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第151話「さあ! 仕事の開始だ!」

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皆様の応援がとても励みとなっております。
今後とも宜しくお願い致します。

予告通り、このパートでもストーリー進行をしながら、
主な登場人物紹介の『後編』を掲載します。

主な登場人物紹介《後編》

☆エレーヌ《20代後半?》とアンナ《8歳?》
リオネルがワレバッドの街への旅の途中でオークから救った美しき母に天使のような娘。
アルエット村在住。

☆クレマン《60代後半》
アルエット村村長。
エレーヌの父。アンナの祖父。
男手ひとつで育てた愛娘エレーヌが王都で冒険者と恋に落ちた事で、
冒険者全員を憎んでいる。
だが、リオネルの行動と気配りで、考えを変え、娘、孫と和解する。

☆ドニ《10代半ば?》
アルエット村の少年。
最初はよそ者のリオネルを嫌っていたが、腕相撲勝負で負け、後に心酔する。

☆モーリス・バザン《46歳》
冒険者。元創世神教会の戦闘僧モンク。元司祭でもあった。

破邪聖煌拳はじゃせいこうけんの達人。地属性、破邪葬送と回復の魔法に優れた魔法使いでもある。
孤児のミリアンとカミーユの姉弟を養子として引き取り、弟子にもした。
ひょうひようとして、ずるい部分もあるが、基本は熱血漢で情に厚い。

リオネルが旅の途中で出会い、ゴブリンの大群から救った縁で、モーリス、ミリアン、カミーユの3人と共に旅をする事となる。

☆ミリアン・バザン《15歳》
冒険者。カミーユの双子の姉。モーリスの養子で弟子。
金髪碧眼で美しく天真爛漫な少女。
水属性の魔法使いで、回復魔法を使う。
破邪聖煌拳はじゃせいこうけんの遣い手で下手なナンパ男子は撃退可能。

☆カミーユ・バザン《15歳》
冒険者。カミーユの双子の弟。モーリスの養子で弟子。
金髪碧眼の美少年。破邪聖煌拳はじゃせいこうけんの遣い手でシーフ志望だがひどく臆病。
しかし、生涯ミリアンを守ると誓い、自分より強い姉を超えようと奮闘する。
諭され、戦いを目の当たりにして、リオネルが『憧れの対象』となり、目標とする。

☆パトリス・アンクタン《46歳?》
創世神教会の司祭で、リオネル達が立ち寄ったキャナール村村長でもある。
モーリスの同期で幼い頃からの親友。
先代村長から死病の際、村長の後任を頼まれたが、今や天職だと思っている。
リオネル達の活躍でゴブリンどもを退治してくれた事に感謝し、村への移住を提案した。

☆ブレーズ・シャリエ《40代前半?》
王国貴族騎士爵。冒険者総本部サブマスター。剣聖と謳われる魔法剣士。
血縁のナタリーを立ち直らせたリオネルを大いに気に入り、好意的にふるまう。

☆クローディーヌ・ボードレール《25歳?》
サブマスター、ブレーズの専任秘書。
ストロベリーブロンドのスレンダー美女。
真面目な性格で仕事が出来る女子。

☆マルセル・デュプレ《30代前半?》
冒険者ギルド総本部、不動産部の職員。
几帳面な性格で仕事が出来る男子。

☆エステル・アゼマ《20代半ば?》
冒険者ギルド総本部、業務部の職員。
突き抜けた性格で仕事が出来る世話好き女子。
ミリアン、カミーユを気遣いサポートし、実の姉のように慕われる。
リオネル達の業務窓口担当。

☆ローランド・コルドウェル《?歳》
王国貴族伯爵。かつて巨大なドラゴンを倒した事から、英雄と称えられ、
ワレバッドの領主と冒険者ギルドの総マスターを兼任する。
いずれリオネルに会うと公言している……らしい。

☆ゴーチエ・バラデュール《30歳すぎ?》
2m近い巨躯を誇るブレーズの副官であるじに忠実な騎士。現役ランカー冒険者。
『荒くれぼっち』リオネルの噂を聞き、興味を持つ。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

副官のゴーチェはブレーズに上申し、すぐに『散歩』の許可を取ってくれた。

「ブレーズは笑顔で即OKしてくれた」と、ゴーチェは言う。
「村長と急ぎの打ち合わせがある」ので同行出来ない事を残念がっていたらしい。
多分、リオネル達の『意図』に気付いているに違いない。

そして救援物資の作業終了後、ブレーズと村長は打ち合わせに。
なので、農地までの案内を村長の部下である助役、そして村の自警団員4名の、
村民計5名も同行してくれる事となった。

自警団員が同行するのは、やはりゴブリンが出て、人間を襲うからだという。

リオネル達は村の正門を出て、村外の農地へ向かう。
キャナール村と同じで、村から1kmほど離れた場所に広い農地や牧草地があるらしい。

時間は午後1時過ぎ。
天気は快晴。
雲ひとつなく、風はさわやか。

気分が良いせいか、カミーユが軽口を叩く。 

「ゴブリンの100や200、リオさんの敵じゃないっす! 楽勝っす!」

それを聞いたゴーチェが豪快に笑う。

「ははははは! さすがの『荒くれぼっち』も、一度に200体はきついだろう?」

しかし、カミーユは悪戯っぽく笑う。
散々、リオネルの超人的な戦いを見ているから、自信たっぷりである。

「ははは、論より証拠っす。ゴーチェ様も、『リオさんの戦いぶり』をご覧になればすぐに分かるっすよ」

「おうおう、強気だな。分かった、じっくり見させて貰うよ」

面白そうに笑うゴーチェ。
という事で、噂をすれば影という。

リオネルの索敵が敵を捉える。

「村の正門を出た時から感じていましたが……ゴブリンどもが農地に居ますね」

リオネルの言葉を聞き、村長達が驚く。

「ほ、本当ですか? 農地まではまだ300m以上ありますが」

「いえ、間違いありません。100体ほど居ます。『ここまで近付けば』はっきりと分かります……奴らは、農地を掘り返しているようですね」

300m以上の距離を『ここまで近付けば』と、リオネルはきっぱり言い切った。
ビルドアップしたリオネルの索敵は、対象の存在補足どころか、行動までが伝わるようになっていたのだ。

リオネルの言葉を聞き、助役達村民は悔しがる。

「農地を掘り返す? くっそお! せっかく丹精込めて育てたニンジンやイモが実ったのに!」

一方、驚いたのはゴーチェである。

「おいおい、リオネル君、何でそこまで分かるんだ!?」

すかさず!
カミーユが勝ち誇る。

「ゴーチェ様、驚くのはまだまだ早いっす! 『荒くれぼっち』の実力はこんなもんじゃないっすよ!」

「な、なにぃ!?」

そんなやりとりを見て、ミリアンが呆れる。

「もう! カミーユ! あんたが威張る事じゃないでしょ!」

ここで全員を引き締めるのが、モーリスの役目である。

「全員、戦闘態勢に入れ! ゴーチェ様、隊列を変えましょう。助役さん達を後方に!」

ベテラン冒険者らしい指示に、驚いていたゴーチェも気を引き締め、頷く。

「おお、分かった。助役さん達、俺たちの背後へ下がってくれ」

ここでリオネルが「はい!」と挙手。

「ここで俺の『戦友』を呼びます。灰色狼風の犬です」

「何? 戦友? 灰色狼風の犬?」

「ええ、まあ元は使い魔でして、だいぶ大きめの『犬』ですが、俺に忠実で人間には害を与えないので、ご安心ください」

そう!
リオネルは魔獣ケルベロスを召喚するつもりなのだ。

よし!

召喚サモン! ケルベロス、ノーマル形態だ。

体内魔力を高め、リオネルが心で念じれば、立つ少し先の地に輝く魔法陣が現れる。

そして、魔法陣の中から、
外見は体長2m体高1m以上の超大型なほぼ灰色狼風、
あくまでも『犬』の『ケル』こと『魔獣ケルベロス』が現れたのだ。

うおおおおおおんんん!!!

高らかに吠える魔獣ケルベロス。

「おおおっっ!!」

「「「「「ひえええっっ!!!!」」」」」

体長2m体高1m以上の超大型巨犬出現に驚くゴーチェ。
大いに怖がる助役達。

しかし、モーリス、ミリアン、カミーユは『ケルの正体』を既に知っている上、
あの顔が3つの『本体』ではないので、全く平気だ。

「おお、ケル、頼むぞ!」

「ケルちゃん、頼もし~!」
「ケルが居れば、更に楽勝っす!」

「さあ! 行きましょう。仕事の開始だ! ……ですねっ!」

リオネルは不敵に笑うと、ずいっと一歩を踏み出したのである。
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