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23話 お茶の誘い①

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三日前のこと、ライアンは王宮に用があり王都ヴィステラを訪れていた。マーフィー公爵邸と王都は近い方なので来るのにたいした時間が掛からないのは便利だ。移動をするだけで時間を無駄にするの好きではない。特にノアが来てからは出来る限り遠出や泊まりがけでの仕事を減らすようにしている。今回はなんの無駄話で呼び出したのやらと考えていると前方から歩いてきた貴族の令嬢とおもわしき人物に挨拶をされた。

「マーフィー公爵閣下ご機嫌麗しゅう存じます。ミラー伯爵の娘、メアリーでございます。」

「ミラー伯爵令嬢何か用かな」

ああ、いつかのパーティーでゼイフライド侯爵に勧められて一緒に踊ったことを思い出した。随分雰囲気が変わったような...前に会ったときは明るいフリルが沢山ついたドレスを着ていたからか。今日着ているドレスは落ち着いた色をしてフリルは最低限しかなかった。ドレスの趣味がこんなにも変わることがあるのだろうか。令嬢たちと交流がないライアンには分からなかった。
心境の変化でもあったのかと疑問に思うだけで特にこの令嬢に興味を持った訳ではなかった。

「お話があるのです。」

「何の話だ。つまらん世間話なのであれば..」

「いいえ、違いますわ。マーフィー公爵が大変気に入っていらっしゃるノアという使用人の話ですわ。」

ライアンはメアリーの顔を見てその話が本気なのだと悟った。
ノア、ノアの話だとヴェルナーにしか知らないはずだ。黒目黒髪は地の精霊とやらが体調が良くなったとき再び隠しておいたと言っていた。
ノアの話を持ち出された衝撃で言葉が出なくなった。思考がぐるぐる回っている。

「どうされましたの?」

メアリーにそう声をかけられ思考を無理矢理止めた。動揺しているのがバレてしまった。

「話をしよう。会議の時間が迫ってきているのですまないが今は無理だ。会議は恐らく2時間、いや3時間かもしれない。重要な議案ではあるが早めに終わらすよう努力しよう。今日中に話をしたい。」

「では、3時間後に王都のホワイトアゼフでお会いしましょう。」

メアリーは優雅に立ち去った。
ノアは大丈夫だろうかと心配になる。
会議の時間に余裕を持って来たはずがもうすぐ始まることに気づいた。ライアンはノアに危険が及ばないか心配する気持ちを押し殺し、急いでその場所へ行くのだった。
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