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第24話「父の超大失敗」
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『レベル5』の超劣等生だったリオネル・ロートレックこと、
リオネル・ディドロが、『レベル10』となり……
習得したスキルも屑ではなく、特異スキルの『フリーズ』だった衝撃の事実。
更に超レアなチートスキル『エヴォリューシオ』『見よう見まね』を習得した奇跡が起こり、特異スキル『フリーズ』を更に有用な『フリーズハイ』へと進化もさせた。
更にこの『見よう見まね』で様々な動物の能力を習得した上、
冒険者ギルドの各講座で、地道にじっくりと学びながら、研鑽を積み……
ゴブリンとの実戦経験により身体能力、魔法能力を驚異的にビルドアップ。
冒険者ランクも『D』を目指そうと、大器の片りんを見せ始めた頃……
リオネルの父宮廷魔法使いのジスランは……
王宮の宰相執務室で、国王の実弟であり、宰相のフェリクスと話している。
「ジスランよ」
「はい! フェリクス閣下! 何でしょう?」
「私は改めて思うぞ。我がソヴァール王国を支えるのは金と人、そして有用な鮮度の良き情報だと」
「は! フェリクス閣下のおっしゃる通りです」
「現状、王国の経済は上手く行っている」
「は! 国王陛下と閣下の執り行う、素晴らしき政務のお陰だと、ジスランは認識しております!」
べたな誉め言葉ではあるが、主と家臣とはそういうものだ。
家臣が褒めれば、主も心得たものである。
「ふむ、そして人材に関して、我が王国は大きな優位性がある。特にそなたを含め、魔法使いは優れた人材が多い」
「そんな! お褒めにあずかり光栄でございます」
「ふむ、ジスラン、そなたの息子達も、とても優秀だな」
フェリクスに褒められたジスランは、ここぞとばかりにディドロ家の優秀さを強調する。
「は! たびたびのお褒めにあずかり、光栄の極みでございます! ふたりの息子はまだまだ私に力は及ばずでございますが、長男ケヴィンは魔法省で王国の為に懸命に働き、次男セルジュも魔法大学を首席で卒業致しまして、これまた今春、魔法省へ入省致します。私を含めて、親子3人、故国ソヴァール王国の為に尽くす事が出来て、ディドロ家は万々歳でございます!」
「ふむ、それは喜ばしい。だがジスラン」
「は!」
「確か、そなたには3人の息子が居たはずだ。末の子はどうした? 一番の母親似で、生まれた時、そなたは相当素質を見込んでいたはずだ」
フェリクスは、リオネルの事を認識していた。
上席の問いに対し、ジスランは苦笑し、首を横へ振った。
「それが大きな見込み違いを致しまして!」
「大きな見込み違い?」
「はい! 3男リオネルは我がディドロの血が上手く伝わらなかったハンパ者でございます」
「何、そなたの3男がハンパ者だと?」
「はい! 確かに奴は魔力こそ、まずまず高うございます。ですがレベルが中々、上がらず、スキルも含め突出するものが何もございません。よって、修行が全然足りんと、旅へ出しました」
「何? 修行の旅へ? 他国へか?」
「はい! 我がソヴァール王国騎士の武者修行と同じでございます。まずは王都を出て王国内へとどまらず、広く世界を見て来いと命じました。まあ、あまり期待はしておりませんが」
「ふうむうう……」
ジスランから、リオネル修行……
否!
実は、散々罵倒した挙句の、非情な勘当且つ追放なのだが……
それを聞いたフェリクスは唸り、深い懸念の表情を見せた。
「リオネルの修行が、どうか致しましたか、閣下」
「いや、何となく嫌な予感がした」
「嫌な予感? と申しますと?」
「うむ! もしそなたの3男が名を上げ、他国の王家へ迎え入れられたり、国外で、仕官などしたらと思ってな」
「はあ? いやいやいや! 絶対にありえません!」
「むうう……だが、もしもそうなったら、我が王国にとって、有能な魔法使いの流失であり、大きな損失となる。確実に国益を損なうぞ!」
「ははははは、いえいえ! リオネルは閣下がご心配されるような器ではございませぬ。もしも他国が欲しがるのなら、くれてやれば良いと思っております」
「他国へくれてやれば良い、か。おいおい……ジスラン、本当に大丈夫だな?」
「何がでしょう、閣下」
「もしもそんな事があれば大きな責任問題となるぞ。私の勘はよく当たるのだよ」
「ははははは! 絶対に絶対に大丈夫です。リオネルは、私やふたりの息子に到底及ばない凡愚、小者でございます。閣下のご心配は杞憂に終わる事でしょう」
さすがに王弟の前ではリオネルを『屑』とは言えず、小者と言い……
その後、いくつか会話を交わしてから、ジスランは王宮を辞去した。
王宮を出たジスランの足取りが重くなる。
少しだけ、心配となったのだ。
念の為、リオネルの行方、現状を確認だけしようと考えていた。
フェリクスがあれだけ言うから、ジスランも気にはなったのである。
冒険者のいで立ちをさせ、家を放り出したから、リオネルは絶対冒険者になったはずとの確信があった。
帰宅後、使用人に命じて、冒険者ギルドへ聞き込みをやらせたのである。
……その結果、リオネルは予想通り、ランクEの冒険者となっていた。
聞けば、まだ王都に居り、近郊で日々スライムやゴブリンを倒しているという様子であった。
「はああ、リオネルの奴め! 相変わらず本当の屑で大バカだ! 雑魚のスライムやゴブリンを倒していい気になっているとは! 全く修行になっとらんではないか! はっ! ディドロ家の戸籍から外しておいて本当に良かったわい!」
ジスランはひどく呆れ果てた。
もう二度とかかわらないと思い、リオネルの事を完全に無視、放置すると決めた。
……ここで、綿密なリオネルの調査を行わなかったのは……
また追跡調査を行わなかったのは、ジスラン一生の不覚!
取り返しがつかない超の付く大失敗であった。
後に、ジスランは「しまったあ!!!」と激しく激しく、後悔する事となる……
そう!
超劣等生、屑、汚物と散々蔑まれた大器晩成型のリオネルは……
これから更に大きな覚醒を迎える事となるのである。
リオネル・ディドロが、『レベル10』となり……
習得したスキルも屑ではなく、特異スキルの『フリーズ』だった衝撃の事実。
更に超レアなチートスキル『エヴォリューシオ』『見よう見まね』を習得した奇跡が起こり、特異スキル『フリーズ』を更に有用な『フリーズハイ』へと進化もさせた。
更にこの『見よう見まね』で様々な動物の能力を習得した上、
冒険者ギルドの各講座で、地道にじっくりと学びながら、研鑽を積み……
ゴブリンとの実戦経験により身体能力、魔法能力を驚異的にビルドアップ。
冒険者ランクも『D』を目指そうと、大器の片りんを見せ始めた頃……
リオネルの父宮廷魔法使いのジスランは……
王宮の宰相執務室で、国王の実弟であり、宰相のフェリクスと話している。
「ジスランよ」
「はい! フェリクス閣下! 何でしょう?」
「私は改めて思うぞ。我がソヴァール王国を支えるのは金と人、そして有用な鮮度の良き情報だと」
「は! フェリクス閣下のおっしゃる通りです」
「現状、王国の経済は上手く行っている」
「は! 国王陛下と閣下の執り行う、素晴らしき政務のお陰だと、ジスランは認識しております!」
べたな誉め言葉ではあるが、主と家臣とはそういうものだ。
家臣が褒めれば、主も心得たものである。
「ふむ、そして人材に関して、我が王国は大きな優位性がある。特にそなたを含め、魔法使いは優れた人材が多い」
「そんな! お褒めにあずかり光栄でございます」
「ふむ、ジスラン、そなたの息子達も、とても優秀だな」
フェリクスに褒められたジスランは、ここぞとばかりにディドロ家の優秀さを強調する。
「は! たびたびのお褒めにあずかり、光栄の極みでございます! ふたりの息子はまだまだ私に力は及ばずでございますが、長男ケヴィンは魔法省で王国の為に懸命に働き、次男セルジュも魔法大学を首席で卒業致しまして、これまた今春、魔法省へ入省致します。私を含めて、親子3人、故国ソヴァール王国の為に尽くす事が出来て、ディドロ家は万々歳でございます!」
「ふむ、それは喜ばしい。だがジスラン」
「は!」
「確か、そなたには3人の息子が居たはずだ。末の子はどうした? 一番の母親似で、生まれた時、そなたは相当素質を見込んでいたはずだ」
フェリクスは、リオネルの事を認識していた。
上席の問いに対し、ジスランは苦笑し、首を横へ振った。
「それが大きな見込み違いを致しまして!」
「大きな見込み違い?」
「はい! 3男リオネルは我がディドロの血が上手く伝わらなかったハンパ者でございます」
「何、そなたの3男がハンパ者だと?」
「はい! 確かに奴は魔力こそ、まずまず高うございます。ですがレベルが中々、上がらず、スキルも含め突出するものが何もございません。よって、修行が全然足りんと、旅へ出しました」
「何? 修行の旅へ? 他国へか?」
「はい! 我がソヴァール王国騎士の武者修行と同じでございます。まずは王都を出て王国内へとどまらず、広く世界を見て来いと命じました。まあ、あまり期待はしておりませんが」
「ふうむうう……」
ジスランから、リオネル修行……
否!
実は、散々罵倒した挙句の、非情な勘当且つ追放なのだが……
それを聞いたフェリクスは唸り、深い懸念の表情を見せた。
「リオネルの修行が、どうか致しましたか、閣下」
「いや、何となく嫌な予感がした」
「嫌な予感? と申しますと?」
「うむ! もしそなたの3男が名を上げ、他国の王家へ迎え入れられたり、国外で、仕官などしたらと思ってな」
「はあ? いやいやいや! 絶対にありえません!」
「むうう……だが、もしもそうなったら、我が王国にとって、有能な魔法使いの流失であり、大きな損失となる。確実に国益を損なうぞ!」
「ははははは、いえいえ! リオネルは閣下がご心配されるような器ではございませぬ。もしも他国が欲しがるのなら、くれてやれば良いと思っております」
「他国へくれてやれば良い、か。おいおい……ジスラン、本当に大丈夫だな?」
「何がでしょう、閣下」
「もしもそんな事があれば大きな責任問題となるぞ。私の勘はよく当たるのだよ」
「ははははは! 絶対に絶対に大丈夫です。リオネルは、私やふたりの息子に到底及ばない凡愚、小者でございます。閣下のご心配は杞憂に終わる事でしょう」
さすがに王弟の前ではリオネルを『屑』とは言えず、小者と言い……
その後、いくつか会話を交わしてから、ジスランは王宮を辞去した。
王宮を出たジスランの足取りが重くなる。
少しだけ、心配となったのだ。
念の為、リオネルの行方、現状を確認だけしようと考えていた。
フェリクスがあれだけ言うから、ジスランも気にはなったのである。
冒険者のいで立ちをさせ、家を放り出したから、リオネルは絶対冒険者になったはずとの確信があった。
帰宅後、使用人に命じて、冒険者ギルドへ聞き込みをやらせたのである。
……その結果、リオネルは予想通り、ランクEの冒険者となっていた。
聞けば、まだ王都に居り、近郊で日々スライムやゴブリンを倒しているという様子であった。
「はああ、リオネルの奴め! 相変わらず本当の屑で大バカだ! 雑魚のスライムやゴブリンを倒していい気になっているとは! 全く修行になっとらんではないか! はっ! ディドロ家の戸籍から外しておいて本当に良かったわい!」
ジスランはひどく呆れ果てた。
もう二度とかかわらないと思い、リオネルの事を完全に無視、放置すると決めた。
……ここで、綿密なリオネルの調査を行わなかったのは……
また追跡調査を行わなかったのは、ジスラン一生の不覚!
取り返しがつかない超の付く大失敗であった。
後に、ジスランは「しまったあ!!!」と激しく激しく、後悔する事となる……
そう!
超劣等生、屑、汚物と散々蔑まれた大器晩成型のリオネルは……
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