上 下
4 / 16
第1章

4話

しおりを挟む
新しい世界!龍神様に貰った治癒魔法もあるしちょっとやそっとで死ぬことはない。さぁ、新しい冒険の始まりだ!

光に包まれた後、目を開けると森の中にいた。そして目の前には血塗れの男が横たわっていた。

「ぎゃーーーー」

ち、ちち血塗れの.......死んでるの?
テオはその男に近寄り息をしているか確認する。
いや、まだ息がある。そうだ治癒魔法を使おう。でもどうやって使えばいいんだろ。龍神様から貰った力だからいつも龍神様に願うようにやってみたら出来るかな。
地面に膝をつき、手を組んで祈りのポーズをとる。そして目を瞑りながら願った。

「龍神様お願いです。この男の人を助けてあげてください。」

男から暖かい光が溢れ出した。治癒魔法が上手くいったようだ。怪我が治った男は起き上がり先程自分が怪我をしていたところを何度も見ている。

「あれ?俺は死んだんじゃ」

男はテオの存在に気づいたようで、テオの方向を向き頬を赤らめた。

「大丈夫ですか?まだ痛むところとかありませんか?」

「..........君は、君は俺の天使だ。」

「へ??」

何を言っているんだろうこの人は....
そう思っているとその男はテオに抱きつき、なんとキスをしてきた。

「んっー...な、なにするんですか!」

「君があまりにも可愛らしくて」

僕のファーストキスが......見ず知らずの人にあっさりと奪われてしまった。可愛いなんてことも初めて言われた。きっと女垂らしだこの人は、僕にそんなことを言っても何も出ません!

「助けてくれたんだろ?パーティーで魔物を狩りにきて、仲間を庇って致命傷を受けてたんだよ。仲間を逃がして、俺は死ぬと思ってた。そんな時に君が現れたんだ。天使以外に何があるんだ!」

「....えっと、僕は天使じゃなくてテオっていいます。」

「テオか...いい響きだ。俺はクロードだ。よろしくな」
 
名前にいい響きなんてものがあるのか?そんなことを言われるとちょっと恥ずかしくなってしまう。
よく見るとクロードさんは、かなりの美丈夫だった。綺麗なアーモンド型の碧眼にザ金髪の王子様という風貌で体型もひょろっとしている訳もなくしっかりしている。

「クロードさんですね!よろしくお願いします。ところで、ここはどこでしょうか?」

「分からないのか?」

「はい、お恥ずかしながら....」

クロードは驚いた。ここは、魔物がよく出る森で何も知らずに入って来れる場所ではなかった。

「ここはラミナ王国の北部だ。魔物がよく出る地域で冒険者が多いな。よかったら俺がこの地域を紹介しよう!テオは治癒魔法が使えるのか?そうなら是非とも俺のパーティーに入って欲しい。」

魔物がよく出ると聞いてテオは鳥肌がたった。なんてところに転移させてきたんだ龍神様は!ここに転移してクロードさんを助け、地域を紹介してくれると言ってくれたのは龍神様の配慮だろうか。キスまで読んでいたのなら殴りたい。
それとパーティーというのも気になる。クロードさんは魔物をパーティで狩に来たと言っていた。魔物を狩るチームのことだろうか。そんなチームに誘われても治癒魔法はまだちゃんと使えるか分からない。戦闘能力もないため、足手纏いになる未来しか見えない....

「紹介していただけるとありがたいですがパーティーに関しては僕では足手纏いになるかと...治癒魔法も完全ではないですし、」

「ここでは治癒魔法を使えること自体貴重なんだ。ここで考えるのもなんだからとりあえず来てくれ、それから考えよう。」

魔物の森を抜け、町に行くことになった。道中いくつもの見たことのない醜悪な魔物が襲ってきた。
こちらに向かって走ってくる魔物が怖すぎるあまり声を上げてしまい「静かにしろ魔物が寄ってくるだろ!」とクロードさんにこっぴどく怒られてしまった。襲ってくる魔物を平然とした顔で次々と倒していく様子を見る限り冒険者の中でもかなり強いのでは?と思ったのだった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

もう一度、貴方に出会えたなら。今度こそ、共に生きてもらえませんか。

天海みつき
BL
 何気なく母が買ってきた、安物のペットボトルの紅茶。何故か湧き上がる嫌悪感に疑問を持ちつつもグラスに注がれる琥珀色の液体を眺め、安っぽい香りに違和感を覚えて、それでも抑えきれない好奇心に負けて口に含んで人工的な甘みを感じた瞬間。大量に流れ込んできた、人ひとり分の短くも壮絶な人生の記憶に押しつぶされて意識を失うなんて、思いもしなかった――。  自作「貴方の事を心から愛していました。ありがとう。」のIFストーリー、もしも二人が生まれ変わったらという設定。平和になった世界で、戸惑う僕と、それでも僕を求める彼の出会いから手を取り合うまでの穏やかなお話。

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中

risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。 任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。 快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。 アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——? 24000字程度の短編です。 ※BL(ボーイズラブ)作品です。 この作品は小説家になろうさんでも公開します。

主人公の兄になったなんて知らない

さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を レインは知らない自分が神に愛されている事を 表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346

雪狐 氷の王子は番の黒豹騎士に溺愛される

Noah
BL
【祝・書籍化!!!】令和3年5月11日(木) 読者の皆様のおかげです。ありがとうございます!! 黒猫を庇って派手に死んだら、白いふわもこに転生していた。 死を望むほど過酷な奴隷からスタートの異世界生活。 闇オークションで競り落とされてから獣人の国の王族の養子に。 そこから都合良く幸せになれるはずも無く、様々な問題がショタ(のちに美青年)に降り注ぐ。 BLよりもファンタジー色の方が濃くなってしまいましたが、最後に何とかBLできました(?)… 連載は令和2年12月13日(日)に完結致しました。 拙い部分の目立つ作品ですが、楽しんで頂けたなら幸いです。 Noah

悪役令息になりたいのに!〜だけど周りが放っておいてくれない〜

翠 月華
BL
 主人公の癒夜は自分の意思を上手く伝えられず、いつも周りに誤解され苦難の毎日。  そんなある日、転生した癒夜。  小さいころから自分の意思をしっかり、はっきり主張できる悪役に憧れていた癒夜は悪役令息になることにした。  しかし、その世界には男しかいなくて?華という特別な第二の性別があって、しかも「ニア」で?  そもそも前世の記憶が消えていくから悪役がどんなのかも分からないから、なりたくともなれない。  そんな癒夜の未来は…! ※ニア   →子供を生める  スア   →能力が優秀、完璧    ランクあり

運命を変えるために良い子を目指したら、ハイスペ従者に溺愛されました

十夜 篁
BL
 初めて会った家族や使用人に『バケモノ』として扱われ、傷ついたユーリ(5歳)は、階段から落ちたことがきっかけで神様に出会った。 そして、神様から教えてもらった未来はとんでもないものだった…。 「えぇ!僕、16歳で死んじゃうの!? しかも、死ぬまでずっと1人ぼっちだなんて…」 ユーリは神様からもらったチートスキルを活かして未来を変えることを決意! 「いい子になってみんなに愛してもらえるように頑張ります!」  まずユーリは、1番近くにいてくれる従者のアルバートと仲良くなろうとするが…? 「ユーリ様を害する者は、すべて私が排除しましょう」 「うぇ!?は、排除はしなくていいよ!!」 健気に頑張るご主人様に、ハイスペ従者の溺愛が急成長中!? そんなユーリの周りにはいつの間にか人が集まり…。 《これは、1人ぼっちになった少年が、温かい居場所を見つけ、運命を変えるまでの物語》

大好きなBLゲームの世界に転生したので、最推しの隣に居座り続けます。 〜名も無き君への献身〜

7ズ
BL
 異世界BLゲーム『救済のマリアージュ』。通称:Qマリには、普通のBLゲームには無い闇堕ちルートと言うものが存在していた。  攻略対象の為に手を汚す事さえ厭わない主人公闇堕ちルートは、闇の腐女子の心を掴み、大ヒットした。  そして、そのゲームにハートを打ち抜かれた光の腐女子の中にも闇堕ちルートに最推しを持つ者が居た。  しかし、大規模なファンコミュニティであっても彼女の推しについて好意的に話す者は居ない。  彼女の推しは、攻略対象の養父。ろくでなしで飲んだくれ。表ルートでは事故で命を落とし、闇堕ちルートで主人公によって殺されてしまう。  どのルートでも死の運命が確約されている名も無きキャラクターへ異常な執着と愛情をたった一人で注いでいる孤独な彼女。  ある日、眠りから目覚めたら、彼女はQマリの世界へ幼い少年の姿で転生してしまった。  異常な執着と愛情を現実へと持ち出した彼女は、最推しである養父の設定に秘められた真実を知る事となった。  果たして彼女は、死の運命から彼を救い出す事が出来るのか──? ーーーーーーーーーーーー 狂気的なまでに一途な男(in腐女子)×名無しの訳あり飲兵衛  

処理中です...