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第160話「ローランド様に謁見①」
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ゴブリン討伐を含む、小村の様々な問題解決が結構な評判となったらしく……
リオネル達へ、ワレバット近郊の町や村からの同じような指名依頼がいくつかあり、
それらを無事に完遂した。
またその完遂の鮮やかな手際と大きな成果が話題となり、リオネル達の活躍はますます評判になって行った。
そして、とある日。
遂に遂に!
リオネルへ、サブマスターのブレーズ・シャリエ経由で呼び出しの連絡が来た。
呼び出しの連絡……
そう、ワレバットの領主で、冒険者ギルド総本部の総ギルドマスターを兼務する、
ローランド・コルドウェル伯爵から「リオネルと会見したい」との連絡である。
喜んで謁見に応じると返事をして数日後の朝8時30分……
相変わらずギルドで講義受講等の修行を続けるモーリス、ミリアン、カミーユとともに、リオネルは冒険者ギルド総本部へ。
1階受付にはクローディーヌとエステルが待っていた。
「頑張れよ、リオ君。君なら大丈夫とは思うが……くれぐれも総マスターに粗相のないようにな」
「リオさん、後で話を聞かせてね♡」
「良い話が聞けるんじゃないっすか、リオさん」
「リオネル様、いつものように振舞えば、全然大丈夫ですよぉ」
などとモーリス達とエステルからエールを送られ、1階受付で一旦3人とはバイバイ。
クローディーヌとともに、10階の本館最上階総マスター専用エリアへ。
ストロベリーブロンドの髪をなびかせながら颯爽と歩くクローディーヌ。
相変わらず素敵な女だなあと思いつつ歩くリオネル。
昔のリオネルならば、貴族に会うなど緊張し、話を聞いただけで逃げ出していたに違いない。
しかし今のリオネルには、謁見を他所に、クローディーヌの美しさを感じる余裕があった。
クローディーヌへ尋ねると、今日の謁見には、ブレーズは立ち会わないという。
さてさて!
少し歩くと、これまた妙齢の女性がひとり立っていた。
リオネルが見覚えのない金髪碧眼の美しい女性である。
女性は総マスター、ローランドの秘書らしい。
「ソランジュ室長、リオネル・ロートレック様をお連れ致しました」
「ご苦労様、クローディーヌさん。後は私に任せて、もう下がって構いませんよ」
「かしこまりました。ではリオネル様、私は、こちらで失礼させて頂きます」
「ありがとうございました。クローディーヌさん」
リオネルが礼を言うと、クローディーヌはにっこり笑い、一礼して去って行った。
クローディーヌを見送るリオネルへ、金髪碧眼の美女が挨拶する。
「初めまして、リオネル・ロートレック様。私は、『冒険者ギルド総本部秘書室長』で総マスターの第一秘書、ソランジュ・デグベルと申します。ここからは私がご案内しますので、何卒宜しくお願い致します」
「初めまして、リオネル・ロートレックです。ソランジュさん、こちらこそ、宜しくお願い致します」
「はきはき」と挨拶を戻したリオネルを見て、ソランジュは柔らかく微笑む。
「うふふ、成る程」
リオネルを見て、何故だか納得したようなソランジュ。
気になったリオネルは、尋ねてみる。
「ええっと……どうかしましたか、俺?」
「いえ……何でもありません。さあ、こちらです」
ソランジュの年齢は30歳少し過ぎくらいだろう。
彼女もスレンダーでスタイル抜群の女子である。
声も綺麗で、クローディーヌとはタイプが違うが、仕事が出来る『切れ者女子』という趣きだ。
クローディーヌ同様、颯爽と歩くソランジュの後姿を見て、
「やはり自分は『美しい年上女子が好みのタイプ』なのだ」と改めて実感したリオネルであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ソランジュは、いくつか通路を曲がり、ある扉の前に立った。
応接室の扉らしい。
とんとんとん、と軽やかにノックする。
「閣下、リオネル・ロートレックさまをお連れ致しました」
ソランジュの言葉に対し、重く低い声が戻って来る。
「ご苦労様、ソランジュ、一緒に入ってくれ」
「かしこまりました!」
ソランジュは言葉を戻し、がちゃんとノブを回し、扉を開けた。
「失礼致します」
一礼して、室内へ入り、リオネルを促す。
「さあ、どうぞ、リオネル様、お入りください」
「失礼します」
ソランジュに倣い、一礼したリオネルは室内へ入った。
部屋は……やはり『応接室』である。
豪奢な応接セット。
そして高価そうな置時計や花瓶があり、部屋の壁には絵画が何枚も掛けられ、
奥には彫像などの調度品がたくさんあった。
そしてリオネルの正面に……
ローランド・コルドウェル伯爵は立っていた。
ローランドは、かつて巨大なドラゴンを倒した事から、『ドラゴンスレイヤー』
『英雄』と称えられ、ワレバッドの領主とギルドの総マスターを兼任する王国貴族である。
シルバープラチナの短髪。
大きな灰色の瞳に鷲鼻。
太い眉毛で厚い唇。
彫りが深い顔立ちである。
ローランドの身長は2m近く、筋骨隆々。
体格はブレーズの副官ゴーチェに勝るとも劣らない巨躯であった。
但し、ローランドから感じる威圧感は、ゴーチェとは全然比べ物にならない。
サブマスターのブレーズ曰はく、ローランドの年齢は現在61歳。
だが、まだまだおとろえを見せないという。
放つ魔力波《オーラ》からも、みなぎる凄まじいパワーを、リオネルは感じる。
さてさて!
相手の年齢、身分に関係なく、挨拶は先に元気良く!
というのが、特別なケースを除いて、リオネルの基本モットーである。
「初めまして、ローランド閣下! リオネル・ロートレックです! お忙しいところお時間をお作り頂き、ありがとうございます!」
リオネルは「はきはき」と挨拶し、深く頭を下げたのである。
リオネル達へ、ワレバット近郊の町や村からの同じような指名依頼がいくつかあり、
それらを無事に完遂した。
またその完遂の鮮やかな手際と大きな成果が話題となり、リオネル達の活躍はますます評判になって行った。
そして、とある日。
遂に遂に!
リオネルへ、サブマスターのブレーズ・シャリエ経由で呼び出しの連絡が来た。
呼び出しの連絡……
そう、ワレバットの領主で、冒険者ギルド総本部の総ギルドマスターを兼務する、
ローランド・コルドウェル伯爵から「リオネルと会見したい」との連絡である。
喜んで謁見に応じると返事をして数日後の朝8時30分……
相変わらずギルドで講義受講等の修行を続けるモーリス、ミリアン、カミーユとともに、リオネルは冒険者ギルド総本部へ。
1階受付にはクローディーヌとエステルが待っていた。
「頑張れよ、リオ君。君なら大丈夫とは思うが……くれぐれも総マスターに粗相のないようにな」
「リオさん、後で話を聞かせてね♡」
「良い話が聞けるんじゃないっすか、リオさん」
「リオネル様、いつものように振舞えば、全然大丈夫ですよぉ」
などとモーリス達とエステルからエールを送られ、1階受付で一旦3人とはバイバイ。
クローディーヌとともに、10階の本館最上階総マスター専用エリアへ。
ストロベリーブロンドの髪をなびかせながら颯爽と歩くクローディーヌ。
相変わらず素敵な女だなあと思いつつ歩くリオネル。
昔のリオネルならば、貴族に会うなど緊張し、話を聞いただけで逃げ出していたに違いない。
しかし今のリオネルには、謁見を他所に、クローディーヌの美しさを感じる余裕があった。
クローディーヌへ尋ねると、今日の謁見には、ブレーズは立ち会わないという。
さてさて!
少し歩くと、これまた妙齢の女性がひとり立っていた。
リオネルが見覚えのない金髪碧眼の美しい女性である。
女性は総マスター、ローランドの秘書らしい。
「ソランジュ室長、リオネル・ロートレック様をお連れ致しました」
「ご苦労様、クローディーヌさん。後は私に任せて、もう下がって構いませんよ」
「かしこまりました。ではリオネル様、私は、こちらで失礼させて頂きます」
「ありがとうございました。クローディーヌさん」
リオネルが礼を言うと、クローディーヌはにっこり笑い、一礼して去って行った。
クローディーヌを見送るリオネルへ、金髪碧眼の美女が挨拶する。
「初めまして、リオネル・ロートレック様。私は、『冒険者ギルド総本部秘書室長』で総マスターの第一秘書、ソランジュ・デグベルと申します。ここからは私がご案内しますので、何卒宜しくお願い致します」
「初めまして、リオネル・ロートレックです。ソランジュさん、こちらこそ、宜しくお願い致します」
「はきはき」と挨拶を戻したリオネルを見て、ソランジュは柔らかく微笑む。
「うふふ、成る程」
リオネルを見て、何故だか納得したようなソランジュ。
気になったリオネルは、尋ねてみる。
「ええっと……どうかしましたか、俺?」
「いえ……何でもありません。さあ、こちらです」
ソランジュの年齢は30歳少し過ぎくらいだろう。
彼女もスレンダーでスタイル抜群の女子である。
声も綺麗で、クローディーヌとはタイプが違うが、仕事が出来る『切れ者女子』という趣きだ。
クローディーヌ同様、颯爽と歩くソランジュの後姿を見て、
「やはり自分は『美しい年上女子が好みのタイプ』なのだ」と改めて実感したリオネルであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ソランジュは、いくつか通路を曲がり、ある扉の前に立った。
応接室の扉らしい。
とんとんとん、と軽やかにノックする。
「閣下、リオネル・ロートレックさまをお連れ致しました」
ソランジュの言葉に対し、重く低い声が戻って来る。
「ご苦労様、ソランジュ、一緒に入ってくれ」
「かしこまりました!」
ソランジュは言葉を戻し、がちゃんとノブを回し、扉を開けた。
「失礼致します」
一礼して、室内へ入り、リオネルを促す。
「さあ、どうぞ、リオネル様、お入りください」
「失礼します」
ソランジュに倣い、一礼したリオネルは室内へ入った。
部屋は……やはり『応接室』である。
豪奢な応接セット。
そして高価そうな置時計や花瓶があり、部屋の壁には絵画が何枚も掛けられ、
奥には彫像などの調度品がたくさんあった。
そしてリオネルの正面に……
ローランド・コルドウェル伯爵は立っていた。
ローランドは、かつて巨大なドラゴンを倒した事から、『ドラゴンスレイヤー』
『英雄』と称えられ、ワレバッドの領主とギルドの総マスターを兼任する王国貴族である。
シルバープラチナの短髪。
大きな灰色の瞳に鷲鼻。
太い眉毛で厚い唇。
彫りが深い顔立ちである。
ローランドの身長は2m近く、筋骨隆々。
体格はブレーズの副官ゴーチェに勝るとも劣らない巨躯であった。
但し、ローランドから感じる威圧感は、ゴーチェとは全然比べ物にならない。
サブマスターのブレーズ曰はく、ローランドの年齢は現在61歳。
だが、まだまだおとろえを見せないという。
放つ魔力波《オーラ》からも、みなぎる凄まじいパワーを、リオネルは感じる。
さてさて!
相手の年齢、身分に関係なく、挨拶は先に元気良く!
というのが、特別なケースを除いて、リオネルの基本モットーである。
「初めまして、ローランド閣下! リオネル・ロートレックです! お忙しいところお時間をお作り頂き、ありがとうございます!」
リオネルは「はきはき」と挨拶し、深く頭を下げたのである。
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