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第147話「次の依頼を決めよう」
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ミリアンとカミーユが正式な冒険者ギルド所属冒険者となり、
無事にギルドからの公式な依頼、
すなわち『王立墓地管理人代行』の『デビュー戦』を終え……
討伐報奨金も受け取り、精神的なプレッシャーより解放された事から、
ギルドの各講義の受講に夢中となった事もあり……
リオネルもモーリスも、姉弟ふたりとともに、しばらくの間は依頼を受けず、
己の修行等の研鑽、つまり『インプット』に多くの時間を費やした。
リオネルは、次の依頼に向け、「焦る事はない」と考える。
自分は勿論、モーリスが少しでもビルドアップし、ミリアンとカミーユが実力をつけて来たら……徐々に依頼を受け、再び経験を積めば良いと思うのだ。
すなわち「急がば回れ」なのである。
リオネルは、一見灰色狼の魔獣ケルベロスの召喚を何度も行い、コミュニケーションを取り、信頼を深めながら……
数多習得した魔法、スキルの再確認と整理……
及び一般公開可能な魔法、スキル、技の訓練を重ね、熟練度を増して行った。
ちなみに『付呪魔法』は少しずつしか習得出来なかったが、リオネルは満足であった。
また王都支部での修行した時と同様に、ギルドの図書館へも足しげく通い、
魔法を始め、数多の知識を蓄えて行った。
自宅の庭における『4名全員参加』での破邪聖煌拳の修行も順調。
リオネルは本気を出さずとも、師モーリスと互角以上に戦えるようになった。
ゴブリンより強い魔物は主に魔法で倒しており、『格闘戦』の経験はないが、
オークレベルの魔物なら圧倒出来そうな予感はする。
その間、相変わらずワレバッドの街を探索し、新たな生活にも慣れて行く。
まめに買い物も行い、生活物資は勿論、魔導書を始め、個人的に必要なアイテム、
様々な資材も買いそろえ、予備も含めて備蓄して行く。
また郊外に出かけ、ひとけのない場所でたったひとりきり、『ぼっち』となり………
ケルベロスの本体を含めた3つの形態でも戦闘訓練を行い……
習得した、厳秘な魔法、スキル、体術――いわゆる奥義の訓練を行った。
チートスキル『見よう見まね』について、
『能力を見て真似る対象者が人間ではなかったり、種族が異なる場合は猶更である。ちなみに熟練度を増す、習得後の能力アップ訓練は可能であり、大いに推奨する』
とあった。
だが……
『見よう見まね』で習得した以外でも、リオネルは訓練により、『熟練度』を増すと同時に持てる『能力値』も伸ばして行った。
精神的にも落ち着き……
多彩な魔法、スキルを操り、人間離れした武術、体術を駆使するリオネルは、
完全に人間を超え、まさに『超人』と化していた。
いまだにレベルだけは『16』という、アンバランスさではあったが……
そんなこんなで、ミリアンとカミーユの公式デビュー戦から、約1か月が経過。
いろいろな事に目途が立ち、4人は『王立墓地管理人代行』に続く、依頼を受ける事とした。
そしてある日の晩、夕食後にお茶を飲みながら全員で……
エステルから貰った依頼書リストを前にし、打ち合わせに臨んだのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
各自にリストは配られ、全員が思い思いに目を通していた。
リストから目を上げ、カミーユが言う。
彼の眼差しはモーリスへ向けられていた。
「俺、師匠に感謝っす」
「何だ、カミーユ、今更」
「……俺、公式デビュー戦の話を聞いて驚いたっす。戸惑ったっす。そして疑問だったっす。何故いきなり、デビュー前の俺と姉さんが、不死者と戦わなきゃいけないのかと」
「ふむふむ」
「うじゃうじゃゾンビが群れをなす前に放り投げられて、心底師匠を恨んだっす。ぶち殺してやろうと思ったっす」
「おお、ぶち殺すか、それは穏やかではないなあ」
「とんでもないっす! 穏やかどころではなかったっす。生きるか死ぬか、ギリギリの究極状況だったっす」
「ははは、そうか」
「……でも」
「ふむ……」
「あの時、師匠が助けに来てくれて、身体を張って守ってくれた時は感動したっす。本当に嬉しかったっすよ」
「何を言う、当たり前だろう。お前ひとりを谷底へは投げん。一緒に落ちてやると言ったはずだ」
「ありがとうございまっす。それにおぞましいゾンビや怖ろしい亡霊を見たせいで、たいていの敵は何とか我慢出来るようになったっす」
「ははは、そうか、たいていの敵は何とか我慢出来るようになったか?」
「はいっす!」
「ではそのリストにはない裏メニュー、古城に潜むと噂される吸血鬼の始祖と約500体の配下たる吸血鬼軍団の討伐。完全討伐条件で金貨4,000枚ってのはどうだ?」
「げげげげ! そ、そ、それは想定外、たいていの範疇外っす! ノーサンキューっすう!」
「ははは、冗談だ。これはサンプルリストにあった架空の依頼だよ」
ここで、リオネルが「はい!」と挙手。
「いや、モーリスさん。それ架空ではなく、実在する依頼だって、エステルさんが言っていました」
「本当か! よし!」
「よし! じゃないっす! リオさんも余計な事言わないっすう! ……それと姉さん、さっきから何、黙っているっすかあ! このままだとヤバイ流れっすよぉ!」
「うふふ、カミーユ。あんたもシーフの端くれならば、冷静な分析力、判断力も必要よ。リオさんだけならいざ知らず、私達3人を巻き込んで、そんな依頼を受けるわけないじゃないの」
「あ、そっか! リオさんひとりっすか、じゃあ、納得っす」
「おいおい、カミーユ。俺だって今の実力じゃあ、ひとりでは受けられないよ」
リオネルのコメントを聞き、モーリスが苦笑。
「ははは、おいおい、リオ君。今の実力ならって、もっと力をつけて、いずれ受けるつもりかい? ケルベロスを召喚出来るからって、あまり無茶はやめてくれよ」
「はい、了解ですっ!」
「びしっ!」と、敬礼するリオネル。
これは本心。
さすがのリオネルも、無茶したり、3人を危険に巻き込むつもりはない。
……という事で、「けんけんがくがく」となったが……
4人は熟考の上、『あるひとつの依頼』を受諾する事に決めた。
その依頼受諾は、リオネルの『提案』が決め手となった。
モーリスは納得である。
「ふうむ、さすがリオ君、ナイスアイディアだ。単に魔物の討伐にとどまらず、難儀する人々を助ける事になる。その上、私達も更に報奨金が稼げるぞ」
「ええ、モーリスさん。但し、事前にエステルさんに頼んで依頼先に連絡して貰い、敵の規模、依頼先の被害状況を確認し、打診するのが賢明です」
「うむ! こちらの提案が折り合わず不要なら、討伐のみ、他の対応はナシだな?」
「はい、仕事ですから、依頼以外のサービス労働は基本ナシです。事前に依頼先から、実行OKの了解を貰いましょう」
「まあ、当然だな。エステル殿にはサブマスターとクローディーヌ殿とも情報を共有して頂き、魔法鳩便で、急ぎ依頼先とは交渉して貰おう」
そして、ミリアンとカミーユも。
「さっすが、リオさん。私達も頑張って、楽しく働くね♡」
「リオさんのアイディアなら、俺達の今後にも役立つし、より一層気合が入るっす! 頑張るっすよ!」
と、全員が前向きとなったのである。
無事にギルドからの公式な依頼、
すなわち『王立墓地管理人代行』の『デビュー戦』を終え……
討伐報奨金も受け取り、精神的なプレッシャーより解放された事から、
ギルドの各講義の受講に夢中となった事もあり……
リオネルもモーリスも、姉弟ふたりとともに、しばらくの間は依頼を受けず、
己の修行等の研鑽、つまり『インプット』に多くの時間を費やした。
リオネルは、次の依頼に向け、「焦る事はない」と考える。
自分は勿論、モーリスが少しでもビルドアップし、ミリアンとカミーユが実力をつけて来たら……徐々に依頼を受け、再び経験を積めば良いと思うのだ。
すなわち「急がば回れ」なのである。
リオネルは、一見灰色狼の魔獣ケルベロスの召喚を何度も行い、コミュニケーションを取り、信頼を深めながら……
数多習得した魔法、スキルの再確認と整理……
及び一般公開可能な魔法、スキル、技の訓練を重ね、熟練度を増して行った。
ちなみに『付呪魔法』は少しずつしか習得出来なかったが、リオネルは満足であった。
また王都支部での修行した時と同様に、ギルドの図書館へも足しげく通い、
魔法を始め、数多の知識を蓄えて行った。
自宅の庭における『4名全員参加』での破邪聖煌拳の修行も順調。
リオネルは本気を出さずとも、師モーリスと互角以上に戦えるようになった。
ゴブリンより強い魔物は主に魔法で倒しており、『格闘戦』の経験はないが、
オークレベルの魔物なら圧倒出来そうな予感はする。
その間、相変わらずワレバッドの街を探索し、新たな生活にも慣れて行く。
まめに買い物も行い、生活物資は勿論、魔導書を始め、個人的に必要なアイテム、
様々な資材も買いそろえ、予備も含めて備蓄して行く。
また郊外に出かけ、ひとけのない場所でたったひとりきり、『ぼっち』となり………
ケルベロスの本体を含めた3つの形態でも戦闘訓練を行い……
習得した、厳秘な魔法、スキル、体術――いわゆる奥義の訓練を行った。
チートスキル『見よう見まね』について、
『能力を見て真似る対象者が人間ではなかったり、種族が異なる場合は猶更である。ちなみに熟練度を増す、習得後の能力アップ訓練は可能であり、大いに推奨する』
とあった。
だが……
『見よう見まね』で習得した以外でも、リオネルは訓練により、『熟練度』を増すと同時に持てる『能力値』も伸ばして行った。
精神的にも落ち着き……
多彩な魔法、スキルを操り、人間離れした武術、体術を駆使するリオネルは、
完全に人間を超え、まさに『超人』と化していた。
いまだにレベルだけは『16』という、アンバランスさではあったが……
そんなこんなで、ミリアンとカミーユの公式デビュー戦から、約1か月が経過。
いろいろな事に目途が立ち、4人は『王立墓地管理人代行』に続く、依頼を受ける事とした。
そしてある日の晩、夕食後にお茶を飲みながら全員で……
エステルから貰った依頼書リストを前にし、打ち合わせに臨んだのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
各自にリストは配られ、全員が思い思いに目を通していた。
リストから目を上げ、カミーユが言う。
彼の眼差しはモーリスへ向けられていた。
「俺、師匠に感謝っす」
「何だ、カミーユ、今更」
「……俺、公式デビュー戦の話を聞いて驚いたっす。戸惑ったっす。そして疑問だったっす。何故いきなり、デビュー前の俺と姉さんが、不死者と戦わなきゃいけないのかと」
「ふむふむ」
「うじゃうじゃゾンビが群れをなす前に放り投げられて、心底師匠を恨んだっす。ぶち殺してやろうと思ったっす」
「おお、ぶち殺すか、それは穏やかではないなあ」
「とんでもないっす! 穏やかどころではなかったっす。生きるか死ぬか、ギリギリの究極状況だったっす」
「ははは、そうか」
「……でも」
「ふむ……」
「あの時、師匠が助けに来てくれて、身体を張って守ってくれた時は感動したっす。本当に嬉しかったっすよ」
「何を言う、当たり前だろう。お前ひとりを谷底へは投げん。一緒に落ちてやると言ったはずだ」
「ありがとうございまっす。それにおぞましいゾンビや怖ろしい亡霊を見たせいで、たいていの敵は何とか我慢出来るようになったっす」
「ははは、そうか、たいていの敵は何とか我慢出来るようになったか?」
「はいっす!」
「ではそのリストにはない裏メニュー、古城に潜むと噂される吸血鬼の始祖と約500体の配下たる吸血鬼軍団の討伐。完全討伐条件で金貨4,000枚ってのはどうだ?」
「げげげげ! そ、そ、それは想定外、たいていの範疇外っす! ノーサンキューっすう!」
「ははは、冗談だ。これはサンプルリストにあった架空の依頼だよ」
ここで、リオネルが「はい!」と挙手。
「いや、モーリスさん。それ架空ではなく、実在する依頼だって、エステルさんが言っていました」
「本当か! よし!」
「よし! じゃないっす! リオさんも余計な事言わないっすう! ……それと姉さん、さっきから何、黙っているっすかあ! このままだとヤバイ流れっすよぉ!」
「うふふ、カミーユ。あんたもシーフの端くれならば、冷静な分析力、判断力も必要よ。リオさんだけならいざ知らず、私達3人を巻き込んで、そんな依頼を受けるわけないじゃないの」
「あ、そっか! リオさんひとりっすか、じゃあ、納得っす」
「おいおい、カミーユ。俺だって今の実力じゃあ、ひとりでは受けられないよ」
リオネルのコメントを聞き、モーリスが苦笑。
「ははは、おいおい、リオ君。今の実力ならって、もっと力をつけて、いずれ受けるつもりかい? ケルベロスを召喚出来るからって、あまり無茶はやめてくれよ」
「はい、了解ですっ!」
「びしっ!」と、敬礼するリオネル。
これは本心。
さすがのリオネルも、無茶したり、3人を危険に巻き込むつもりはない。
……という事で、「けんけんがくがく」となったが……
4人は熟考の上、『あるひとつの依頼』を受諾する事に決めた。
その依頼受諾は、リオネルの『提案』が決め手となった。
モーリスは納得である。
「ふうむ、さすがリオ君、ナイスアイディアだ。単に魔物の討伐にとどまらず、難儀する人々を助ける事になる。その上、私達も更に報奨金が稼げるぞ」
「ええ、モーリスさん。但し、事前にエステルさんに頼んで依頼先に連絡して貰い、敵の規模、依頼先の被害状況を確認し、打診するのが賢明です」
「うむ! こちらの提案が折り合わず不要なら、討伐のみ、他の対応はナシだな?」
「はい、仕事ですから、依頼以外のサービス労働は基本ナシです。事前に依頼先から、実行OKの了解を貰いましょう」
「まあ、当然だな。エステル殿にはサブマスターとクローディーヌ殿とも情報を共有して頂き、魔法鳩便で、急ぎ依頼先とは交渉して貰おう」
そして、ミリアンとカミーユも。
「さっすが、リオさん。私達も頑張って、楽しく働くね♡」
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