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第193話「もしもバレたら、逃げられないよう、ガチで囲い込みに入ると思うよ」
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ゴーチェの馴染みだという居酒屋における、
誘われた宴――食事会が終わり、
リオネル達一行は宿泊している宿屋へ戻った。
「さあ、今夜のメシは全て俺のおごりだ! 冷めてしまうから、話をしながら料理を食おう。お代わりもOKだ。明日に差し支えないレベルでガンガン食って、飲んでくれ!」原文ママと、ゴーチェからは素敵な事を言われたが……
途中、モーリスが「ほどほどにしておくように」と戒めた事もあり、
食べ盛り真っ只中のリオネル、ミリアン、カミーユの3人ではあるが、
腹八分に留め、明日に備えた。
宿へ戻った4人は各自、念入りに武器防具等、
装備の点検を行い、改めて魔力杖に新たな魔法を込め直した。
そして明日探索する、未踏破部分4階層の打合せ――
ゴブリン討伐の作戦会議を行い、今夜は早めに寝る事に。
基本的には、ミリアンとカミーユを前衛とするフォーメーションを継続するという事となっている。
戦い方に関しては、現状の装備をや習得した技能を鑑みて、
モーリスとリオネルから、いろいろとアドバイスが為された。
その結果、ふたりとも破邪聖煌拳を基本に、
ミリアンは水属性魔法とリオネルからプレゼントされた魔法杖を、
カミーユもシールドバッシュと、同じく魔法杖を組み合わせて戦う事になった。
また、リオネルも、モーリスからいろいろと、アドバイスを貰った。
全属性魔法使用者になったから『改めて』いう形である。
「リオ君」
「はい!」
「君がこの先、赴くフォルミーカ迷宮でも、このような魔法障壁に護られた中立エリア、つまり安全地帯フロアが存在するぞ。迷宮内にある小ホール同様、休憩、宿泊、買い物等々、有効活用すると良い」
「はい!」
「東方の言葉に、彼を知り……つまり、敵を知り己を知れば百戦殆からずという言葉がある」
「はい、モーリスさん! ギルドの図書館で目にしました」
「うむ! リオ君は元々研究熱心だから、当然承知しているだろうが、 敵と味方の特徴、情勢、状況を良く知って戦うのが肝要であり、何度戦ってもほぼ敗れることはないという例えだ」
「はい!」
「相手方と、自分との実力差、つまり優劣長短を良く知る事は本当に大切なのだよ」
「はい!」
「敵の特徴、特にウイークポイントをついて攻撃する事はとても有効だぞ。絶対ではないが、与えるダメージ、効果が何倍にもなる。リオ君は全属性魔法使用者だから、属性魔法を使い分ける事が必要だ」
「はい!」
「瞬時に魔法が無詠唱で『神発動』可能なリオ君は、接近戦でも様々な魔法を自在に撃てる。敵に間断なく攻撃を仕掛けながら、人間離れした体術、そして最強の拳法破邪聖煌拳も使う変幻自在の最強戦士になれるぞ!」
など、他にもいろいろ、モーリスから有用なアドバイスも受けた。
「モーリスさん、いつも本当にありがとうございます」
と、リオネルが感謝したのは言うまでもない。
さてさて!
リオネル達が今夜泊まる宿屋は迷宮の一室を改築したモノであり、
石造りの部屋には、地上から簡易なベッドが持ち込まれたもの。
部屋は狭く寝心地は最高とは言えない。
だが、迷宮の他フロアで、キャンプし、
冷たい床に寝袋で休むよりは、安全面も含め、何倍も何倍もマシであった。
魔導灯の灯りが消され、しばし経つと、
隣のベッドから、ミリアンが話しかけて来る。
「リオさん」
「何だい、ミリアン」
「今夜もしっかり抱っこしてくれる? リオさんが求めるのなら、……私の全てをささげてもOKだよ」
「ぶほっ! ささげてもって……ええっと、今夜はやめておくよ……」
「うふふ♡ 冗談だって。 ところで、ゴーチェ様、リオさんへ、最近はどうだ? から始まって、今後の予定変更はないのか? とか、気が変わる可能性はないのか?とか、ワレバットに留まらないのか、とか、根掘り葉掘り、ホントにしつこく聞いていたよね?」
「ああ、いろいろと、聞かれたな」
「あの人……いまだに、リオさんを貴族家の養子にする事、諦めていないみたいだね」
「ああ、貴族家養子入りの件は、ローランド様からもお誘いされたよ」
「うん、謁見の際、上機嫌で言われたって、リオさんから聞いたよね。もしかして、それって、リオさんを見込んでどこかの貴族家へ、養子で入れろっていう、ローランド様の厳命じゃないのかな?」
「う~ん……ローランド様の厳命って……それは凄く困るなあ」
「その上、リオさんが、世界でも稀有な、全属性魔法使用者になったと、もしもバレたら、ヤバイよ」
「ヤバイ?」
「うん! リオさんが絶対に逃げられないよう、ガチで囲い込みに入ると思うよ」
「うっわ! 囲い込みって……俺が期待されるのは、とても嬉しいけど……儀礼に厳しい貴族家では、がんじがらめに縛られそうだ。勘弁して欲しいよ。はああ……」
大きくため息を吐くリオネル。
ここでカミーユが、会話へ乱入。
「ごちそうになっておいて、こんな事を言うのは申しわけないっすけど、ゴーチェ様、もしも明日、俺達の探索について来たら、ヤバいっす。この前と同じで、ほぼストーカーっすよ」
「さすがに、ゴーチェ様は、そこまではしないでしょ」
と、ミリアンが否定するが、
「いや、分からないっすよ。何か、こう騎士の意地っていうか、底知れぬどろどろした執念を感じるっす。ゴーチェ様には」
「まっさかあ! どろどろした執念なんて、あの体育会系の方にはないでしょ」
「いやいや! やっぱ! 姉さんは『読み』が甘いっすよ」
「何よお! 弟の癖に生意気!」
「あ! 弟の癖にとか、今のは、問題発言っす!」
と話が大いに盛り上がったが……
「ほらほら! もう眠らないと。明日も早いぞ」
というモーリスの『教育的指導』が入り、ようやく3人は就寝したのである。
誘われた宴――食事会が終わり、
リオネル達一行は宿泊している宿屋へ戻った。
「さあ、今夜のメシは全て俺のおごりだ! 冷めてしまうから、話をしながら料理を食おう。お代わりもOKだ。明日に差し支えないレベルでガンガン食って、飲んでくれ!」原文ママと、ゴーチェからは素敵な事を言われたが……
途中、モーリスが「ほどほどにしておくように」と戒めた事もあり、
食べ盛り真っ只中のリオネル、ミリアン、カミーユの3人ではあるが、
腹八分に留め、明日に備えた。
宿へ戻った4人は各自、念入りに武器防具等、
装備の点検を行い、改めて魔力杖に新たな魔法を込め直した。
そして明日探索する、未踏破部分4階層の打合せ――
ゴブリン討伐の作戦会議を行い、今夜は早めに寝る事に。
基本的には、ミリアンとカミーユを前衛とするフォーメーションを継続するという事となっている。
戦い方に関しては、現状の装備をや習得した技能を鑑みて、
モーリスとリオネルから、いろいろとアドバイスが為された。
その結果、ふたりとも破邪聖煌拳を基本に、
ミリアンは水属性魔法とリオネルからプレゼントされた魔法杖を、
カミーユもシールドバッシュと、同じく魔法杖を組み合わせて戦う事になった。
また、リオネルも、モーリスからいろいろと、アドバイスを貰った。
全属性魔法使用者になったから『改めて』いう形である。
「リオ君」
「はい!」
「君がこの先、赴くフォルミーカ迷宮でも、このような魔法障壁に護られた中立エリア、つまり安全地帯フロアが存在するぞ。迷宮内にある小ホール同様、休憩、宿泊、買い物等々、有効活用すると良い」
「はい!」
「東方の言葉に、彼を知り……つまり、敵を知り己を知れば百戦殆からずという言葉がある」
「はい、モーリスさん! ギルドの図書館で目にしました」
「うむ! リオ君は元々研究熱心だから、当然承知しているだろうが、 敵と味方の特徴、情勢、状況を良く知って戦うのが肝要であり、何度戦ってもほぼ敗れることはないという例えだ」
「はい!」
「相手方と、自分との実力差、つまり優劣長短を良く知る事は本当に大切なのだよ」
「はい!」
「敵の特徴、特にウイークポイントをついて攻撃する事はとても有効だぞ。絶対ではないが、与えるダメージ、効果が何倍にもなる。リオ君は全属性魔法使用者だから、属性魔法を使い分ける事が必要だ」
「はい!」
「瞬時に魔法が無詠唱で『神発動』可能なリオ君は、接近戦でも様々な魔法を自在に撃てる。敵に間断なく攻撃を仕掛けながら、人間離れした体術、そして最強の拳法破邪聖煌拳も使う変幻自在の最強戦士になれるぞ!」
など、他にもいろいろ、モーリスから有用なアドバイスも受けた。
「モーリスさん、いつも本当にありがとうございます」
と、リオネルが感謝したのは言うまでもない。
さてさて!
リオネル達が今夜泊まる宿屋は迷宮の一室を改築したモノであり、
石造りの部屋には、地上から簡易なベッドが持ち込まれたもの。
部屋は狭く寝心地は最高とは言えない。
だが、迷宮の他フロアで、キャンプし、
冷たい床に寝袋で休むよりは、安全面も含め、何倍も何倍もマシであった。
魔導灯の灯りが消され、しばし経つと、
隣のベッドから、ミリアンが話しかけて来る。
「リオさん」
「何だい、ミリアン」
「今夜もしっかり抱っこしてくれる? リオさんが求めるのなら、……私の全てをささげてもOKだよ」
「ぶほっ! ささげてもって……ええっと、今夜はやめておくよ……」
「うふふ♡ 冗談だって。 ところで、ゴーチェ様、リオさんへ、最近はどうだ? から始まって、今後の予定変更はないのか? とか、気が変わる可能性はないのか?とか、ワレバットに留まらないのか、とか、根掘り葉掘り、ホントにしつこく聞いていたよね?」
「ああ、いろいろと、聞かれたな」
「あの人……いまだに、リオさんを貴族家の養子にする事、諦めていないみたいだね」
「ああ、貴族家養子入りの件は、ローランド様からもお誘いされたよ」
「うん、謁見の際、上機嫌で言われたって、リオさんから聞いたよね。もしかして、それって、リオさんを見込んでどこかの貴族家へ、養子で入れろっていう、ローランド様の厳命じゃないのかな?」
「う~ん……ローランド様の厳命って……それは凄く困るなあ」
「その上、リオさんが、世界でも稀有な、全属性魔法使用者になったと、もしもバレたら、ヤバイよ」
「ヤバイ?」
「うん! リオさんが絶対に逃げられないよう、ガチで囲い込みに入ると思うよ」
「うっわ! 囲い込みって……俺が期待されるのは、とても嬉しいけど……儀礼に厳しい貴族家では、がんじがらめに縛られそうだ。勘弁して欲しいよ。はああ……」
大きくため息を吐くリオネル。
ここでカミーユが、会話へ乱入。
「ごちそうになっておいて、こんな事を言うのは申しわけないっすけど、ゴーチェ様、もしも明日、俺達の探索について来たら、ヤバいっす。この前と同じで、ほぼストーカーっすよ」
「さすがに、ゴーチェ様は、そこまではしないでしょ」
と、ミリアンが否定するが、
「いや、分からないっすよ。何か、こう騎士の意地っていうか、底知れぬどろどろした執念を感じるっす。ゴーチェ様には」
「まっさかあ! どろどろした執念なんて、あの体育会系の方にはないでしょ」
「いやいや! やっぱ! 姉さんは『読み』が甘いっすよ」
「何よお! 弟の癖に生意気!」
「あ! 弟の癖にとか、今のは、問題発言っす!」
と話が大いに盛り上がったが……
「ほらほら! もう眠らないと。明日も早いぞ」
というモーリスの『教育的指導』が入り、ようやく3人は就寝したのである。
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