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縁 遊

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21. ショックだ!

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 やっと完成した写真が目の前で売れようとしているが、問題は誰の写真が売れるのかだ!

 …いや、心配している訳ではないぞ。

 もちろん一番は俺だが…ほら、プルーフ達との差がありすぎるのも悪いだろ。だから心配してやっているだけだ。

「そうね~、私はクラル様ね。飾っていたら家を守っていただけそうな感じがするもの」

 なんだと~!!

 俺よりクラルの写真が先に売れる?!

「そう言われればそうね。私もクラル様にしようかしら」

「そうしましょう」

 なんだと~!!!

 …まあ、クラルも聖獣だしな。俺より先に知られていた訳だし…まあな…ここは譲ってやる。

 だけど2番手は俺だろ!

 さすがにプルーフには負けたくない!!

「きゃあ!可愛い~!!」

 若い女性達が写真の前にやって来た。ここは俺だな!

「えっ、このスライム髭つけてるよ~。可愛いすぎる~!!」

 …そう言えばそんな写真もとったな。あんなのが可愛いのか?俺にはわからん!

「こっちの、クラル様が蝶ネクタイしている姿は凛々しくてカッコイイわ~。素敵ね~」

 あれ?もしかして俺の写真は飾られていないんじゃないか?こんなにも話題にあがらないものか?

「迷う~!だけど…この最近話題のポチ様のスカーフを首に巻いた写真も可愛いわよ」

 やっと俺の話がきた~!

「ん~、でも私はやっぱりこのスライムの写真にするわ。他にはない珍しい写真だもの」

 な、な、何~!!!

「私はクラル様にするわ」

「え~、じゃあ私もクラル様にしようかな~」

 …え?

「そうしようよ。一緒に部屋に飾ろう」

 …え?

 結局…俺の写真は1枚も売れないのか。

 嘘だろ…。

「え?ポチ…もしかして泣いてない?」

 ルイスが背中に背負っていた鞄を地面に置いて鞄の中を覗いた…。

「ポチ…ショックだったんだね」

 ハッキリと言葉にするな!!

 これは涙ではなく目にゴミが入っただけだ!

 ルイスが俺の頭を優しく撫でながら励ましの言葉をかけてくる。…が俺は落ち込んでなんかいないからな!

「あ!ポチ様だ。お母様、ポチ様の写真買ってー!!」

 聞こえてきたのは小さな男の子の声。写真の前で大声をあげている。

「あら、本当。こんな写真、前に来た時は無かったわね。ポチ様が欲しいの?」

「うん!」

「じゃあ、1枚だけよ」

「やった~!」

 男の子は嬉しそうに写真を持って店主の元に向かって行った。

「ポチ良かったね。写真を買ってくれたよ」

 ルイス…そうなんだが…。

 ナゼなんだ…。

 ナゼ、俺だけ男の子にしか売れないんだ~!?

 もしかして…俺は女性人気がない?

「え?ポチ…なんだか顔色悪いけど…大丈夫?」

 俺の気持ちはルイスには伝わらなかった…らしい。



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