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3話

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意識が戻り目を開けた。
ここは、ここはどこ?天国、なのか?
テオは戸惑った。
なぜかって?あたりを見渡しても全て真っ白の世界だからだ。
少し歩いてみようと真っ直ぐ歩き出した。歩いているはずなのだが進んでいる気がしない。そのまま進み続けていると小さな池のようなものが見えてきた。
池がある!と思い全力で走ったが意外に遠い。かなりの距離走ったと思う、着いた頃には息も切れ切れだった。
こんなに走ったらまた体調が.......あ、もう僕は死んでるから元気か?なんて笑えない冗談を心の中で言う。

「よく来たな我が子よ」

「えっ」

声が聞こえた。それも池の方からだ。
わわわわわ....普通に怖い....我が子?我が子ってどういうこと?

「もっとこっちに寄って顔を見せてくれ」

恐る恐る池の方に近寄っていき水面を覗くと..

「ああ、君が愛しい我が子か。」

水面には長く艶やかなブロンドヘアを一つに束ねている男性、なのだろうが男性と呼ぶには余りにも美しすぎる人が映っていた。
イ、イケメンだ....眩しい...それより我が子ってまさか僕のこと?

「混乱するのも仕方あるまい。すまんが私は水を媒介にしないと姿を見せれない。」

「あ、あのっ僕はテオっていいます。あなたは....」

あああああ、勢いに任せて自己紹介しちゃったよ。我が子とか言ってるから僕のこと知ってたらどうしよう、恥ずかしい...

「ははは、我はかの龍神ガザレスだ。お前が我の滝に飛び込んできたのと祈りが聞こえてくることを踏まえ貴様は生贄になり、ここに飛び込んできたということかな。」


「りゅ、りゅりゅうじんさま...なのですか.....あの、龍神様が、え、なんで僕が...」

龍神ガザレスは全てお見通しのようだ。
どうしてそこまで知っているのだろう。

「まぁそう驚くでない。久しぶりに人間と話したのだもう少し話でもしようではないか。」

「えっと.....」

話って何すればいいの?!

「ふむふむ、貴様は災難な人生を送ってきたようだな。生贄など無駄なことをだが貴様にとってはいいことかもしれんな。」

「無駄なこと?」

生贄が無駄?いいこと?
龍神ガザレスはテオのこれまでを知ったような口ぶりで話した。

「ああ、我が守れるのは信仰が深い者だ。ゆえに疫病の原因は村全体の信仰心の薄れにある。」

「じゃあ僕が死んだのは無駄だったって事ですか?それで僕にとっていいってどういう」

「我は慈悲深いのでな、貴様にもう一度生きる機会を与えよう。」

生きる機会?このまま新しい世界で生きたところで身体の弱い僕に何が出来るのかまた同じ繰り返しなのではと思ってしまう。

「貴様の考えてることくらい分かるぞ、身体の弱い僕なんかが新しい世界に行ったところでまた同じだって、思っとるだろう?」

心を読まれるってなんか恥ずかしい....

「そこは安心せい、我がどうにかする」

「どうにかとは」

「楽しみにしておけ!後もう一つその世界で役に立つだろう治癒魔法を使えるようにしておいた。これは我の気まぐれだ。」

なんて、自由な神様なのだろうか、
でも、与えられたチャンスだ。龍神様がどうにかしてくれるんだよね!

「僕、行ってみます!こんな終わりかたじゃ死ぬに死にきれません。」

「ああ、では行きなさい。」

龍神ガザレスは初めてテオにニコッと笑顔を見せた。


当たりは光に包まれていった。
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