリスは唸って、リオネルを威嚇する。
そして、ぶわっと毒息を吐いた。
果たして、…………………………………………………………
………………おお! やはり何ともないっ!
良しっ!! 大丈夫!!
『破邪霊鎧』の防毒能力は完璧だっ!
毒息攻撃に対し、リオネルがダメージを受けないのを見て、
バジリスク同様、コカトリスは感情のない冷たい視線を送って来る。
さすがに最大級の石化能力を持つ魔物である。
ほんの少しだけ心が吸い込まれそうになる。
ダメだ!
心を囚われたら、気合負けをしたら終わりだぞ!
良し!
ここで更に『課題』のクリアだ!
リオネルは、真っ向からコカトリスの視線を受け止める。
と、同時にキッと、にらみ返す。
リオネルの視線とコカトリスの視線が、心の波動同士が、
見えない火花となって、ばちばちとぶつかり合った。
負けるかあ!
やらせるかあ!
ばちばちばちばちばちばちばちばちばちばちばちばちばちばちっっっっ………
………びしししししししっっっっっっっっ!!!!!
何と! いきなり!!
『破滅の音』が、響いたっ!!
これは……『生身の肉体が石化する音』である。
まさか!?
リオネルが石化された!?
モーリス以下、メンバーの誰もが我が身の危険を忘れ、
思わず駆け寄ろうとした瞬間!
リオネルが手をすっと水平に出し、
「大丈夫、来なくてOK!」とばかりにメンバーを制止した。
おおおおおおっっっっ!!??
リオネルが身体を動かした!?
無事……なのかっ!
じゃあ!
先ほどの『破滅の音』は、一体!?
モーリス達の発する戸惑いと、どよめきが迷宮内に満ちた。
そう!
何と何と!
石化したのは……コカトリスどもの方であった。
3体のコカトリスは全て石化……物言わぬ石像となったのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
……戦闘は終わった。
通路には、物言わぬ石像となった3体のコカトリスが鎮座していた。
驚いたモーリス達は、リオネルへ説明を求めた。
「ええ、奴らに気合負けしないよう、がん飛ばししていたら、いきなり、心の内なる声が教えてくれました。お前は『思念反射』の能力を習得したと……それで、とりあえず使ってみました」
何と!
戦いの中で、チートスキル『エヴォリューシオ』の効果により、
リオネルは『思念反射』のスキルを習得していた。
そしてコカトリスの発した思念の石化攻撃を反射し、逆に石化していたのだ。
そんなリオネルの説明を聞き、モーリスは呆れ、喜ぶ。
予想以上の結果だと感嘆したのだ。
『破邪霊鎧』レベル補正プラス40で毒と石化を無効化するのは想定内。
しかし、『思念反射』のスキルを得て、逆にコカトリスを石化させるのは完全に想定外であったからだ。
「おおおおっ! リオ君は凄いな! 思念反射を習得したから、とりあえず使っただと!? ほ、本当に……凄すぎるぞ」
そして、本人さえも理解出来ていない、この現状の説明もしてくれた。
「う、うむ! リオ君、君が習得した思念反射の能力とはな、敵の思念攻撃を強力な心と、魔力を帯びた波動ではね返し、逆に敵へ攻撃するという伝説のスキルだ……」
「伝説のスキル……なんですか?」
「うむっ! 石化、魅惑、混乱など、思念と魔力を使って行う攻撃に有効なのだ! その能力を実戦で修得し、すかさずコカトリスを逆に石化させるとは……見事だ! 見事すぎるっ!」
モーリスの説明を聞いていたミリアンとカミーユも、大いに喜んだ。
ふたりは、はっきりと!
リオネルが「立てた課題を上回るクリアをした!」と理解したのである。
「うっわあ! リオさん超最高! 超素敵ぃ! 超愛してるう♡」
「リオさん、超凄すぎ! 超々凄すぎるっすう! 超々ムリゲーだけど、リオさんは一生目指せる人生の目標~っす!」
そして……
「俺は自分の見た物を信じる!」 という信念を語ったゴーチェは絶句した後、
「………おいおいおい! こりゃ、ランクとかレベルとか、そんな問題じゃねえぞ!」
と大声で叫ぶ始末であった。
興奮と感動が終わった後、
笑顔のモーリスは念の為だと、
『解毒』と『石化解除』の魔法をリオネルへ行使した。
すると、
チャララララ、パッパー!!!
いつものように……
リオネルの心の中で、あの独特のランクアップファンファーレが鳴り響き、
『内なる声』が淡々と告げて来た。
リオネル・ロートレックは、規定値に達し、
『レベル19』に到達しました。
特異スキル『思念反射』レベル補正プラス40を習得しました。
敵の思念攻撃を反射し、逆に敵へ攻撃します。
チートスキル『エヴォリューシオ』『見よう見まね』の効果により、
回復魔法『解毒』『石化解除』を100%習得しました。
身体能力、五感が全般的に大幅アップしました。
体内魔力が大幅に増量しました。
魔力回復力が大幅にアップしました。
魔法攻撃力が大幅にアップしました。
物理攻撃力が大幅にアップしました。
対魔法防御力が大幅にアップしました。
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