召喚された少年は公爵様に愛される

26話 ノアの休日

あの日からライアンは素っ気なくなってしまった。今日は公爵邸のお仕事はお休みでライアンも久しぶりの泊まりがけの出張に行っていた。今日帰る予定だが遅くなると言われたの何もですることがない。
ライアンから休日は護衛をつけろとしつこく言われ、今までも護衛は付いていたが精霊と会ってからは気を付けろとよく言われるようになっていた。護衛が付く事に対してはもう慣れてしまったが、
最近は素っ気なくて一緒に寝る時もキスすらしてくれなくなった癖に心配だけはしつこくするので乃亜はちょっとだけ機嫌が悪かった。毎回護衛をしてくれるギルバートとは仲の良い友達という関係になっていたのでライアンが酷いという話をしていた。

「ギル～おかしいと思わない？冷たい癖に心配だけはするんだから...僕がやっぱり役立たずだから」

「ノアは考えすぎだ、きっとライアン様は領地を見回ってて忙しいんだろ。マーフィー公爵領の南方にあるフルアズが凶作で大変だというのは聞いたよ」

凶作.....凶作.....僕の精霊さん達でどうにか改善とかできるかな？アテナに聞いてみよう！地の精霊だからどうにかなるんじゃないかな。そしたらライアン様も喜んでくれるはずで...それでまた元気になってくれるよね。今日の夜、ライアン様が帰ってくる前にルシアに聞いてみよう！
そう決心する乃亜だった。ライアンとヴェルナー以外には精霊の話をしていないので乃亜はうっかり他の人に話してしまわないよう気をつけている。

「そうなんだ.....じゃあ僕にも何かできるかも」

「へ？？」

「よし！今日は勉強しよっかな～ギル教えてよ？」　

「えぇ？？」

急に元気になった乃亜に驚くギルバートを引っ張り、部屋に戻るのだった。


その夜ライアンの寝室にて...

ルシアを呼び出しライアンを助ける為、フルアズ地方の凶作をどうにか改善できないかついて聞いていた。

「ねぇルシア、地の精霊って土地を豊かにするとか出来るの？」

「もちろんです！地の精霊ですからね！」

アテナはえっへんと誇らしげに言う。

「フルアズっていう所が凶作らしくてそこを助けてあげたいの」

フルアズといえば国の中でも比較的大きい穀倉地帯であった。乃亜は穀倉地帯のことも精霊術の代償のことも知らない為それを説明しなければとアテナは思っていた。

「ノア様、私たち精霊の能力を使うということはタダではできないのです。つまり代償が必要になります。小さな事でしたら代償は必要ないのですが..例えばお庭の花を咲かすとかですね。フルアズはとても大きな穀倉地帯ですよ。いくらノア様でもそれは....」

「代償ってなに？」

心配するアテナに対して

「ノア様...」

「だから代償ってなに？」

ライアン様の為ならとやる気満々のようで少し強めに言われ、いつも温厚な乃亜からは考えられないことだったためアテナは言わざる負えなかった。