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「なんでしょうか父上」
「住民の会議の結果お前が龍神様に捧げる生贄になってもらうことが決定した。日は明日の早朝だ。」
えっ?............幻聴かな、い生贄って.....僕、アシタシヌノ?
平然とした様子で生贄になる事を伝えるためまったく理解が追いつかない。あまりにも唐突なことでその場に崩れる。
「ち、ち父上.....それは.....」
「病弱なお前がこの疫病を乗り越えられるとは思えん。それに歳が10から16の間という生贄の条件にも当てはまる。残念だが会議で決まったことだ変えることはできん。」
家族は当然だと言わんばかりの雰囲気で誰も悲しんでいる様子ではなかった。涙目になりながら必死に泣くのを堪える。
「そんな...そんなこと....」
「龍神様の生贄は名誉あることだ。」
「だから今日は好きな食べ物をなんでも用意すると村長がおっしゃっていたわ。テオ、なにかあるかしら?」
母が何か欲しい物があるか聞いてきた。ほしい物だって?...僕は、僕はみんなにちょっとでもいいから悲しんで欲しかったよ。泣いて行かないでって言って欲しい。明日、死んじゃうんだよ。なんでそんなに冷静なんだよ。ねぇどうして龍神様.....
ら出て自分の部屋に駆け込
「うぅ...うっ.........」
部屋に入った途端涙が溢れ出てきた。何故悲しんでくれないのか、役立たずだったけど家族じゃないか。
少しばかり 労わる言葉言ってもくれないの。テオはそのまま泣き続けた。
一時ほどすると部屋の前でコトンと何かを置いた音が聞こえた。足音が遠のいていき立ち去ったことを確認すると、襖をそーっと開ける。するとそこには宝石のような琥珀糖がたくさん皿に盛って置いてあった。この村では砂糖は非常に高価で滅多なことがない限り食べられない。琥珀糖は特に砂糖を多く使うので死ぬまでに食べられない人の方が多いのではないかと思う。
琥珀糖を一つ手に持ちがぶりと食べる。
「おいしい....おいしいなぁ.....」
次の日僕は早朝からお化粧をされていた。
「よしっと、これで完成よ。あら可愛いじゃない。お化粧すると顔色がよくなって健康的に見えるわね。」
「あ、ありがとうございます母上」
お礼を言っても反応はない。
「おい、行くぞ」
準備が終わり父や母と共に龍の滝に行った。龍の滝は村から15分ほど歩くと着く滝に行く。非常に高く下の水面が見えないほどだ。例え泳げたとしても確実に死ぬだろう。腕に布が解けないようにしっかりと巻かれた。
「これより、テオは龍神様の生贄として行ってもらう。我々はここ100年災害も疫病もなく安全に暮らしてきた。それは全て龍神様がこの守ってくださったお陰じゃ、100年前の疫病が再発したとなればそれは龍神様が生贄を欲しがっているという証だということじゃろう。テオにはこの村が潰えぬ為に生贄になるほかない.........感謝を」
村人が数十人集まる中、村長だけが僕に頭を下げた。
「やっと役立たずが死ぬわ」
「もっと早く龍神様に生贄を捧げていればラミナさん家の子もリリアさんも....」
「居ても居なくても変わらないのに村長が感謝することなんて必要ないわよ。」
自分に対する罵声を浴びる。そっかリリアさん亡くなったのか。死ぬっていうのにのにこの仕打ちはないよ。悲しいただただ悲しい....
俯き必死に涙を堪えていると
「おいっ、お前のせいでリリアが死んだんだぞ。この役立たずがもっと早く龍神様に捧げていればリリアは死ななかったんだ」
叫びながら突然、胸ぐらを掴まれた。この人は、リリアさんの旦那さんだろうか。
「離してやらんか。仮にも龍神様に捧げる物じゃぞ」
村長の言葉でリリアさんの旦那は舌打ちをし、村人たちに引っ張られ後ろの方へと下がっていった。
「テオよ。覚悟は宜しいかのぉ」
「.........は...い」
「龍神様の生贄は名誉なことじゃぞ。怖がらず、さぁいきなさい。」
一歩、また一歩と思い足を出して歩いた。滝の端まで行き、皆がいる方に振り向いた。母と父を見つける。
兄上、兄上はどこだ、まさか来てないの...そんな...そんな....
「最後に何か言うことはないかの」
「父上.....母上.....兄上......今までありがとうございました。」
ガタガタと全身を震わせながらも最後に家族に感謝を言った。勇気を振り絞り、目を瞑りながら滝に飛び込んだ。
そこで記憶は途切れた。
「住民の会議の結果お前が龍神様に捧げる生贄になってもらうことが決定した。日は明日の早朝だ。」
えっ?............幻聴かな、い生贄って.....僕、アシタシヌノ?
平然とした様子で生贄になる事を伝えるためまったく理解が追いつかない。あまりにも唐突なことでその場に崩れる。
「ち、ち父上.....それは.....」
「病弱なお前がこの疫病を乗り越えられるとは思えん。それに歳が10から16の間という生贄の条件にも当てはまる。残念だが会議で決まったことだ変えることはできん。」
家族は当然だと言わんばかりの雰囲気で誰も悲しんでいる様子ではなかった。涙目になりながら必死に泣くのを堪える。
「そんな...そんなこと....」
「龍神様の生贄は名誉あることだ。」
「だから今日は好きな食べ物をなんでも用意すると村長がおっしゃっていたわ。テオ、なにかあるかしら?」
母が何か欲しい物があるか聞いてきた。ほしい物だって?...僕は、僕はみんなにちょっとでもいいから悲しんで欲しかったよ。泣いて行かないでって言って欲しい。明日、死んじゃうんだよ。なんでそんなに冷静なんだよ。ねぇどうして龍神様.....
ら出て自分の部屋に駆け込
「うぅ...うっ.........」
部屋に入った途端涙が溢れ出てきた。何故悲しんでくれないのか、役立たずだったけど家族じゃないか。
少しばかり 労わる言葉言ってもくれないの。テオはそのまま泣き続けた。
一時ほどすると部屋の前でコトンと何かを置いた音が聞こえた。足音が遠のいていき立ち去ったことを確認すると、襖をそーっと開ける。するとそこには宝石のような琥珀糖がたくさん皿に盛って置いてあった。この村では砂糖は非常に高価で滅多なことがない限り食べられない。琥珀糖は特に砂糖を多く使うので死ぬまでに食べられない人の方が多いのではないかと思う。
琥珀糖を一つ手に持ちがぶりと食べる。
「おいしい....おいしいなぁ.....」
次の日僕は早朝からお化粧をされていた。
「よしっと、これで完成よ。あら可愛いじゃない。お化粧すると顔色がよくなって健康的に見えるわね。」
「あ、ありがとうございます母上」
お礼を言っても反応はない。
「おい、行くぞ」
準備が終わり父や母と共に龍の滝に行った。龍の滝は村から15分ほど歩くと着く滝に行く。非常に高く下の水面が見えないほどだ。例え泳げたとしても確実に死ぬだろう。腕に布が解けないようにしっかりと巻かれた。
「これより、テオは龍神様の生贄として行ってもらう。我々はここ100年災害も疫病もなく安全に暮らしてきた。それは全て龍神様がこの守ってくださったお陰じゃ、100年前の疫病が再発したとなればそれは龍神様が生贄を欲しがっているという証だということじゃろう。テオにはこの村が潰えぬ為に生贄になるほかない.........感謝を」
村人が数十人集まる中、村長だけが僕に頭を下げた。
「やっと役立たずが死ぬわ」
「もっと早く龍神様に生贄を捧げていればラミナさん家の子もリリアさんも....」
「居ても居なくても変わらないのに村長が感謝することなんて必要ないわよ。」
自分に対する罵声を浴びる。そっかリリアさん亡くなったのか。死ぬっていうのにのにこの仕打ちはないよ。悲しいただただ悲しい....
俯き必死に涙を堪えていると
「おいっ、お前のせいでリリアが死んだんだぞ。この役立たずがもっと早く龍神様に捧げていればリリアは死ななかったんだ」
叫びながら突然、胸ぐらを掴まれた。この人は、リリアさんの旦那さんだろうか。
「離してやらんか。仮にも龍神様に捧げる物じゃぞ」
村長の言葉でリリアさんの旦那は舌打ちをし、村人たちに引っ張られ後ろの方へと下がっていった。
「テオよ。覚悟は宜しいかのぉ」
「.........は...い」
「龍神様の生贄は名誉なことじゃぞ。怖がらず、さぁいきなさい。」
一歩、また一歩と思い足を出して歩いた。滝の端まで行き、皆がいる方に振り向いた。母と父を見つける。
兄上、兄上はどこだ、まさか来てないの...そんな...そんな....
「最後に何か言うことはないかの」
「父上.....母上.....兄上......今までありがとうございました。」
ガタガタと全身を震わせながらも最後に家族に感謝を言った。勇気を振り絞り、目を瞑りながら滝に飛び込んだ。
そこで記憶は途切れた。
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