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第90話「衝撃の言葉×2」
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どんな事があっても諦めない根気、揺らぐ事のない信念……
リオネルの心に宿り、奮い立たせる『不屈の魂』は……
最初から存在していなかったわけではない。
情けないくらい臆病で、優し過ぎる彼の心の奥底で、
密かに『封印』されていたものなのだ。
しかしこの『不屈の魂』が覚醒し、「本格化」したのは……
虐げられながらも保護されていた肉親、父と兄ふたりから、一方的に突き放されたのが、きっかけである。
それを機に、リオネルが勇気を出して「独り立ち」し、
更に『狼の能力』が加わってからなのである。
ニヒルに言うのなら、一旦狙った獲物を逃さない!
そんな根気と持久力……『狼の能力』が、ゴブリン追跡に遺憾なく発揮されていた。
リオネルは駆ける。
ゴブリンという獲物を追い、「ゆうゆう」と駆けていた。
身体強化魔法、回復の指輪、『馬の走行能力』を得てビルドアップしたリオネルは、最高時速約70㎞を誇る俊足だ。
現在の速度は時速30㎞前後、全然余力を残している。
敗走するゴブリンどもと、一定の距離をキープしつつ、相手に気付かれないよう
細心の注意を払いながら「ピタリ」と追走していたのだ。
ゴブリンどもは、逃げるのに精一杯、後方を追尾するリオネルに全く気付いていない。
やがて……ゴブリン達は、キャナール村から5㎞ほど離れた森の中、
ぽっかり空いた巣穴と思しき『洞窟』へ逃げ込む。
リオネルは、洞窟付近の木陰に身を隠し、ゴブリンどもが逃げ込んだのをしっかりと見届けた。
その場でしばし待ったが……ゴブリンどもが出て来ないと分かり、慎重に、そ~っと洞窟の入口へ近寄ってみる。
「し~~~~んんん」という擬音がぴったり。
ゴブリンどもが逃げ込んだ洞窟は静まり返っていた。
リオネルは魔力感知を最大限にし『索敵』を行う。
やはり奥に、数多の反応がある。
キャナール村村外の農地へ襲来したゴブリンより、とんでもなく多い反応だ。
さすが本拠地、この巣穴に先ほど襲来した約1,000体の倍、
『約2,000体』は……居るに違いない。
リオネルがそっと中を覗くと、真っ暗で岩がごつごつした空間が広がっている。
この洞窟もオークが潜んでいたアルエット村の洞窟と同じような雰囲気だった。
やはり、猫の夜目を使っても入り口から10mくらい先までしか見通せない。
しかしここで、もっと奥を探ろうと照明魔法『魔導光球』を使えば……
ゴブリンどもに、すぐ気付かれてしまう。
洞窟の中を見回して、しばし考えたリオネル……
入り口付近と周囲を1時間ほどいろいろと調べてもみた。
更に30分ほど考え、作戦が浮かんだ。
……ゴブリンどもが逃げ込んだ洞窟は相変わらず静まり返っている。
一旦戻って、報告と、立案した作戦を全員とすり合わせの上、すぐ出撃だ!
リオネルは微笑み大きく頷くと、踵を返した。
再びキャナール村へ帰還すべく、全速力で駆け出したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
お約束で、村への帰還は全速力!
リオネルは5㎞の距離を、4分余りで駆け抜けた。
自己最高の速度を更新したのかもしれない。
しかし息は切れておらず、体力も全然落ちていない。
キャナール村の正門前にに到着すると、大きく声を張り上げる。
怪我もなく無事である事、心配無用をアピールする為、ことさら明るく。
「リオネルで~す! ゴブリンどもの巣を突き止め、ただいま戻りましたあ!」
「お、おお! リオネルさん! 良くぞ! ご、ご無事で!」
物見台に陣取った、たくましい中年の門番は、リオネルを憶えていた。
出撃の際、彼は防衛の為、村に残った。
しかし農地から戻った自警団員達から『勝利の報告』が告げられたに違いない。
表情は喜びに満ち溢れている。
「おおいい!! リオネルさんが無事に帰還されたぞお!! すぐ門を開けろお!!」
ぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!!!
門番の叫びにふた呼吸ほど置き、正門が思い切り開かれた。
……正門の向こう側には、モーリス、ミリアン、カミーユ。
そして、パトリスと自警団員達が、そして一般村民達も待っていた。
否、「全員がリオネルの帰還を待ちわびていた!」と言って構わないだろう。
全員元気そうであり、モーリスとミリアンに託した負傷者の手当ても済んだらしい。
「皆さん! ゴブリンどもの巣を突き止め、ただいま戻りました!」
「「「「「おおおおおおっっっ!!!!」」」」」
「ここから5㎞ほど離れた洞窟です。周囲も探索し、その上で作戦も立案しました」
「「「「「おおおおおおっっっ!!!!」」」」」
農地における戦いが終了、リオネルがゴブリンどもの後を追い、飛び出してから、
約2時間弱が経っていた。
5㎞の往復、都合10㎞の距離を約2時間なら、平均で時速5㎞。
常人が徒歩で移動する普通の速度である。
もしも何か尋ねられたら、ゴブリンの後をつけ、洞窟を探し当て、
『現場』からすぐとんぼ返りしたと言えば、違和感はない。
実際の往復時間は、行きが10分、帰りが5分弱、
往復10㎞を、たった15分弱なのであるが。
しかし、次に発したリオネルの言葉は、全員を震撼させる事となる。
伝えるべき事実は、しっかりと伝えないと信頼を損なうからだ。
「ただ、残念なお知らせがあります。皆さん、良く聞いてください。ゴブリンの残党は、ざっと2,000体以上は居ます」
「「「「「!!!???」」」」」
まだ!?
2,000体以上も居る!?
ようやく1,000体を倒したのに!?
強烈な『衝撃』がキャナール村全体を襲った!
何とか絞り出すような声で、言葉を発したのはモーリスである。
「リ、リオ君!」
「はい!」
「2,000体以上って、マジ?」
「はい、マジです。俺が魔力感知で確かめたから、間違いありません……それで、モーリスさん」
「な、何だい?」
「ご相談の上ですが」
「相談の上? 何だい、リオ君」
「はい! この2,000体、俺、モーリスさん、ミリアン、カミーユの4人だけで討伐しますから」
「「「えええ~~~っっっ!!??」」」
またまた衝撃の発言がリオネルから発せられ……
その場の全員はとんでもなく驚愕していたのである。
リオネルの心に宿り、奮い立たせる『不屈の魂』は……
最初から存在していなかったわけではない。
情けないくらい臆病で、優し過ぎる彼の心の奥底で、
密かに『封印』されていたものなのだ。
しかしこの『不屈の魂』が覚醒し、「本格化」したのは……
虐げられながらも保護されていた肉親、父と兄ふたりから、一方的に突き放されたのが、きっかけである。
それを機に、リオネルが勇気を出して「独り立ち」し、
更に『狼の能力』が加わってからなのである。
ニヒルに言うのなら、一旦狙った獲物を逃さない!
そんな根気と持久力……『狼の能力』が、ゴブリン追跡に遺憾なく発揮されていた。
リオネルは駆ける。
ゴブリンという獲物を追い、「ゆうゆう」と駆けていた。
身体強化魔法、回復の指輪、『馬の走行能力』を得てビルドアップしたリオネルは、最高時速約70㎞を誇る俊足だ。
現在の速度は時速30㎞前後、全然余力を残している。
敗走するゴブリンどもと、一定の距離をキープしつつ、相手に気付かれないよう
細心の注意を払いながら「ピタリ」と追走していたのだ。
ゴブリンどもは、逃げるのに精一杯、後方を追尾するリオネルに全く気付いていない。
やがて……ゴブリン達は、キャナール村から5㎞ほど離れた森の中、
ぽっかり空いた巣穴と思しき『洞窟』へ逃げ込む。
リオネルは、洞窟付近の木陰に身を隠し、ゴブリンどもが逃げ込んだのをしっかりと見届けた。
その場でしばし待ったが……ゴブリンどもが出て来ないと分かり、慎重に、そ~っと洞窟の入口へ近寄ってみる。
「し~~~~んんん」という擬音がぴったり。
ゴブリンどもが逃げ込んだ洞窟は静まり返っていた。
リオネルは魔力感知を最大限にし『索敵』を行う。
やはり奥に、数多の反応がある。
キャナール村村外の農地へ襲来したゴブリンより、とんでもなく多い反応だ。
さすが本拠地、この巣穴に先ほど襲来した約1,000体の倍、
『約2,000体』は……居るに違いない。
リオネルがそっと中を覗くと、真っ暗で岩がごつごつした空間が広がっている。
この洞窟もオークが潜んでいたアルエット村の洞窟と同じような雰囲気だった。
やはり、猫の夜目を使っても入り口から10mくらい先までしか見通せない。
しかしここで、もっと奥を探ろうと照明魔法『魔導光球』を使えば……
ゴブリンどもに、すぐ気付かれてしまう。
洞窟の中を見回して、しばし考えたリオネル……
入り口付近と周囲を1時間ほどいろいろと調べてもみた。
更に30分ほど考え、作戦が浮かんだ。
……ゴブリンどもが逃げ込んだ洞窟は相変わらず静まり返っている。
一旦戻って、報告と、立案した作戦を全員とすり合わせの上、すぐ出撃だ!
リオネルは微笑み大きく頷くと、踵を返した。
再びキャナール村へ帰還すべく、全速力で駆け出したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
お約束で、村への帰還は全速力!
リオネルは5㎞の距離を、4分余りで駆け抜けた。
自己最高の速度を更新したのかもしれない。
しかし息は切れておらず、体力も全然落ちていない。
キャナール村の正門前にに到着すると、大きく声を張り上げる。
怪我もなく無事である事、心配無用をアピールする為、ことさら明るく。
「リオネルで~す! ゴブリンどもの巣を突き止め、ただいま戻りましたあ!」
「お、おお! リオネルさん! 良くぞ! ご、ご無事で!」
物見台に陣取った、たくましい中年の門番は、リオネルを憶えていた。
出撃の際、彼は防衛の為、村に残った。
しかし農地から戻った自警団員達から『勝利の報告』が告げられたに違いない。
表情は喜びに満ち溢れている。
「おおいい!! リオネルさんが無事に帰還されたぞお!! すぐ門を開けろお!!」
ぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!!!
門番の叫びにふた呼吸ほど置き、正門が思い切り開かれた。
……正門の向こう側には、モーリス、ミリアン、カミーユ。
そして、パトリスと自警団員達が、そして一般村民達も待っていた。
否、「全員がリオネルの帰還を待ちわびていた!」と言って構わないだろう。
全員元気そうであり、モーリスとミリアンに託した負傷者の手当ても済んだらしい。
「皆さん! ゴブリンどもの巣を突き止め、ただいま戻りました!」
「「「「「おおおおおおっっっ!!!!」」」」」
「ここから5㎞ほど離れた洞窟です。周囲も探索し、その上で作戦も立案しました」
「「「「「おおおおおおっっっ!!!!」」」」」
農地における戦いが終了、リオネルがゴブリンどもの後を追い、飛び出してから、
約2時間弱が経っていた。
5㎞の往復、都合10㎞の距離を約2時間なら、平均で時速5㎞。
常人が徒歩で移動する普通の速度である。
もしも何か尋ねられたら、ゴブリンの後をつけ、洞窟を探し当て、
『現場』からすぐとんぼ返りしたと言えば、違和感はない。
実際の往復時間は、行きが10分、帰りが5分弱、
往復10㎞を、たった15分弱なのであるが。
しかし、次に発したリオネルの言葉は、全員を震撼させる事となる。
伝えるべき事実は、しっかりと伝えないと信頼を損なうからだ。
「ただ、残念なお知らせがあります。皆さん、良く聞いてください。ゴブリンの残党は、ざっと2,000体以上は居ます」
「「「「「!!!???」」」」」
まだ!?
2,000体以上も居る!?
ようやく1,000体を倒したのに!?
強烈な『衝撃』がキャナール村全体を襲った!
何とか絞り出すような声で、言葉を発したのはモーリスである。
「リ、リオ君!」
「はい!」
「2,000体以上って、マジ?」
「はい、マジです。俺が魔力感知で確かめたから、間違いありません……それで、モーリスさん」
「な、何だい?」
「ご相談の上ですが」
「相談の上? 何だい、リオ君」
「はい! この2,000体、俺、モーリスさん、ミリアン、カミーユの4人だけで討伐しますから」
「「「えええ~~~っっっ!!??」」」
またまた衝撃の発言がリオネルから発せられ……
その場の全員はとんでもなく驚愕していたのである。
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